曽野綾子 他人を分かっていない

自分は

他人のことを

分かっていない、


という自覚のある人は

極めて少ない。

自分は

他人について

まるで分っていない

と思うことができる人は

極めて少ないという。


他人について何が分かるというのか

そう思えるようになるには

自分という人間の

複雑怪奇さに気がつくことから

始まるのだろう。


自分がそうなら

他人だってそうなのだから。

多くの人が

僅かなデータを元に、

無限に

人について語る。

人は他人について憶測で語ることが好きなのだ。

自分の都合よく

改変することもできるだから。


それは

自己防衛の一つ。

自分を生かしていくため。

そして


ますます

事実から

離れて行く。

そうなると

それはもはや

創作という領域となる。

物語。


人は物語が好きなのだ。

他人の物語なら

不幸なことでも

自分は

傷つくことはないから。

『中年以後』

戒めとして

よく考えてみることが大事。


他人のことを

ほんとうは

全然

分かってはいないということ。


自分のことだって

分からないのだから。

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