[ai]の話
[ai]の販売を始めました。
私が今月の上旬まで活動していた音楽プロジェクト、pianissimoのアルバム作品です。幻想的で少しゴシック、けれどポップスとしても楽しめる作品となっています。
視聴動画↓↓↓
BOOTHにてCD版も販売中。
https://booth.pm/ja/items/837624
[ai]というのは発音表記を表しています。なので読みは「アイ」。「私」を表すIや愛、eyeなどの意味を込めています。また、「主人公は機械人形である」という設定があるので、人口知能のAIとかけていたりもします。
「主人公」という単語からも分かるように、このアルバムでは、作詞の前に物語を書き、それに沿って詞をつける……という手法をとっています。と言いますか、私は作詞の際必ずそうしているので、このアルバムだけ特別に物語を書いた訳ではないのですが。アルバム単位で1つの物語になるように意識して作詞をしたのは初めてでした。
大まかな物語としては、主人が亡くなり長い月日が経った洋館に住んでいる機械人形が、主人の死を理解できず、主人を探しに行く……というものです。その過程で感情や自我が芽生えていく様子を歌詞にも反映させています。
曲について自分から語るのは照れくさいのですが、折角アルバムについての記事を書いたので、曲ごとのライナーノーツを纏めてみました。「主人公」と「主人」がまどろっこしいので、ここでは便宜上、主人公の名前をaiとします。
1. Once upon a time,
アルバムのプロローグ、物語の始まりにあたるインスト楽曲です。このアルバムでは、全体を1つの物語文に見立てて、各楽曲タイトルを付けているので、この曲のみ大文字で始まっています。最後をカンマにしたのも個人的に遊んだポイントです。
2. reticella
個人的に、アルバムを象徴する楽曲だと思っています。この曲のイントロから、洋館と自動機械人形の設定が生まれ、アルバムの方向性が決まりました。歌詞は物語の出発点となる洋館、その場所を描写しています。雪の降る森の凍てついた空気、重たい雲、洋館の埃くさい空気、そこで今だに1人佇み、在りし日の景色に思いを馳せているaiの姿を歌詞から感じていただけたら嬉しいです。サビ頭の「ah~」の浮遊感がお気に入り。
3. timeblur
主人の死を理解できず、館内を探し回るaiの様子を描いています。歌詞にある「銀の鍵」はクトゥルフ神話の「銀の鍵」です。つまり探しているのは色々な「場所」に限らないと……そういうつもりで入れました。曲の最後、aiが主人を探し館の外へ出て行く描写が潜んでいます。その聴覚的な表現として、曲の最後に小さな虫の鳴き声が入っています。歌のメロディが一番ポップなので、普段ポップスを歌う時と近いニュアンスで歌っています。
4. alter ego
館の外の街にて、主人の死を理解しているaiと、主人の死を認めたくないaiとの対話をテーマに作詞しています。公式サイトの歌詞表記を他の曲と少し変えたのも、対話をイメージしての事でした。最後に館の主人の死を理解する決定的な描写が紛れ込んでいるのですが……分かりますでしょうか。
個人的にこの曲が一番ボーカルrecが上手くいきました。サビ終わりの掛け合いは本当に掛け合いの形式で録音したのですが……リズムに大変苦労しました。もう絶対やらない……!!笑
5. farewellake
「alter ego」で主人の死と主人に対する自分の感情を理解したaiが、その先に進むまでを描いています。大切な人がいなくなった喪失感と悲しみ、主人を慈しむ気持ち……人間らしい感情をaiが会得した表現として、歌詞の雰囲気を他の曲と変えています(実はalter egoの最後のサビから変わっています)。alter egoの終盤たどり着いた湖の畔と、夜明け前のひんやりとした湿度の高い空気感を楽曲から感じていただければとても嬉しいです。歌録りはBPM54に翻弄されながらも頑張りました。
6. and happily ever after.
物語のエピローグ……という事で、タイトルをピリオドで締めくくっています。丁度「Once upon a time,」と呼応する遊びです。
実は鼻歌が大変苦手で……満足のいく仕上がりになるまで一番時間がかかったのがこの曲でした。一番最初の鼻歌、すっごかったですよ……笑。頑張った甲斐あって、とても良い出来栄えになったのではないかなと、個人的には思っています。
……色々と書き連ねて改めて思ったのですが、「色々と書き連ねた後に言うなよ」という感じなのですが、正直なところ上記の物語はアルバムを聴く上で至極どうでも良い事だなと。極論ですが。
というのも、pianissimoはアンビエント(環境音楽といって、楽曲にメッセージ性や物語性があまり無いジャンルです)がやりたい!という動機のもと始まったプロジェクトだったのですね。たまたま1曲目のイントロで設定を思いついてしまったので、アルバムにストーリー性が生まれました。が、音楽性としては「音楽として聴いて響きが綺麗か否か」を最優先して作詞したかったのです。そこの折り合い、さじ加減にはとても頭を抱えました。
駆け引きが成功したかどうかは、聴いてくださった方が決める事です。ただ、私がアルバム制作の際に書いた物語が100%伝わるような作詞をしていない事は確かです。なので、もしこのアルバムを聴いて他の物語やイメージを連想した方がいるとしたら、それが正しいのだと、声を大にして伝えたいです。私がこの歌詞に込めたことだけが正解ではないです。
ただやっぱり制作者側の意図って知りたいじゃないですか。私はアルバムだったり、楽曲だったりのコンセプトや意味を知りたくなってしまう質なので、ちょっと気紛れに書いてみました。でも、結構、書いたな!!
先日、購入いただいた方がシェアしてくださったようで(ありがとうございます!!)alter egoが人気のようです。少し驚いています。個人的にはreticellaが好きなので推しておきます。笑
やっぱりアルバムの世界観を象徴する曲、という立ち位置だと思っているので。一番聴き易いのはtimeblurかもしれない。alter egoも攻めた楽曲なので、反響があって嬉しいです。勿論farewellakeもよきです。インストも。ってもうそれ全部だな……
こちらの記事はアルバム販売用のマガジンと、有料記事を集めたマガジン、2つのマガジンで読めるようになっています。……もう分かると思いますが、気恥しいので今後ライナーノーツは有料記事にします……。笑
今後有料マガジンではこのような記事が読めるようになっていくよ、という事で。ライナーノーツ意外にも書いていきますが。
有料なのでもう少し突っ込んだ話もしていこうと思ってます。語りすぎて連載になっちゃうかも?!笑、いや割と冗談にならないかもしれない。
[ai]、頑張って作ったので、聴いていただけたらとても嬉しいです。
pianissimoの活動は終了してしまったので、今後の楽曲はテイストが異なった作品も増えていくと思いますが、以降の作品も聴いていただけたらもっと嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
記事を読んでいただきありがとうございます。 サポートでいただいたお金は、新しい音源制作用ソフトの購入費用の足しにさせていただきます💎 制作の様子はnoteへ随時アップしていきます。 気に入っていただけましたら、サポートよろしくお願いいたします。