見出し画像

生きるのが下手な私には、人生があまりにも長すぎるので涙が出る。―映画『泣きたい私は猫をかぶる』レビューー※ネタバレ含む

1.『泣きたい私は猫をかぶる』のあらすじ

『泣きたい私は猫をかぶる』という映画をご存知ですか?

本作品は当初6月に公開予定だった長編アニメーション映画です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、映画館では公開せず、現在Netflixでの独占配信となっています。

監督は佐藤順一さんと柴山智隆さん、脚本は岡田麿里さん、主演は志田未来さんと花江夏樹さんです。

ーあらすじー

笹木美代(ささき・みよ)は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれている。しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)へ毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。

それは、猫の姿になって 大好きな日之出に会いにいくこと。

実はムゲは、ある夏祭りの夜お面屋にいた猫の店主から、「かぶると猫へと姿を変えることができる」という不思議なお面をもらって以来、猫・太郎として日之出の家に通っていたのだ。
普段はクールに振舞う日之出だが、太郎にだけは素直な気持ちを打ち明けることができ、いつしか太郎は日之出の支えになっていた。
≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには近づけるふたりの関係。ムゲもまた、猫でいれば周囲との関係に悩むことない自由さを知り、次第に心地よさを覚えていく。

猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになるムゲ。
ある日、再び現れた猫店主から、猫の“お面”とムゲの“顔”を交換し、≪人間≫を捨て≪猫≫として生きるよう迫られる・・・(映画『泣きたい私は猫をかぶる』公式HPから引用)


2.生きる辛さからどう逃れるか

この作品の中で主人公のムゲが猫店主からもらったお面を使って猫になるタイミングは2つです。

「大好きな日ノ出に会いたいとき」と「人間の自分から逃げたいとき」です。

ある日の夜、ムゲは大好きな日ノ出との関係の悪化や自身の家庭環境のストレスなどが積み重なり、何とか気持ちを好転させようと、猫のお面を被って日ノ出の家に向かいます。

猫の姿のまま朝を迎えたムゲは、ふと「猫なら学校に行かなくてもいいんだ」と思います。そして次の瞬間現れた猫店主によって、人間に戻れないようにされてしまいます。

一度は猫になってしまったムゲですが、人間から猫になった先輩猫たちに「まだ人間としてやり残したことがあるのではないか。」と背中を押され、人間に戻るべく奮闘します。

さて、少し私自身の話をします。

とても悲しいことがあったときや泣きたくなるほど嫌な日が続いたとき、多くの場合は夜に、ふと「ああ、人生を終わりにしてしまいたい」と本気で思うことが今までで何度かありました。

その原因は他者との関係であったり、自分自身のパーソナリティの問題であったり、往々にして「生きづらさ」を感じた時です。

人生を終わりにすることができれば、自分の悩みからも自分自身の生きづらいパーソナリティからも楽になれるのに、と思うのです。

しかし、人生を終わりにする勇気もなく、お風呂に入って、寝て、起きて、おいしいものを食べて、昨日の夜絶望の淵にいたことも忘れて、うっかり生き続けています。「死と紙一重で生きているなあ」と思います。

そんな経験があるため、ムゲが人間に戻れないようにされてしまう場面では、フィクションでありながら痛切なリアルを感じました。

「頑張ろう」とか「逃げ出したい」とか、どんな気持でもその変化のきっかけは些細なことなんですよね。

この映画での「猫として生きる」ということは「人間として死ぬ」ということであるように感じました。一度は人間から逃げ出し、人間としての死を選んだムゲが、人間として生きることに希望を見出し、生き返ることを選ぶ。そんなお話のように見えます。

自分自身の経験や悩みとどこかリンクするところがあり、何度も涙があふれました。

ライトな内容のようで実は深く重く、だれもが一度は考えたことのある「生きる辛さからどう逃れるか」というテーマが隠れているのではないかと思います。


3.【おまけ】花江夏樹さんが好き。

余談ですが、そもそもなぜこの映画を見たかというと、花江夏樹さんが大好きだからです。少年のようでユーモアやウィットに富み、愛にあふれている花江さんが大好きです。

『鬼滅の刃』をきっかけに花江夏樹さんに興味を持ち、YouTubeの「花江夏樹チャンネル」にハマりました。最近は毎日19時に更新されるので毎日の楽しみになっています。

今日も花江夏樹チャンネルの更新が楽しみなので生きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?