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働いていて嬉しかったこと

私が新卒で入職したのは、関東の総合病院だった。
医師事務作業補助者という医師の補助を行う部署の配属になる。

そこでとてもよくしてもらった先生がいた。A先生だ。
みんなに優しくて、自分の専門分野を教えるのが大好きで、患者さんが理不尽な対応を受けると本気で怒っていた。

私にとっても、尊敬する恩師のような先生だった。
幸運なことに、私は3年ほどA先生の診療科担当チームで働いた。
部署の誰よりもA先生と親しくなり、おしゃべりするような時間も増えた。

入職して3年たったころ、プライベート・職場いろんな事情があって、転職することになる。

私は、A先生には退職のことをなかなか言えなかった。
同僚や後輩たちに引継ぎをして、A先生にやっと言えたのは退職の1か月半前。

私の退職の話を聞いてA先生は、今まで見たことのない、驚いたような傷ついたような顔をした。
私はこの表情をずっと忘れないと思う。

A先生の表情を見て、申し訳ない気持ちとともに、嬉しさもこみあげてくる。
「先生にとって、私はいなくなると寂しい存在になれていたんだ」と実感できたからだ。
今までの努力が報われたような、救われたような気持ちがした。

働いていて嬉しかったこと。
それは「自分が尊敬する人にとって、自分の存在価値を実感できた時」だった。

Discord名:望月なえ
#Webライターラボ2407コラム企画

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