本と人と――帝京大学出版会顧問のコモンセンス(5)◎三浦綾子の夫・光世は「聖人」のような人!
今回の本・「氷点・『氷点』を旅する」「三浦綾子生誕100年+α記念文学アルバム」(ともに三浦綾子記念文化財団発行)など
妻の亡くなった恋人の写真を背広の胸ポケットに生涯、抱き続ける――。そんな人が、この世にいるのだろうか。
作家・三浦綾子の夫、光世(みつよ)は、綾子が結婚前に愛した医学生の恋人が亡くなった後に入院中の綾子と出会った。互いにキリスト者だった縁で病床に伏す綾子を見舞い、綾子の前で全快を神に祈り、賛美歌を歌った。
光世は、亡き恋人の存在も受け入れたうえで綾子と結