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おもちさんの神隠し

元日、明けましておめでとうございますと家族にご挨拶をして、食べ始めたお雑煮。
起きてすぐ母にお餅の個数を聞かれ、2個と答えたものの、食べ切れるか心配だった私は2個目のお餅を後でよそうことにした。
美味しいお雑煮を頬張るうちに私の心配は現実となり、1つ目を食べたところでお腹がいっぱいになってしまった。なかなか質量のあるお餅だったからかもしれない。(お米の甘味や風味を感じる美味しいお餅だった)

父が3つ目を食べたいと言うので(羨ましい限り)、それじゃあ私の2つ目になるはずだったお餅をあげようじゃないかという話になり。
よそうために立ち上がった母が、鍋をお玉でかき回しながら言う。

「あれ?お餅ない・・・」

そんなわけなかろうと、私も立ち上がって鍋の元へ。

小芋に紛れて見逃しているんだ、きっと。
うちのお雑煮は白味噌だから、白さに紛れて区別がつきにくのだろう。

そう思って私も鍋をかき回す。

これか?と思ったら小芋
これだ!と思ったら小芋

を繰り返し。

「お餅ない!!!」

と叫ぶのに、そう時間はかからなかった。
何度見てもないのだから、本当にないのだ。

ちょっと待っててね、と母が父に声をかけ、新たに投入されるお餅。
すごすごと席について、消えたお餅の謎について考える。

そうか・・・あまりにも美味しそうなお雑煮とお餅だったから、きっと神様がひょいっと掬って食べてしまったんだ。

神様が食べてしまったのなら仕方がない。

神様、うちのお雑煮は美味しかったですか。
神様にとってもいい一年になりますように。

心の中でそっと願っておいた。

そんなこんなで。
年明け早々、神隠しにあったお餅のはなし。

えりぴ
(例年以上にとろっとしたおつゆは、なんとも風味豊かで美味しかった)

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