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ベルトコンベアーの向こうからやってくる未来

私たちは決して未来には触れられない。
未来はいつだって一歩先にあって、私たちが触れられるのは”今”だけ。

その今だって瞬間に過去に変わってしまって。
それもまた、触れられないものになる。

思い出に触れていても、触れているのは”今”であって、タイムマシンに乗って過去に行けるわけじゃない。

未来が今になって、今が過去になって。
未来はベルトコンベアーに乗って私のもとにやってくるみたいだ。
私の目の前にある、長い長いベルトコンベアー。
向こうから、未来がきて
目の前には、今があって
流れる先には、過去があって
ずっとずっと動いていて、決して止まることはないこのベルトコンベアーの前で、私はどれだけ今を感じられているだろうか。

今、目に映るもの
今、鼓膜を揺らすもの
今、振り向かせたその香り
今、うっとり目を閉じたその味
今、心を震わせた言葉
今、触れるあなたの手のひら

驚くほど早く過ぎてしまう時の中で、私が掴めるものはきっと世界のこれっぽっちにも満たない小さなひとつ。

その小さなひとつでさえ見落としてしまったり、見逃してしまったり、気づかないフリをしたり、目を背けたり。

たとえば、
「あの時ああすればよかったかな」
「ああ言ったのは間違いだったかな」
なんて後悔に押し潰されていたら、目の前の誰かの優しさに気づけないかもしれない。

たとえば、
漠然とした未来への不安に押し潰されていたら、目の前にいる誰かの笑顔を、誰かの心配りを見つけられないかもしれない。

たとえば、
悲しいニュースの話をずっとずっとしていたら、誰かの嬉しい話を、楽しかった話を、もしかしたら笑い転げてしまうくらい最高に面白い話の種を見逃してしまうかもしれない。

目をひらいて、目の前にある優しさに、笑顔に、心躍る出来事に気づけたら、”今”は、”過去”は、そうしていずれやってくる”未来”は、どんなにすてきなものになるだろうか。
その小さなひとつひとつで私の世界を満たせたら、どんなにたくさんの喜びがあるだろうか。

不安や後悔に押し潰されてしまうときは
うまくできない自分も抱きしめて
深く息を吸って、吐いて。

それから、決めるのだ。
今を生きること。
今にしっかり立っていること。
今、踏み出す一歩のその向く先は自分の心で決めていくこと。

未来のためにできること
それは
今、目をひらいて、今を、めいいっぱい感じていること。
先に続く未来が目の前に来たとき、その”今”を、思い切り愛せるように。

えりぴ


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