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鉄道事業法⑩:鉄道抵当法

条文はこちらから。

前回は繰延資産整理に関する条文を勉強しました。

今回は鉄道事業用施設に関する担保の特例について勉強します(法第21条)。

◆担保の特例

鉄道事業用施設を担保にして資金調達を行う場合は、鉄道抵当法に従わなければなりません(法第21条)。

鉄道抵当法を要約すると下記のようになります。

・鉄道に関係する不動産、動産、施設、地上権などを、ひとまとまりの「鉄道財団」と設定することができる。

・「鉄道財団」を担保にして資金調達ができる。

この法によって下記のような効果が得られます。

・設備、権利全体を「鉄道財団」とまとめることでより大きな担保価値を持たせ、資金調達を円滑にする。

・抵当権が実行されても鉄道施設が分断されないようにし、鉄道事業を継続させ、利用者利便を保護する。

鉄道抵当法は、日清戦争後に海外の資金で鉄道建設を進めるために準備された法律で、実際に鉄道財団を担保とした資金調達が行われていたようです。

別記事で現代語訳しているので、暇な方はぜひ。

(例)秩父鉄道
1924年に設備改良工事費として、鉄道抵当法を利用して第一生命ほか13社から200万円の借入金調達を行っています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bhsj/45/3/45_3_3/_pdf/-char/ja


現在では新線建設時には公的資金が注入され、鉄道抵当法を利用した市場からの資金調達は行われていないように思えます(詳しい方、コメントください。)。

(例)東京メトロ有楽町線延伸
有楽町線延伸の建設費 東京都と江東区、負担巡り綱引き - 日本経済新聞 (nikkei.com)

以上。

参考

150126_鉄道抵当制度概要ポンチ絵 (chisou.go.jp)
2021winter_articles07.pdf (yu-cho-f.jp)

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