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2022年の埼玉西武ライオンズを展望する【投手編】

ヘッダー画像は埼玉西武ライオンズ公式ホームページより拝借しました



前回は打者編を書きましたので、今回は投手編を

先発投手


ポジション別分布図
世代別分布図
2022年一軍投手予想デプスチャート
2021年一軍先発投手マッピング


打者同様、投手もマッピングを基に振り返ると、先発は髙橋光成、今井達也、松本航の3人が規定投球回数をクリア【※松本は先発登板のみだと140.0in】。そして髙橋と松本が二けた勝利をクリア。2019年は規定投球回数、2020年は二けた勝利をクリアした投手が一人もいないというチーム創設以来初という屈辱を味わったことを考えると、少しずつではありますが上昇傾向にあるともいえる

ただ一方で4人目以降の先発が心もとなく、表で言うところの左側に寄っており、これで一週間、6試合を勝ち越すのはかなり厳しい



先発三本柱に関しての評価であり信頼度は、私を含めファンの感覚だと「髙橋光成>今井達也>松本航」というイメージだと思うが、セイバー系のデータだと評価が逆となる

三振があまり奪えず、ホームランをよく打たれる髙橋、四球を多く与える今井に比べ、(3人の中では)最も三振が奪えて、今井より四球が少なく、髙橋よりホームランを打たれない松本が最も評価されるのはそのため

とはいえ、髙橋は先発した26試合のうち、6回持たずに降板したのは2回のみ。ブルペン陣を休ませることができるのはエースとして大事な要素だし、今井は数多くの四球を出して、常にランナーを背負うピッチングを強いられたが、得点圏での被打率を2割以下に抑え、力づくで得点を許さず試合を作ったのは大きな成長だった

PDFファイル→https://www.nikkansports.com/baseball/files/k20211214.pdf


松本も球数が多くなりすぎて、先発24試合のうち、半分の12試合で6回を投げ切れない。という課題はまだ完全に克服できていないが、自身初の規定投球回数&二けた勝利をクリアするなど、階段を一つずつ駆け上がっている

この3人には、先発ローテーションを外れることなく「先発25試合&160in以上」を投げてもらったうえで、パ・リーグの先発投手だとSランクといってもいい山本由伸に肩を並べろとまではいわないけど、A'ランクといっていい上沢直之と双璧になるぐらいの内容と結果を求めたい。そうなればこの3人で確実に2勝はできるだろうし


4人目の先発投手として期待されるのが新外国人投手のD.エンス




真偽のほどは定かではないが、韓国プロ野球サイドの情報だと、日本のチーム(ライオンズ)にトレードマネーを含む、高額オファーを出されたので太刀打ちできなかった。なんて情報もあり、フロントとしてもかなり勝負を賭けているのが分かる

メジャーでは中継ぎでの登板に終始しているが、3Aでは19試合の登板のうち、11試合で先発しており、情報は少ないものの、こちらの成績を参考にするほうが目安となる


ディートリック・エンス 2021年3A投手成績


奪三振率が30%を超え、先発・救援ともにこの率をキープできているのは見事だし、四球も少なくコントロールを乱すタイプでもなさそう

心配なのは球数の少なさ。一試合における最多投球数が84球はかなり少なく、リーグとしての特徴なのか、選手の気質なのか分からないけど、相当早打ちなのが読み取れる

ライオンズでも過去には、B.ウルフやZ.ニールが90球前後で6~7回まで投げてお役御免とばかりに交代することが多かったが、この2人は打たせてとるタイプなので、真逆のタイプであり、ひと昔前ほどではないが「粘る」のが美徳とされる日本において、90球前後で6回まで投げ切れるかがカギとなりそう

そしてそれ以上に心配なのがいつ来日できるのか?

新型コロナウイルス「オミクロン株」の水際対策として新規外国人の入国を制限しているため、いつ解除されるのか全くめどが立たないが、現状としては開幕からの稼働はほぼ無理そうで、来日してから隔離され、そこから調整となっても一軍デビューは5月以降か

そうなると自動的に繰り上がるのが、ルーキーの隅田知一郎と佐藤隼輔となる




ドラフト一年前の時点では大学2年生の時に大学日本代表に選ばれるなど、実績も十分な佐藤がドラフト1位候補として、専門誌にも多く取り上げられていたが、大学4年の秋に右わき腹を痛め、評価が急降下

その間隙を縫って6月に行われた全日本大学選手権で好投した隅田が一気に評価を上げて、4球団が競合する中、我らが飯田光男常務取締役球団本部長が当たりくじを引き当て、指名権を獲得

佐藤にとってはドラフト1位で指名されるのを目標に大学へ進学し、春までなら逆に競合が必至と言われていたが、残念ながら1位指名はなし。二巡目に入ってもベイスターズ、ファイターズ、ドラゴンズが別の選手を指名したため、佐藤本人にとっては悔しい2位での指名となったが、ライオンズにとってはドライチ候補を2人獲得できる会心のドラフトとなった

ライオンズでルーキーから開幕一軍入りして先発ローテに入るとなれば、2011年の牧田和久以来、大学生に限定すれば2007年の岸孝之以来となるように、すでに投手王国ではなかった割に先発ローテーションの一角に食い込める投手がいなかった

この2人には開幕から先発ローテに入ってもらいたいし、入れないと優勝争いに参加することはほぼ不可能。2人に掛かる期待は大きい

物差しとなるのが昨シーズン大活躍したルーキーおよび大きく飛躍を遂げた若手投手たち

宮城大弥(20歳・高卒2年目):先発23試合/147.0in/WAR4.0(6位)
伊藤大海(24歳・大卒1年目):先発23試合/146.0in/WAR4.7(4位)
伊藤将司(25歳・大社1年目):先発22試合/137.1in/WAR1.8(40位)
早川隆久(23歳・大卒1年目):先発23試合/134.2in/WAR3.9(7位)
奥川恭伸(20歳・高卒2年目):先発18試合/105.0in/WAR3.8(10位)
玉村昇悟(20歳・高卒2年目):先発17試合/101.0in/WAR0.6(47位)
※WARはDELTAを参照。()内の順位は投手のみのランキング

昨シーズンは東京五輪による中断期間があり、伊藤大海以外はその恩恵を受けたともいえる。それを差し引いても、先発20試合/120.0in以上投げられるか?そしてこの2人で新人王を争えるほどの結果を残せるか?

ちなみにライオンズでは過去、1シーズンで左投手が2人以上、二けた勝利を記録したのは二回のみ

2008年:帆足和幸、石井一久(ともに11勝)
2018年:菊池雄星(14勝)、榎田大樹(11勝)

生え抜きに限定すれば、チーム創設以来一度もない。隅田と佐藤が新たな歴史を作るのか注目したい


ルーキー2人と先発ローテーションを争うのが渡邉勇太朗。三振を多く奪えず、四球が多いため、セイバー系での評価は低く、QSをクリアしたのも2回のみなのでシンプルな数字もあまり良くはない

ポジティブな面を挙げれば、被打率が(.217)と良く抑えていること【※昨シーズン50in以上投げた108人のうち25位。今井達也は(.220)で27位】。二軍での成績も含め、フライ打球よりゴロ打球が多く、被本塁打が少ない。といったところか

渡邉勇太朗2021年球種別データ【SPAIA】

ストレートで空振りを奪えるタイプではないので、おのずと三振も奪えずにいる。このあたりの課題を克服できれば結果もついてくるが一年でどこまで進化を遂げるか不安もあるが楽しみでもある

ライオンズの日程を見ると、開幕の一週間は6試合組まれているが、そこから3週間は木曜日が休みで週5試合となり、誰かが外れることとなる。若手の3人を上手く入れ替えながらエンス不在の期間を乗り越えていきたい

昨シーズン、パ・リーグ各球団の先発事情を見ると、シーズン途中に不調で二軍落ちした涌井秀章を含め、先発ローテを6人揃えていたイーグルスを除き、どのチームも5試合以上先発した投手が8~9人ほどいて、4人目以降の先発が不安なライオンズとしては、谷間に先発できる投手があと2人ほど欲しい


1月10日に放送されたフジテレビONE「プロ野球ニュース」に出演された辻監督は外国人投手2人先発と語っており、新外国人投手のボー・タカハシも先発として見ている可能性もあるが、2018年の10月のトミー・ジョン手術を行い、ようやく肘が馴染んできた與座海人、一軍では先頭打者に危険球を与え即退場したり、女性に対する不祥事もあり、球場内外で評価を下げてしまったが、二軍では奪三振率が高く、非凡な素質を感じさせる佐々木健には特に期待したいところ

佐々木の場合は同じ左腕投手が入団してきたことで、たった一年で影が薄くなっているのは本人も重々承知しているはず。俗にいう「ロマン枠」をドラフト2位で指名しがちなライオンズで花開かないまま退団していく先輩投手も見ており、今年もダメなら一気に評価を下げてしまうので、その決意を見てみたい


救援投手


2021年一軍救援投手マッピング


ブルペン陣は平良海馬が前半戦はセットアッパー、後半戦はクローザーとして大活躍。開幕から39試合連続無失点というNPB記録を樹立するなど大活躍の一年だった

ただしクローザーに転向したのは増田達至の怪我による不調が原因で空振り率の低下とともに奪三振率が低下。4年契約の1年目は苦しいシーズンに。空席となったセットアッパーにはR.ギャレットが座ったが、負けている展開だと問題ないが、勝っている展開だと安心して任せられるほどではなく、結果的には昨シーズン限りで退団することに

他にも武隈祥太の復活や水上由伸の躍進、入団5年目にしてプロ入り初勝利を記録した田村伊知郎など個々の活躍はあったものの、先発同様に質と量が足りないと言わざるを得ない


ブルペン陣に関しては、1月16日現在、ギャレットに替わる新外国人投手を獲得しておらず、ここが決まらないと何も始まらないのが実情。MLBがロックアウト中なのでそれが影響しているとなれば、それなりに格のある投手を連れてこようとしていると解釈もできる。また11月5日とかなり早い段階で公式ホームページに「スペイン語通訳を募集」と掲載されていたので、中南米系の選手を探していると思うのだが音沙汰もない

※2022年1月16日現在、「詳細」ページをクリックしても、リンク先のページはなく、募集は終了している模様


どちらにせよ、開幕には間に合わないので、現状では増田にかけるしかないし、同様に2019年と比較して奪三振率が大きく低下した森脇亮介、再び後ろに回る予定の平井克典など実績のある投手に復活してもらい、回していくしかない



渡辺久信GMが「リリーフとして考えている」とコメントしたことから、ボー・タカハシをブルペン陣の一人としてカウントしてみたが、先ほど触れたように辻監督は「外国人投手2人先発」と語っており、現場サイドでは先発として見ている模様

奪三振率は高く、与四球率はそれほど悪くないので、そこだけを見れば評価できる。しかしその割には打たれすぎているし、3A時代の成績を見ると、左打者を苦手にしていることが伺え、お世辞にも即戦力とはいい難い

古い例えになるが、1987年に来日し、翌1988年に大活躍したT.バンバークレオのような育成型外国人として2~3年後の活躍に期待したい


あとは第4グループとして名前を挙げさせていただいた、大曲錬・井上広輝・松岡洸希の若手3人がNEXT水上由伸として、一軍定着できるかがブルペン陣の層を厚くするためにも大事になってくる


兎にも角にも、支配下登録の投手が29人しかおらず、質を問う前にそもそもの量が足りない。なのにトライアウト組やノンテンダーの選手には見向きもしない。育成枠の投手が8人いるが、そのうち4人はトミー・ジョン手術によるリハビリ組で7月末までの支配下登録は難しく、残り4人のうち、1人は高卒ルーキー、もう1人も高卒二年目と一軍の戦力としては時期尚早ともいえる。この人数で本当にシーズンを乗り切るつもりなのか不安しかない

キャンプインまで残り2週間で何かしらの動きがあるのか、もしくはメジャーのように「招待選手」として春季キャンプにだれかを呼ぶのか、今後の動きに注目していきたい



【打者編】に続き【投手編】の展望を書かせていただきました

つぎは【二軍編】を書きたいと思います

では👋👋


参考資料


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