見出し画像

読書感想文 | 「ファシリテーションの教科書」

Webディレクターとして、日々の会議でのチームメンバーの中にある答えの引き出し方や、特に苦手な発散〜収束までのやり方をもっと上手になりたいと思い、日々こつこつと改善を心がけています

冬休みに前から気になっていた「ファシリテーションの教科書」を読みました

概要

・この本では、リーダーの会議・議論の場、1on1のような個別面談の場におけるファシリテーションの役割に触れています
・ファシリテーションは、リーダーがメンバーのモチベーションを引き出し、関係者の合意を形成して前に進めるための強力な武器
・ファシリテーション is 会議進行の技法ではない。「腹落ち感」をつくるためのコミュニケーションスキル
・ファシリテーションをうまく行うためには、議論前の準備「仕込み」と実際の議論の場「さばき」の2つの技術が必要
・上記に加えて「問題解決」「構造的な話の理解」ができる思考力、「人の可能性を信じ、意欲、能力、知恵を引き出す」という姿勢が不可欠

「知っていること」と「腹落ち」は違う

ファシリテーションとは、一方的に指示や命令をするのではなく、相手に問いかけて、考えさせ、相手の行動を促すために腹落ちした状態を目指すコミュニケーションの働き。

何か新しいことをする、何かを変える際には周囲の理解が得られない、強い反発を受ける、また予想しない困難に直面することがしばしばあるそれを乗り越えて「やろう!」と思えるためには、これができるとこんなに嬉しいという「ワクワク感」と自分がやるべきだという「当事者意識」を持つことが必要です

ファシリテーションの教科書


「腹落ち」とは、「目的とやらねばならぬ理由」を理解して、「具体的なあるべき姿」を自ら描き、「ワクワク感や当事者意識」を持てるレベルまで納得するということ is 「腹落ち」。行動につなげるにはしっかりと「腹落ち」してもらう必要があるわけだ。

ファシリテーション力を身に着けるまでの2つの難所

・ファシリテーションを学び始めると、多くの人が可能性の大きさを感じ身に付けたいと感じ、同時にその難しさを知り立ちすくんでしまう人もいる
・なぜならコミュニケーションは高度な思考力・理解力・表現力が必要で「コミュニケーションに関する全ての要素を統合した最高難度のスキル」だから(難解度が高いと何回も出てくる)
・フレームワーク、アイスブレイクの手法などをそのまま使っても実際の場面ではうまくいかなくなりがち。

ぶつかりやすい2つの壁

1つ目:自分にとって新しい課題、よく知らないメンバーとの議論をリードできない
(場面)関係部署との調整、自分とは考え方・立場が異なる人と議論をする場面、新しいプロジェクトでこれまで経験したことない課題について議論をリードする
(状況)「議論が迷走して、何を議論しているのかわからなくなる。結果何も決まらない」

2つ目:自分がよく知っている課題、常に接しているメンバーとの議論、特に部下との会話で直面すること 
(状況)「相手の意見を聞いているようで、実は自分の意見を押し付けてしまい相手に腹落ちさせることができない。結果として部下がこちらの顔色をうかがったり、答えを求めるようになってしまう

ここまでに、表面的なテクニックをそのまま使っても実際のファシリテーションの場面ではうまくいかないことが書かれていました。

ここから先は、議論の事前準備「仕込み」と目的に沿った形で議論をコントロールするスキル「さばき」について触れていきます。
以下で、自分の印象に残った箇所を残していきます。

議論の事前準備「仕込み」

議論の場の「出発点」と「到達点」を設定する

「出発点」と「到達点」がうまく設定されていないと起こること
・到達点が不明確
 ・「自分が言いたいことはこの場で言うべきことか、別の機会に言うべきか悩ませてしまう」
・出発点を間違える
 ・もっと前の段階に出発点を置くべきなのに、「ここまではわかっているはず」と考えて本来議論・合意すべきことを飛ばして、先の議論を進めてしまう

合意形成のステップを踏まえ、議論の場の「出発点」と「到達点」を探る

合意形成のステップを考える

  • 今回の議論はどこから始めるのか(出発点)

  • 今回の議論で、どこまでの結論を出すことを目指すのか(到達点)

「出発点」と「到達点」を設定する

  • 今回の議論の到達点を仮に置く

    • その議論が終わった時点で、参加者・自分がどんな状態になっていればいいのかの言語化

    • 「いきなりこの話を始めて、参加者に違和感はないか?」を自問する

  • 参加者の状況を予想し、今回の議論の出発点を決める

    • その話に関してどう言う認識レベルなのかによって決める

    • 話自体を全く知らないのか、問題意識は持っているのか、判断するのに十分な知識や情報を持っているのか

    • 上記をイメージしながら合意ステップのどの段階から始める必要があるのかを考える

  • 結論を出すまでに議論に必要な時間と議論に使える時間を比較し、今回の議論の到達点を調整する

    • 1回の議論の場で出発点から到達点まで行くのが難しければ、

    • 議論の場を数回に分けて、それぞれの出発点と到達点を決める

    • 事前に参加者に情報を共有したり、個別に話すなどしてステップを先に進めておき、議論の場での出発点を後ろに持っていけないかを考える

実際の議論の場「さばき」

発言の中で「意見」「根拠」「理由」を読み取る

ファシリテーターは、議論の中での発言から、その発言が議論の中でどのように位置付けられて、その発言をどう扱うのか、発言の後にどの方向に議論を進めるべきかを判断しなければいけない。

意見を読み取る

・発言の中で何が「意見(主張・結論)に意識を向ける
・発言の So What(だから何だと言いたいのか)を心の中でする
・それでも理解できない場合は「ということは〇〇については反対という理解で良いですか?」「A・Bの理由から「〇〇だという意見ということでよろしいでしょうか?」と確認するのが良い

意見とは
特定の何かに対してしっかりした考えを持っている状態を指す言葉
発言とは違ってその考えを口に出す必要はない
参考:意味解説辞典

発言とは
何かを言ったという事実を示すのが発言
重要な内容を言ってもどうでもよい内容を言っても発言は発言となる
参考:意味解説辞典

根拠・理由を読み取る
・意見が理解できたら、その根拠・理由を掴む
・1つの意見に対して根拠・理由は複数あることが多いので、根拠はいくつあるのか、内容を把握する

根拠とは
判断などを合理的、もしくは感情的に成り立たせるための拠りどころ・しっかりした裏付けのあるもの
参考:意味解説辞典

理由とは
ある判断をした時にベースとなる事柄・「想像に基づくもの」
重要な内容を言ってもどうでもよい内容を言っても発言は発言となる
参考:意味解説辞典

発言の目的を理解する

発言の裏にある目的を理解するように努める
・論理的な面:前の意見と同じ意見だが別の根拠、理由を述べる、まだ話されていない別の論点、前に話されている論点に戻る、意見のまとめ、議論の結論。。など
・心理的・感情面:自分の存在のアピール、自分の喜び・怒り、悲しみを理解してほしい、不満を表現したいなど

発言を「論点」「意見」の2つの視点で捉える

発言者の意見を受けて、そこから議論をどう進めるかを決める

  • 発言者の意見を論点に転換する

  • その論点がここで議論すべき論点に沿っているかを考える

  • 議論すべき論点ではない場合、論点に戻す必要がある

    • ①議論の場の到達点までに、全く関係がないこと

    • ②議論の場の到達点までに、議論する必要はあるが、他の論点について結論が出た段階じゃないと議論できないこと「議論すべきだけど、今じゃない」こと

議論すべき論点へ絞り込む

議論の目的は、その議論の場における「到達点」に至ることです。そのために、論点を抑えること・絞り込むことが重要です。

「議論すべきでない論点」
その論点について議論することが、この会議での合意形成に必要ないもの

「議論する必要はないが、確認する論点」
・この会議での到達点に至る上で合意形成に必要あるが、意見の対立がない場合
(例)この点に関してはAという認識でよろしいですね」と参加者の確認をとる

「置いておく論点」
・この会議での到達点に至る上で合意形成に必要あるが、意見の対立があるが、その場では結論が出せないこと
(例)この論点は重要ですが、今ここでは結論が出せないので次回までに各自準備をした上で再度議論しましょう」

メインイベント「結論づける」

議論が進み、会議も終盤に差し掛かってきた時間帯、ここでファシリテーターが最も活躍すべき瞬間「議論をまとめ、結論づけるタイム」がやってくる

到達点を確認する
・当初設定した「議論の到達点」と現状を比べて、参加者・自分がどんな状態になっているかを確認する
・到達点に至らない場合もある。その場合は「どこまでが決まったのか」「この後に何を決め、どこまで進めることが必要なのか」をクリアにする

行動につなげる
・議論自体は目的ではなく、議論の結果として各自が行動を起こすことが重要
・「決まったこと」「決まっていないこと」をクリアにする
・「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を決めて、参加者と確認すること
・議論がまとまらず「決まっていない」ことには、「条件付きの合意」をとる
 ・あと何が揃えば決められるのか。
 ・決めるために今後何をどのように進めるか?をクリアにする

感想 

👉ファシリテーション is リーダーがメンバーのモチベーションを引き出し、関係者の合意を形成して前に進めるためのつよつよなスキル
👉議論前の準備「仕込み」は大切
 ・合意形成のステップを考える 
 ・今回の議論で、議論が終わった時点で、参加者・自分がどんな状態になっていればいいのかの言語化(到達点)
 ・参加者の状況を予想し、今回の議論の出発点を決める(出発点)
  ・関係部署との調整、未経験の課題について議論をリードする時には特に役立ちそう
👉発言の中で、意見は何かを汲み取るためにSo Whatを意識する
👉発言を論点に置き換えた際に、「その論点は議論するべき」「議論すべきでない論点」「確認する論点」「置いておく論点」への分岐を意識する

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?