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2020ライオンズ二軍まとめ【最終成績】

一軍はクライマックスシリーズ進出に向けて、大事な戦いが続いていますが、二軍は一足早く11月1日に終了

そこで今シーズンの二軍成績を改めて振り返りたいと思います

なお詳細なデータに関しては、Y🥎Mさん【@yuta_m89】がアップされているデータを参考にさせていただきました


この場をお借りしてお礼申し上げますm(__)m


打者編


2020年ライオンズ個人打撃成績(二軍)


2020年ライオンズスタメン試合数&守備イニング(二軍)


捕手


捕手に関しては森友哉、岡田雅利に次ぐ、三番手の座を巡り、春季キャンプから駒月仁人、齊藤誠人、そしてルーキーの柘植世那、この三人の間で争われてきたが、柘植がその切符を勝ち取り、二軍では右手有鈎骨の骨折で離脱した(※6月3日の練習試合中と思われる)牧野翔矢を除いた、駒月、齊藤、中熊大智で回していた

しかし9月8日の練習試合で牧野が復帰してから起用法が一変する

公式戦に限定すると、9月11日以降の31試合中、牧野がスタメンマスクを被ったのは21試合。その結果、シーズンのスタメンマスク数も齊藤や駒月を抜いてトップに立った


2020年ライオンズ月別スタメン試合数(二軍)


これには打率が1割にも満たない齊藤の貧打ぶり、年齢からみてこれ以上の「伸びしろ」が期待できない駒月に見切りをつけ、バッティングで進境著しい中熊をコンバートして、二人同時に起用したい意向が感じられる

牧野の守備面に関しては、9月22日に今井達也が二軍戦(ファイターズ戦)で投げた試合を見たが、スピードがあり、その一方でボールが暴れ、捕り辛いであろう今井のボールをしっかりキャッチングしており、高卒二年目としては悪くない

牧野もバッティングでは課題を残すが、まだ時間はある

今年のドラフトではキャッチャーを指名しておらず、来シーズンにも国内FA権を取得する岡田雅利を引き留められたら、森友哉が国内FA権を取得まで、2~3年の間は安泰となる。その間に牧野をじっくり育てたいので、大怪我だけは避けてもらいたい


中熊は7月まで中々出番を貰えなかったが、8月以降は怪我人が増えた影響か、選手が少なくなったこともあり出場機会が増え、
37-13(打率.351/OPS.844)と結果を残す
それにより8月23日以降はキャッチャーミットを一旦横に置き、ファーストもしくはDHでほぼ全試合にスタメン出場

最後の試合で1本でもヒットを打てれば、打率3割で終わることができたので、そこは残念だったが、昨シーズン、28-4(打率.143/OPS.321)から大きく飛躍した一年となった

個人的にはこのオフにも育成枠から支配下登録への格上げがあっていい選手と思う

ドラフトでは内野手を三人指名したこともあり、今シーズンの様にファーストが空いている状況にはならないだろう。キャッチャーとして守備を鍛えつつ、バッティングを向上させ、両方できる体制を整えたい


内野


二軍で最も打席に立ったのが山田遥楓。215-62(打率.288/OPS.858)は二軍におけるキャリアハイの成績を記録したが、一軍からはほとんど声が掛からなかった

一軍のサード事情は中村剛也が怪我もあり絶不調に陥り、内外野できるC.スパンジェンバーグは控えていたものの、佐藤龍世の自身が起こした事件によって謹慎。本来なら出番があってもおかしくなかったはず

しかし山野辺翔よりは足が遅く、水口大地よりはしつこいバッティングが出来ず、呉念庭よりは選球眼が悪い。といった比較をされたわけではないだろうが、とにかく出番が訪れることは無かった

佐藤は開幕一軍は逃したものの、99-30(打率.303/OPS.893)とこちらも好成績を残しており、あんな事件を起こさなければ、一軍に呼ばれていただろうから、本当にもったいない

これだけアピールしたのに一軍からは呼んでもらえず、ドラフトでは一位で渡部健人を獲得。三位の山村崇嘉もファーストだけではなくサードもやっており、それも上手いとの評判



タイシンガーブランドン大河も大学ではサードを守っており、そう考えると山田と佐藤は窓際に追いやられつつある

ここからの逆転があるのか?二人の意地を見たい


二遊間で多くの出番を貰ったのが、綱島龍生と川野涼多

綱島は過去二年間、
101-24(打率.238/OPS.604)
198-43(打率.217/OPS.555)
と明らかに力不足だったが、今シーズンは
134-35(打率.261/OPS.716)と大きく飛躍した

特に9月を境に成績が向上しており
8月まで:71-14(打率.197/OPS.575/K% 27.8%/BB% 1.4%)
9月以降:63-21(打率.333/OPS.867/K% 20.0%/BB% 8.6%)
と見違えるように良くなった

来シーズンは水口からセカンドの座を奪い、出番を増やし、攻守ともにレベルアップする必要がある

ライオンズのセカンド事情は外崎修汰がレギュラーをがっちり掴んでおり、控えの山野辺は出番すら巡ってこない状況。それを考えると綱島にはいくつもの高い壁がそびえたっている

西川愛也、高木渉と同じ高卒3年目の同期が一足早く、一軍でヒットを打っている中、未だ一軍に呼ばれていない身としては焦りもあるだろうが、一歩一歩、着実に階段を上って欲しい


川野は一年目ながらショートで42試合にスタメン起用されるなど、英才教育を受けた

打撃成績を見ると、149-36(打率.242/OPS.682)と高卒一年目としては十分な成績を残し、三振率は(24.4%)と多かったものの、四球率が(11.9%)もあり、非凡なものを感じさせる

ライオンズのショート事情は源田壮亮の独壇場となっており、それは裏を返せば代わりがいないことを意味する

しかしUZRなど守備に関するデータ指標では20代後半から下降線に入ると言われていて、川野には2~3年後、源田の後釜として起用されるぐらいになれるか注目したいところ

ちなみに源田と川野は9学年離れており、これは小坂誠(1973/7/2)と西岡剛(1984/7/27)の年齢差(学年差)と同じになる。社会人出身で俊足好打の左バッター、なにより守備の名手として源田は小坂と比較されることも多く、川野はスイッチヒッターとして、西岡と共通点がある。勿論、松井稼頭央(現二軍監督)とも

西岡は一年目、ファームで77試合に出場し、
268-58(打率.216/OPS.550)
松井は90試合に出場し、
319-83(打率.260/OPS.667)
※犠打・犠飛が不明の為、OPSは参考程度にご覧ください

と二人とも、一年目から多くの出場機会を得ているのが分かる

そして二年目には共にシーズンの半分近く、一軍で出場しており、三年目には規定打席に到達し、もうレギュラーを獲得している

川野が一軍で出番を得るためには、源田が怪我などで長期離脱をするか、西岡同様、まずはセカンドで出番を得るしかなく、それは綱島との競争に勝った上で、山野辺を押しのけ、外崎を別のポジションへ移動させてやっと得られるものであり、大変な競争が待っている

来シーズン、どこまでステップアップできるか楽しみにしたい


外野


秋山翔吾がメジャーへ移籍したため、若手選手にとってはレギュラーを獲得する絶好のチャンスとなったはずが、残念ながら全員掴み損ねた

高卒三年目となる高木は過去二年間、高い長打力が魅力ではあったが、その反面、三振が多くて、四球は少なく、粗さが課題であった

しかし今シーズン、三振が減り、四球は多くなり改善できたかに思えたが、肝心の打撃成績が伸びず、両立できなかった

2018年:223-62 6HR(打率.278/OPS.796/K% 29.6%/BB% 9.6%)
2019年:258-66 12HR(打率.256/OPS.755/K% 32.6%/BB% 6.2%) 
2020年:203-48 9HR(打率.236/OPS.763/K% 21.0%/BB% 12.9%)


同じく高卒三年目の西川はそれまで構えたとき、手の位置がおへそのあたりにあったのが、両肩の位置まで上げた事でトップまでの距離が短くなり、それが功を奏したのか、OPSがアップした

2018年:212-48 0HR(打率.226/OPS.542/K% 22.4%/BB% 5.3%)
2019年:384-93 3HR(打率.242/OPS.606/K% 18.9%/BB% 6.7%) 
2020年:146-36 3HR(打率.247/OPS.731/K% 20.1%/BB% 7.3%)


二人ともお世辞にも守備が上手い選手ではないため、バッティングでアピールするしかない

打率なら.280以上、OPSだと.850以上打って、来シーズンこそは一軍定着を狙いたい


今シーズン加入した岸潤一郎はプロの環境に慣れるまで少し時間がかかったのか、序盤は成績が残せなかったが、9月以降は成績を伸ばした

8月まで:82-13 1HR(打率.159/OPS.566/K% 20.8%/BB% 11.5%)
9月以降:68-25 3HR(打率.368/OPS.987/K% 10.0%/BB% 11.3%)

特に後半は四球数が三振数を上回っており、来シーズンに向けて期待が持てる


逆に苦しい立場なのが戸川大輔と愛斗の二人

戸川は6年目にして二軍で初めて打率3割に到達し、そこだけを見ればよかったと言える【180-54(打率.300/OPS.749)

しかしもう一つの課題でもある確実性と選球眼の悪さ、三振率と四球率がなかなか良くならない

2018年:(K% 26.0%/BB% 6.8%)
2019年:(K% 17.8%/BB% 7.1%)
2020年:(K% 20.9%/BB% 4.6%)


愛斗はシーズン序盤に出遅れ、7月末には試合中、打球を追ってフェンスに激突。右足首をねんざして一か月ほど戦列を離れた事でアピールできなかったのが痛かった

ただ9月以降は好成績を残しており、

8月まで:75-15 3HR(打率.200/OPS.616/K% 15.9%/BB% 7.3%)
9月以降:128-37 7HR(打率.289/OPS.825/K% 9.8%/BB% 6.3%)

また戸川同様、課題であった確実性と選球眼に課題があるが、年々良くなっており、成長の跡を感じることが出来る

2018年:(K% 18.3%/BB% 2.9%)
2019年:(K% 16.5%/BB% 5.3%)
2020年:(K% 12.0%/BB% 6.7%)

シーズンも最後の最後になって、一軍から声が掛かり、少ない出番の中、結果を残しているが、ポジション柄、木村文紀を追い抜かない限り、一軍に残ることはできない
木村は打率だと.230程度しか打てない。しかし裏を返すと、打率.230は打ってくれる。首脳陣からは守備や走塁面での信頼も厚く、それもあってなんだかんだ言われながらも、起用され続けている

愛斗は守備や走塁面では差があるので、打って結果を残すしかない。CS争いの緊迫した状況の中でアピールしていきたい


今年のドラフトでは若林楽人、仲三河優太、育成枠で長谷川信哉、宮本ジョセフ拳と四人の外野手と指名した。これはチャンスを掴み損ねた若手の外野手に対し「いつまでも君たちを待っているわけにはいかないよ」という最後通告にも近いドラフト戦略と言える

ここでは名前を挙げていないが、川越誠司や鈴木将平も含め、来シーズンも二軍にいるようでは、窓際へ追いやられるでしょう

一人でも多く、一軍に定着できることを願っている



投手


2020年ライオンズ個人投手成績(二軍)①


2020年ライオンズ個人投手成績(二軍)②


まず今シーズン、二軍の起用法を見ると、開幕当初はベテラン投手の調整を優先し、そこから月を追うごとに若手投手の育成へ舵を切っていた

18歳~24歳:
23.2in(20.64%)→50in(31.58%)→63.2in(40.90%)→79in(51.30%)
25歳~29歳:
39in(34.00%)→60.1in(38.10%)→74in(47.54%)→51.2in(33.55%)
30歳以上:
52in(45.35%)→48in(30.32%)→18in(11.56%)→23.1in(15.15%)
※左から7月→8月→9月→10&11月


成績を見ても分かるように、目立った成績を上げたのは榎田大樹や十亀剣といったベテラン投手であって、野手同様、若手投手があまり二軍でステップアップして一軍投手陣に食い込むことが出来ないシーズンでした

そんな中、少ない成功例が浜屋将太


浜屋将太2020年二軍投手成績


開幕一軍に入り、以来ビハインド時にリリーフとして投げていたが、7月末に登録抹消して、二軍で先発調整を始めると5試合(30.1in)で35奪三振を記録

防御率は4.45と特筆すべき結果は残せなかったが、3試合目以降は100球以上投げており、先発として球数を投げる経験が出来たのは大きかったのではないか

あと若手だと、2年目を迎えた渡邉勇太朗、ドラフト3位で入団した松岡洸希、徳島インディゴソックスの先輩後輩になる伊藤翔と上間永遠、この四人に共通する課題といえば、あまり三振が奪えないこと
これはライオンズの全投手にいえる課題でもあるが、支配力に欠けるところがあり、渡邉にしても球速が140キロ前半では物足りない。フィジカルを鍛えると共に投球フォームの更なる改善を行い、平均で140キロ後半を出せる事を求めたい

今シーズンからチームとしては稼働していないものの、育成部門として三軍制を導入し、若い投手を鍛えるシステムを本格的に導入した
二年前のドラフトで入団した、渡邉、粟津凱士、東野葵、大窪士夢、昨年のドラフトで入団した、松岡、井上広輝、上間、出井敏博など

彼らを育成に専念させる為、8月ごろは先発だと十亀、與座海人、本田圭佑、中継ぎだと武隈祥太、野田昇吾、中塚駿太など決まった投手が来る日も来る日も投げており、私もファンながら「同じ投手ばかり投げているけど、他にピッチャーはいないのか」と思うほど

彼らの犠牲によって、若手投手が「下地作り」に時間を割くことができ、来シーズン以降、実践の場でトライ&エラーを繰り返しながら、成長してもらえればと願うばかりである


今年のドラフトでは佐々木健、大曲錬、育成枠で赤上優人、豆田泰志、水上由伸を指名したが、いずれも未完成な投手で即戦力とは言い難い

ドラフト2位指名の佐々木についても、NTT東日本の飯塚智広監督は「1球1球のボールは一級品なんですけど、まだ『投球』になっていない」と評価しており、ライオンズスカウト陣の「即戦力」という評価とはズレがある


※要会員登録


先発であれば5~8試合、中継ぎであれば20試合前後投げられたら及第点ではないか

また大曲は準硬式出身の為、公式球に慣れる必要があるし、赤上と水上は大学に入ってから投手に転向したので、投手としてのキャリアが浅い。無論、高卒の豆田も含め、三軍からのスタートになるだろう

そうなると投手不足に悩むライオンズにおいて、二軍からの戦力供給が無いと、首が回らなくなる

そうならない為にも、若い投手たちが一人でも多く、一本立ちすることを願ってやまない


来シーズンに向けて


2020年ライオンズ戦力分布図(2020年11月7日現在)


ドラフトと第一次戦力外通告を終えての戦力分布は上記のようになる

来シーズン、二軍のデプスチャートは

捕手:牧野翔矢、(中熊大智)
一塁:中熊大智、山村崇嘉
二塁:綱島龍生、(山田遥楓)
三塁:渡部健人、タイシンガーブランドン大河、(山田遥楓)、(佐藤龍世)
遊撃:川野涼多、(山田遥楓)
左翼:高木渉、西川愛也
中堅:岸潤一郎、若林楽人
右翼:愛斗、戸川大輔
三軍育成:仲三河優太、長谷川信哉、宮本ジョセフ拳

先発:渡邉勇太朗、上間永遠、伊藤翔、井上広輝、出井敏博
救援:松岡洸希、東野葵、大窪士夢、粟津凱士
三軍育成:大曲錬、赤上優人、豆田泰志、水上由伸

この様になると予想する

ただ野手については三軍で育成するより、二軍で実戦経験を積ませながらの育成となるだろうから、特に外野は若林を除いてここにいるようでは、ドラフト指名した選手の蓋をしてしまい、育成の妨げになる

もう彼らの居場所は二軍にはなく、一軍にしかない。それぐらいの覚悟で頑張って欲しい

そして投手陣に関しても、25~28歳あたりの停滞している投手を、20代前半の若い投手が追い越すことが出来るか?シーズンの後半からではなく、シーズンの開幕から出番を確保して、一軍定着への足掛かりとして欲しい


では👋👋


※参考資料

DELTA→https://1point02.jp/op/index.aspx

nf3→http://nf3.sakura.ne.jp/

ライオンズ公式→https://www.seibulions.jp/

Baseball LAB→http://www.baseball-lab.jp/

プロ野球データFreak→https://baseball-data.com/

とろろさん【@toro_bb】によるライオンズドラフト指名選手紹介コメント→


ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。