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どこからが本好きなのか問題

そもそもの話、本好き、本が好きとは? 改めて考えてみたら曖昧な言葉だ。どこからがヲタクなのか、に匹敵しそうな難問。

そもそも、森羅万象ほとんどのジャンルが書籍化されているのだから、「特定のジャンルの本が好き」=「本好き」とは限らないだろう。小説が好きな人は本が好きなのか? そうは言い切れない。良質な小説が味わえさえすれば、媒体はWebや新聞でも構わなかったりしないか? あるいは、もしその人がマンガや映画やドラマも好きなら、本当の好きの対象は「本」というより「ストーリー」だったりしないか?

物理的な面からもアプローチしてみよう。「紙やインクの匂いが好き」。よく言われるやつだ。本好きあるあるだ。うむ、これは本好きと言って差し支えなかろう(何様)。本という媒体そのものへ愛着があるのなら、それを本好きと言わずしてなんと言おう。 

ただし、それだけでは条件が足りない。さっきまでの話と矛盾するが、一般的な意味での「本好き」という言葉にはやはり、「読んでいる本の内容」に対するふわっとしたイメージが内包されていて、それが「本好き」か否かを区別する必須条件のように感じる。

本好きな人が読んでそうな本は、例えばエッセイ、小説、ノンフィクション。大人なら、これに絵本も加わるだろう。少し珍しい図鑑なんかも入りそう。

辞書や事典はどうだろう、それは「本好き」というより「辞書マニア」といった別属性のような気がする。偏見か。

一方で、写真集は本好きの条件には含まれまい。風景の写真集が好きな人は風景写真が好きなのだし、肌色の部分が多い写真集が好きな人はセクシャルな要素が好きなのだ。平たく表記するならえっちな人だ。グラビアアイドルの写真集ばかり買い集めている人に「本好きなんですね〜」とは言わない。

こうやって想像の解像度を上げていくと、どうやら「本好き」が読む本はジャンルがあまり定まってなさそうだ。人や世の中に対して好奇心を持っていて、作者の想像力や熱意、知的・美的センス、探求心、そういったものが投影された本の世界観に能動的に浸れる、優れたアンテナの持ち主。

おお、本好きの人って、なんだかとても素敵な人っぽい。好きになってしまうな。顔が好みならだけど。

ずいぶん好き勝手に書いたけど、たまには深掘りして考えるのも面白いね、という話です。