森友哉

森友哉10年契約の可能性を考えてみる


野球データ愛好家の間では知られた存在の「DELTA」では、有料会員向けに毎週発行しているメールマガジンがあります。昨年の9月2日に発行された記事ではこのような事が書いていました。


そこでは「WARで決める週間MVP」という記事があり、週間MVPに選ばれた森友哉に対して

若くして一軍で出場している為、FA権の取得もそう遠くない。
捕手は二塁手や遊撃手より加齢による守備の低下が出にくいはずだから、
10年規模の長期契約を結び、一年でも長く保有できる状況を作りたい。

との一文が。

森友哉は入団1年目の後半から一軍出場を果たし、2年目にはDHながら早くも規定打席に到達するなど、若くして天才的とも言われるバッティングセンスを発揮。その後は守備位置が定まらなかったが、2017年からは捕手として起用する方針が決まり、昨シーズンはパ・リーグMVPを獲得。

いまやライオンズの顔では収まらず、日本プロ野球界の顔になろうとしている。

そんな森友哉の国内FA権取得はいつになるのか?

プロ野球FAカウンター」さんによると、3年と12日。つまり最短で2023年のシーズン中に取得の予定。


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これを「まだ先だ」と思うか、「もうすぐだ」と思うか。



長期契約のメリット・デメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

「メリット」
・球団サイドから見たらポスティングシステムの行使を認める条項や、メジャーではよく耳にするオプトアウト条項を盛り込まない限り、その選手は契約期間内、球団にいる(残る)ことがほぼ決まるとなる。
・年俸変動制や出来高契約が結ばれていたとしても、ある程度、年俸(予算の枠)が把握できること。
・選手から見たら先の見えない世界なので、経済的な安定が精神面でも安心を得られる。

「デメリット」
・球団サイドからすれば、怪我など不測の事態が起きて、予想していた成績が残せず、その間も決められた年俸を払い続けなければいけないこと。
・選手は期待された結果が出せない時、マスコミやファンから厳しい視線やコメントを浴び(特に現在はSNSでの誹謗中傷が多いかも)、精神的に参ってしまう。

・またこれは球団・選手双方に言えるが、怪我をした際、球団サイドが元を取ろうとして完治していないのに無理やり試合に出し、さらに悪化→状態が戻らず低迷→「給料泥棒」など更に罵声を浴びる。選手も完治していないのに無理やり出るが結果が出ない。挙句に戦力外となり退団→引退となり、誰も得をしない結果になる。


デメリットの例として挙げるのは心苦しいが、長期契約を結び、目論見通りいかなかった選手として松中信彦が思い出される。

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2004年には結果的に平成時代最初で最後の三冠王、2005年も本塁打と打点の二冠に輝くなど、当時は日本最強打者とも言われ、その年のオフ(2006年1月27日)、実質的な7年契約を結ぶ。


しかし2006年、けがや病気などのアクシデントが重なり、44本→46本と打っていた本塁打が19本と激減。勝負を避けられた【四球76→102、三振85→37】事もあってか出塁率は高く、OPSは高い水準をキープしていたものの、2007年以降は一気に成績が落ち込んでしまいました。


また昨年は則本昂大が開幕前の3月、そして柳田悠岐が12月にそれぞれ7年契約を結んだことで話題になった。


複数年契約資料(則本昂大)


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この二人に共通しているのは、元々複数年契約を結んでいて、国内FA権の取得が間近だったこと。ただ二人ともメジャーに興味があり、国内FAは興味がなさそうだったが。
そして則本昂大は怪我をして手術を受ける前後、柳田悠岐は怪我で苦しんだシーズンが終わったあと。と共に怪我による長期離脱を経験したことだろう。

そこに海外FA権取得まで最短でも2シーズンを要し、取得しても30歳を超えることで、プロ野球選手としてゴールがおぼろげながらも見えてきた【※プロ野球選手にとっては、見えてしまったというべきか】タイミングで、自分への信頼を示す長期契約を提示してくれたことで、いまのチームで最後までやり通す気持ちに傾いたのではないか。


そうなると森友哉は今年の8月でようやく25歳とまだ若く、FA権の取得も4年後。将来に対する不安はあるかもしれないが、まだ現実的ではなく、いきなり10年近い長期契約を受け入れる可能性は低い。

ただライオンズとしては3年後、国内FA権を取得する前に複数年契約を提示するのではなく、今のうちからオファーを出しても良いのではないか。

森友哉最大の売りは「打てるキャッチャー」であること。その為、キャッチャーとして守ってくれないと価値は落ちる。

昨シーズンはキャッチャーとして126試合、DHで4試合にスタメン出場し、途中出場で5試合。計135試合に出場したが、年間100試合はキャッチャー、DHとして30試合、代打で5試合、計135試合前後は出て欲しいところ。

そこで参考にしたいのが、昨年限りで引退した阿部慎之助。

左打ちで強打のキャッチャー、森友哉は阿部慎之助に憧れて背番号10を付けたと言われており、共通項が多い。それ以上に若干、ウェイトオーバー気味な体型【※30歳以降の阿部慎之助は鍛えた身体の厚みもあるが、太りすぎにも見える】も似ており、それも参考になるはず。

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調べて見ると、首の痛みなど満身創痍になり、キャッチャーとして守るには限界に達した2015年(36歳)以降は激減したものの、2014年(35歳)までは100試合以上マスクを被っており、もし森友哉に対し、今シーズン終了後に10年契約を提示し受け入れられたら、契約最終年は2030年で35歳。
セ・リーグと違い、パ・リーグはDH制度がある為、体力の消耗を防ぐ方法もあり、あくまで想像上の話ではあるが、球団にとっても、森友哉本人にとっても悪い話ではないでしょう。


ここまで森友哉が長期契約を受け入れたら?という前提で進めてきたが、そもそもライオンズはその予算を用意できるのか?

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これはライオンズの野手と投手、それぞれの主要メンバーがいつ、FA権を取得するか一覧にした表です。

年度別に分けると

「2020年」
・増田達至(32歳)/残り46日で取得予定
・栗山巧(37歳)/残り145日で取得予定

「2021年」
・榎田大樹(35歳)/残り1年+32日で取得予定
・岡田雅利(32歳)/残り1年+82日で取得予定
・木村文紀(33歳)/残り1年+82日で取得予定

「2022年」
・外崎修汰(30歳)/残り2年+113日で取得予定
・中村剛也(39歳)/残り2年+145日で取得予定

「2023年」
・森友哉(28歳)/3年+32日で取得予定
・山川穂高(32歳)/3年+36日で取得予定
・源田壮亮(30歳)/3年+145日で取得予定
・十亀剣(36歳)/3年+145日で取得予定
・平井克典(32歳)/3年+145日で取得予定


中でもこのオフ、最優先で複数年契約の交渉を完了したいのが、今シーズン中にも国内FA権の取得が濃厚な増田達至と、2021年のシーズン中に国内FA権の取得が予想される岡田雅利。

増田達至に関しては複数年契約を提示しましたが、本人は単年契約を希望。渡辺久信GMは「増田の性格上、あくまで単年で勝負したい。という気持ちが強かっただけで、即FAを行使するわけではないはず」とコメントしています。

しかし複数年契約を結んでいない以上、何が起こるか分からないのはライオンズファンならよく知っている話。

昨年同様の成績を残すことが出来たら、1億9000万円→3億円を最低ラインとし、そこに出来高を加えた4年契約、総額15億円以上に跳ね上がるかもしれない。

また岡田雅利は貴重な二番手キャッチャーとして確保したい球団もあるでしょう。2年後どうなっているか分からないが、若月健矢に次ぐキャッチャーが心許ない地元大阪のバファローズ、堀内謙伍・太田光の成長に物足りなさを感じたとすればイーグルスなど。

ポジションは違えど、年俸3600万円だった福田秀平がFA権行使の末、4年総額5億円とも言われる年俸を得たのであれば、現時点で年俸3000万円の岡田雅利がFA権を行使すれば、倍の6000万円以上のオファーがあっても不思議ではない。

「出番が欲しい×お金も欲しい」というのは、プロ野球選手であれば誰もが思う事ですから、気持ちは揺れ動くでしょう。

更に2021年オフには外崎修汰、そして2022年オフには、森友哉だけではなく、山川穂高に源田壮亮と立て続けにFA権を取得する選手がいて、私が直接お金を出す訳ではないですが、頭が痛くなってくる。

仮に森友哉に対し、シーズンオフに10年契約を提示するとなれば、これぐらいの年俸になるのではないか。

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基本年俸計40億円+出来高(満額)10億円=総額50億円プロジェクトです。

阿部慎之助が2004年(25歳)、1億2000万円でサインしてから、2015年(36歳)までの12年間で基本年俸40億6600万円なので、ちょっと高すぎるか?とも思ったが、阿部慎之助は二年目以降、OPS.800・WAR(簡易版)3.0以上の成績を残していたにも拘らず、2億円に大台に乗るまで時間を要したのに対し、森友哉は実質キャッチャー二年で2億円に到達したように、今の時代は短期間で年俸が上がるようになっているので、これぐらいは用意しておいた方がいいでしょう。

一見「こんな大金、ライオンズが用意できるわけないじゃないか!」と思いますが、仮にFA権取得前に4年契約×2回と小分けにし、40歳で引退する前提で最後まで残ってもらおうとしたら、結果的に50億円以上のお金を用意しなければいけないんですよね。


ライオンズと言えば、毎年のように選手がFA権を取得したら行使し、他のチームへ移籍する事で心を痛めているファンも多いでしょう。

これを回避するには(特にチームにとって必要な)選手と長期契約してライオンズに残ってもらうしかない。

これまで問題視されてきた交渉時の選手に対する心無い言葉も、渡辺久信GMが窓口になってから醜聞を聞かなくなったし、雨漏りしていた室内練習場も新設された。蒸し風呂とも形容されるメットライフドームも空調設備を改修しており、完成すれば今よりは快適になるはず。

橋上秀樹さんは著書で「都心から遠いのが理由では」とFA流出が多い理由を語っており、これに関してはどうしようもないけど。


最初にメリット・デメリットの話をさせていただきましたが、ファンにとって最大のメリットは「契約を結んでいる限り、FAでされることなく安心して応援できる(特にライオンズファンは)」ではないかと。

NPBにおける長期契約期間は現在、ライオンズの二軍投手コーチを務める許銘傑の9年。ただ8年契約を結んだ趙成珉も入団条件の一つになっていたので、実質は7年が最長。もし森友哉に対して、8年以上、それこそ10年単位の長期契約を結べば前例のない契約となります。しかしそれだけの契約を結ぶ価値のある選手です。


「まだ先だ」と思うか、「もうすぐだ」と思うか。

ライオンズのフロントがどのような動きを見せるか楽しみにしたいと思います。


では👋👋

ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。