中村剛也

ライオンズ、ペナントレースを振り返る&今後の展望【7/14】

前回、交流戦前に「ペナントレース前期」としてこれまでの戦いぶりを振り返りましたが、今回はオールスターゲームまでの「ペナントレース中期」として、一区切りつきましたので改めて振り返ると共に、残り2か月半、マラソンで言えば、25キロから30キロに差し掛かるこれからの勝負どころについて考えていきたいと思います。


チーム成績

得点
3・4月:141点(5.64)
5月:120点(4.80)
6月:125点(5.43)
7月:37点(4.11)

失点
3・4月:130点(5.20)
5月:130点(5.20)
6月:102点(4.43)
7月:42点(4.67)
※()内は1試合あたり

7月に入り、1試合当たりの得点が1点以上落ち込んでおり、これでは7月の成績が3勝6敗になるのも無理はない。打てないことが影響しているのか、盗塁が減り、犠打が増えるなど、辻監督の采配も慎重に、というよりは弱気になっているのではないだろうか。

投手陣は失点だけを見れば、特筆すべきほど良くなってはいないが、髙橋光成が登板した2試合とも打たれ過ぎた為、平均値を下げただけで、QSクリアが半分を超えるなど、先発投手は頑張ったと言える。
また救援陣も四球を出さなくなったことで、WHIPも向上し、改善されつつある。

ただ三振が獲れない(特に先発)事に関しては、看過できない問題です。


これに関しては、以前「文春野球コラム」で中島大輔さんが取り上げたように、今日明日ですぐに解決できる問題でもないので、何が問題なのか、フロント主導で取り組んでほしい。


個人打撃成績

ここまで出場した全打者の成績と主力選手の前期からの比較となります。

気になるのはこれまで打線を引っ張ってきた山川穂高と森友哉が共に成績を落とした事。

東京スポーツの記事によると、交流戦で炭谷銀仁朗に抑えられて以来、他球団が攻め方を参考にしたとの事で、交流戦で最多の4死球を食らうなど、内角攻めで打撃フォームを崩したこともあってか、ファーストストライクを振れなくなって、素人目にも「迷ってるな」と思わせるものでした。

そういう事もあって交流戦が終わり、ペナントレースが再開されるまでに収録されたであろう、NHK「サンデースポーツ」で落合博満氏との対談企画では事前に30個も質問を用意して、質問攻めしてた模様。

頭の中も整理できたのかホークスとの3連戦ではようやくホームランも出ましたし、迷いは消えつつあるのではないでしょうか。

森友哉に関してはスタメンマスクを被ることが多くなり、疲れが出ている可能性が高い。

「キャッチャー別出場イニング数TOP5」
梅野隆太郎(T):91.8%(703in/766in)
甲斐拓也(H):91.0%(690.1in/758.1in)
森友哉(L):86.6%(636.1in/734.2in)
中村悠平(S):82.3%(617in/749.2in)
若月健矢(B):76.4%(572.1in/749.1in)
※()内「出場イニング数/チーム総守備イニング数」

炭谷銀仁朗も正捕手として成長させるために渡辺久信監督(当時)が使い続けた時期がありましたが、辻監督も意図してスタメンマスクを被らせているのでしょう。
ただ現状、岡田雅利と9:1の割合で起用しているのを、7:3ぐらいまで調整するのもアリなのではないでしょうか。

二人の不調をカバーしたのが外崎修汰と中村剛也。

前回「(復調を)期待したい選手」と名前を上げさせてもらった外崎修汰はBABIPが良くなり【.258→.279】、より戻しがありましたが、もう少し打率が上がれば理想的。

私の予想をいい意味で裏切ってくれたのが中村剛也。OPSが1割近く上昇するなど大活躍。
「満塁の神に愛された男」として打点を荒稼ぎしてくれました。

前回、ゴロ打球率が増え、フライ打球率が落ちていると指摘しましたが、それも回復。
ゴロ打球率【50.0%→42.6%】
フライ打球率【41.3%→48.8%】


そしてレフト方向への打球も増えており
【42.4%→45.3%】
中村剛也らしさが戻ってきた。これからも助けてもらう機会が増えそう。


個人投手成績

チーム成績の中で投手の奪三振能力が低いと書きましたが、ただ現在先発ローテーションで多和田真三郎や榎田大樹の穴を埋めているのは、十亀剣・本田圭佑・Z.ニールと打たせて取るタイプ。

WHIPが三人とも【1.20】台を記録している様に、四球が少なく無駄な走者は出していないのだが、防御率は高く、打たせて取るタイプの限界も感じるような感じ無いような…

ブルペン陣に関しては、今回も「平井克典投げすぎ問題」に触れないわけにいかない。

中島大輔さんが「文春野球コラム」で取り上げられたのを読んで、私も勢いでnoteに書きましたが、結構反響をいただき、この場を借りてお礼を申し上げますm(__)m

前回「奪三振率が低下してきたら、黄色信号だ」と指摘しましたが、案の定というか6月は奪三振率が低下し、平井本人も「クソでした…」と語るほど、決壊はしなかったものの危ない状況が続いていました。

ただ不思議な事に7月に入ると、本人がどう思っているかはともかく数字の上では以前の良い状態に戻っています。

これに関しては試合数の多さと共に問題になっていた「回跨ぎ」が減ってきたというのがあります。

3・4月:38.5%(5/13)
5月:50.0%(7/14)
6月:33.3%(4/12)
7月:0.0%(0/5)

小野和義投手コーチも「後半戦は2イニングを投げさせるより、1イニングに限定させる代わりに連投してもらうかも」と語っており、起用ルールを変えたのかもしれません。

とは言え、疲労は蓄積されているはずなのに、ここで数字を上げるとは、それもこれも全てを含めて「平井プロ」としか言いようがありません。

現状、勝ちパターンで投げる、K.マーティンと増田達至も6月以降、奪三振率が向上したことで安定感も増しています。

問題は先発が5回でいっぱいいっぱいになった時。残り4イニングを3人で回すと、自ずと回跨ぎする投手が発生しますので、4人目をどうするか?

期待をしていた森脇亮介は松本航同様、走者がいる状況だとゆっくりと足を上げパワーを作り出す独特な投球フォームが出来なくなるから、走者を背負うと途端に不安定な投球になるのだと思います。

そして武隈祥太も「左キラー」として期待を込めて起用されているものの、以前の状態には戻らず、中々適任者がいない状況です。

それでも誰かに任せない限り、未来は明るくなりませんので、首脳陣には3人と心中せず、4人目の投手を作る様、腹をくくって育てて欲しいものです。


今後の展望

現在、41勝40敗1分けで3位。首位のホークスとは7ゲーム離され、いまの戦力状況では追いつくことはほぼ不可能でしょう。しかし、2位のファイターズとは0.5ゲーム差しかなく、これなら十分に手が届く。その代り、5位のマリーンズとも1ゲームしか差が無いため、2位から5位までは団子状態。どちらに転ぶか分かりません。

そうなると残り61試合で最低でも貯金を5~7個ほど作るには、大胆なトレードと新外国人の獲得、2つの軸で大胆な戦力補強が必要となってきます。


DELTAのツイートでも指摘されていますが、打撃陣の課題はレフト・ライト・DHの攻撃力が他球団と比べ、著しく低い事。

3ポジションで主に起用されてきた選手の月別打撃成績となりますが、栗山巧と木村文紀は5月以降、大きく下降しており、E.メヒアに至っては代打という難しい役どころとはいえ、外国人選手として一枠空けるべき選手なのか?と言わざる得ないほど寂しい数字。
唯一、金子侑司は6月以降、成績が上がっており、パワーヒッターを置くことが多いレフトでは優位性が保てないけど、OPS.700以上をキープできるのであれば、足という武器もありますので悪くは無いでしょう。

そうなると課題はライトおよびDH。今シーズンは特に交流戦後、各球団でトレードが多く決まっており、我々もその流れに乗りたいところ。そこで現在、一軍では中々出番がなく、二軍にいる選手からピックアップしてみる。

「プロ野球データFreak」さんの12球団二軍打撃成績(規定打席の1/2以上)を見ると、面白そうな選手がいます。ここからまずパ・リーグの選手を取り除きます。今年のトレードも《パ・リーグ⇔セ・リーグ》と異なるリーグ同士のトレードばかりで、相手球団も直接の対戦相手になる同一リーグのチームには出したくないでしょうから除きます。

そこからOPS.700以上の選手のみをピックアップすると、ある選手が目に付く。

文字を赤くしているのでそのまんまなのですが、私が注目するのは梶谷隆幸。

今更説明する必要のないベイスターズの主力選手で、2014年以降のWARでも高い数字を残しています。

2014年:4.3(14位)
2015年:3.7(18位)
2016年:3.1(25位)
2017年:2.9(29位)
※()内は全野手におけるWAR順位

しかし2018年に入ると、背中や腰を痛めると、8月には右手首に死球を受け、尺骨を骨折。それと同時に古傷だった右肩も手術をし、一足早く来シーズンに向けた準備をすることに。

開幕スタメン出場を果たすものの、万全ではないままシーズンを迎えたことが影響したのか、全く打つことが出来ず、約2週間で登録抹消。4月下旬に再度一軍登録されるものの、打てずに再度抹消され、その後は二軍生活が続いています。

私も常日頃からベイスターズを見ていないので、詳しい事は分かりませんが、ベイスターズはセカンドとライトに問題を抱えていて、どちらかにN.ソトが入るとして、空いた方のポジションが決まらない。そしてライトに関しては佐野恵太や乙坂智が少ない出番ながら結果を残しており、梶谷隆幸には出番が回ってこない。

ちなみに梶谷隆幸同様、二軍で好成績を残している関根大気も二軍では結果を残していますが、こちらも同様に出番が回ってきません。

ベイスターズとしては元々主力選手だし、人気選手でもあるので簡単に出すことは無いでしょう。ただスピード系の選手は30歳を境に怪我が多くなることが往々にしてあります。チーム内の優先順位も下がってきているので、このまま二軍に置いた場合、商品価値は下がってしまう。だったら価値が下がる前にと考えてくれたら…というのが私の妄想です。

とは言え、ライオンズもそれなりの選手を用意しなくてはいけません。

そこで私が考えた選手リストがこの様になります。

Aランク:十亀剣
Bランク:本田圭佑
Cランク:相内誠、武隈祥太、野田昇吾、呉念庭、山田遥楓

ライオンズファンから悲鳴と罵声が聞こえてきそうで怖いのですが、これぐらいの選手を出すしか獲得することはできないでしょう。

ベイスターズ側からすれば「二遊間の選手が欲しいから、源田壮亮か外崎修汰が欲しい」と言われるかもしれませんが、この二人はチームの根幹をなす選手なのでさすがに出せない。そうなると主力級の野手は出せないので代わりと言っては何ですが、現在先発ローテに入っている2人のどちらかを泣く泣く差し出すしかないと考えます。

十亀剣と本田圭佑の違いは勿論実績の差ですが、もう一つはゴロ打球率の高さ。

「ゴロアウト率/フライアウト率」
十亀剣:52.9%/35.1%
本田圭佑:33.9%/57.9%

球場が狭いのでゴロアウト率が高い十亀剣の方が商品価値としては高くなる。

あと相内誠に関しては一軍で勝った事が無く「何故こんな投手を」と怒られそうですが、二軍では圧倒的な成績を残しており、ポテンシャルの高さは対戦経験のあるベイスターズも良く知っているはず。

ただ相内誠一人だと釣り合いが取れないので、もう一人付けて、2:1のトレードとなるのが現実的でしょう。もしくは2:2にするか。逆に十亀剣が欲しいと言われたら、1:2のトレードにして、もう一人誰か欲しいところではありますが。

ここまで書きましたが「そもそもベイスターズは先発投手を必要としているのか」と言われたら全く分かりません。

投手個人の能力を図る上でその物差しになると言われている《FIP》を見ると、ベイスターズは12球団でTOPの3.89を記録。ちなみにライオンズは4.72で最下位です。

今シーズンは今永昇太が絶対的なエースとなり、ルーキーの上茶谷大河、大貫晋一が先発ローテーションに入る活躍を見せているし、井納翔一もゴロを打たせるいつもの投球で安定しています。ただ濱口遥大は既に2度も登録抹消されているし、昨年の新人王に輝いた東克樹は昨年に疲れが抜けないのか、6月に抹消されて以来、いまだ上がってきません。

とは言え、添付した「ハローバイバイ」さんと「ハマノンタン @hamanontan」さんの対談で語られている様に、いまやベイスターズは投手王国になっており、即戦力を大学・社会人から獲得し、高校生投手は計画的に育成する良い循環となっているので、「現在、投手はいりませんから」と言われたらそこで話は立ち消えになります。

あとは
「梶谷が欲しいのなら相当な選手を用意してくれないと、ウチは出さないよ」というベイスターズ側の要求と
「このまま二軍で寝かしていても商品価値下がるだけだし、いまのうちに売っちゃいなよ」というライオンズ側の要求がどこで着地点を見出すか?

渡辺久信GMにとっても腕の見せどころでしょう。

本当に来てくれた場合の事を想定すると、二軍で外野も守って入るものの、基本はDHでの起用がメインとなるはず。

ライトに関しては秋山翔吾が来シーズン以降、残るかどうかが不明の為、愛斗や鈴木将平、戸川大輔など若手に一枠空けておき、栗山巧の状態が上がってくれば、梶谷隆幸をライトに入れる。

あと森友哉に適度な休養を取らせるためにも、梶谷隆幸にはライトを守ってもらえると理想的。


ここまで梶谷隆幸が加入する前提で書いていますが、この前提であれば十亀剣か本田圭佑が先発ローテからいなくなることになります。

やっと事で先発を6人揃えたのに、ここから1人抜けるのはライオンズにとって死活問題。この状況を救うのに期待したいのは多和田真三郎。

成績を見ると、可もなく、不可もなくといった印象ですが、そんな中ポジティブなデータとしては三振を奪えていること。

上記のツイートにもある様に、多和田真三郎は年々奪三振率が落ちており、単純な表ですが2018年以降に投げた35試合のうち、イニング数以上の三振を奪った試合は2試合しかありませんでした。

ちなみに昨シーズン、菊池雄星は23試合に投げ、うち11試合でイニング数以上の三振を奪っています。

その多和田真三郎が二軍の試合とは言え、3試合中2試合でイニング数以上の三振を奪っているのは好材料。
昨シーズン、途中打たれながらも172.2in投げたエース(仮)ですので、早く(仮)を外せるよう、返り咲いてもらいたい。


もう一つは投手のところで書いた、4人目のブルペン陣。ここに関してはD.ヒースの復調を待つか、新外国人投手を獲得するかのどちらか。

D.ヒースに関しては昨シーズンが良すぎたというのもありますが、奪三振率が落ち、与四球率は悪化。

奪三振率(K%):33.5%→24.0%
与四球率(BB%):5.1%→12.5%

今シーズンの数字自体、そこまで酷いものではないのですが、周りも本人も昨シーズンのいいイメージがありますので、それに比べたら物足りなさは感じます。
実際、ストレートなどの球速は落ち、それもあってかスイングストライク率も低下しています。

4シーム平均球速:147.7キロ→145.3キロ
ナックルスライダー:127.1キロ→123.9キロ
スイングストライク率:14.5%→8.5%

※DELTAでは「スライダー」となっているが、「ナックルスライダー」として定義しました。

中途半端に残すぐらいなら、一度二軍に落として再調整させた方がいいと思いますが、踏ん切りがつかないようで、とりあえず残していると言った感じに見えます。

首脳陣にこれといった意思が無いのであれば、フロント主導で今からでもいいから外国人投手を獲ってくるべきだと考えます。

昨シーズン、K.マーティンの獲得を発表したのが7月26日

7月31日に入団会見を行い、

一軍登録されたのが8月10日。翌11日に初登板を果たすと、リーグ優勝に貢献してくれました。

外国人投手の関しては、私にとって門外漢であり、全く分からないので誰が欲しいとかありませんが、ブルペン陣の補強が必要な事だけは絶対なので、早急に動いて欲しい。

その上で一軍初昇格を果たした平良海馬など生きのいい若手投手をどれだけ起用できるか。野手に対してあれだけ我慢をして一線級の選手に育て上げられたのであれば、投手陣に対しても時には我慢をして起用し、一軍の戦力となる様、首脳陣にはその覚悟を見せて欲しいと思います。


まとめ

このnoteを書く前にトレード案と新外国人投手の獲得案をツイートしたところ、まとめサイトに載るなど予想以上の反響があり、特にトレード案に関してはベイスターズファンから「梶谷出す訳にはいかないよ」という反応だったり、ライオンズファンから「出せる(見合う)選手、ウチにいたっけ?」といったコメントがありました。

トレードに関しては、メリットとデメリットが双方にあるし、感情をゼロにし、選手を「コマ」として割り切って見ないといけなく、賛否両論は避けられません。
勿論、どちらが得した損したという評価にもなりますし。

ただ今のままで、2位に上がる。もしくは3位を死守するというのは難しい。だったら思い切って変化してみるのもアリだと思っています。

現状維持は実質衰退と同じです。

ここは思い切って仕掛けましょう!渡辺久信GM!!!

では👋👋

※各データに関しては、「DELTA」「nf3」「プロ野球データFreak」「Baseball LAB」さんを参照いたしました。この場をお借りしてお礼申し上げます。


ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。