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ラブライブに学ぶリーダーシップ

本記事は Synamon Advent Calendar 2021

の6日目になります。


アニメ「ラブライブ」をご存じだろうか?

以降ラブライブのあらすじのネタバレを含むので、嫌な方はアニメを見てから続きを読むことを推奨する。

初代のラブライブのあらすじはこうだ。

高校生の主人公穂乃果は、通っている高校が廃校するという話を聞く。
祖母、母、自分が通っていた(いる)思い出のある母校を守りたいと思う。そんなときに出会ったのが、流行し始めていた「スクールアイドル」という高校生が学校を代表してアイドルをする活動だった。
主人公は廃校を救うためにはこれしかないと決意する。
つまり、スクールアイドルの活動で学校を有名にし、入学希望者を増やすことで学校を廃校の危機から救おうという算段だ。
しかしそんな突拍子のないことが可能なんて周りの人は信じず、周囲の反対の声も大きい。
それでもめげずに仲の良い幼馴染から誘い続け、徐々に活動を広げながら下級生、上級生まで巻き込んでいく。
ライバルとぶつかったり、幼馴染の友人が海外に行ってしまいそうにもなったりしながらも、練習と実戦を重ねる。
やがてスクールアイドルの大会である「ラブライブ」でも好成績を収め、入学希望者の数も増えたことで無事廃校の危機を救うに至る。
物語はさらにそこで満足せず、勝ちたい気持ちと応援してくれる人々への恩返しのため、ラブライブでの優勝を目指し、紆余曲折を経て最終的には優勝を勝ち取る。

あなたはこのアニメ、このシナリオを見てどう思っただろうか?

面白い? つまらない? 王道? よくある展開? ご都合主義?

本記事では、このラブライブのシナリオを「リーダーシップの旅」という観点で見直すことで、リーダーシップに関する理解を深めることを目的とする。

書籍の紹介から 

と固い言い方はここまでにして、まずはリーダーシップの旅についてご紹介します。

この記事でご紹介する「リーダーシップの旅」はこちらの書籍で語られている概念になります。

実のところこの記事を書こうと思った動機は、ちょうどこの書籍を読んでいるタイミングでラブライブを見ていて、共通点を見出したからでした。

リーダーシップの旅

この概念の画期的なところは、リーダーシップの姿を結果ではなくプロセスで明らかにしているところで、それを旅という表現をしています。

リーダーはどこからやってきて、どんな経験をし、どこに向かっていくのか。

リーダーの成長プロセスとしてのリーダーシップの旅を、次の3段階でとらえています。

  1. リード・ザ・セルフ

  2. リード・ザ・ピープル

  3. リード・ザ・ソサエティ

これがどういうことなのか、ラブライブのシナリオを思い出してみましょう。

  1. まず主人公の穂乃果が「母校を廃校から救いたい」と思う気持ちから始まり、

  2. 友達や周りの人を巻き込んでアイドルグループを作り、

  3. 本当に母校を廃校の危機から救い、大会で優勝まで成し遂げる

そのままですよね?

このプロセスで重要なところは、リーダーシップはまず一人から始まる、という点です。

リーダーというと複数、大勢の人々の先頭に立つリーダーをイメージするので、2や3のステップを想像していまいがちです。

ですがそのスタートは必ず自分という一人称から始まり、自分がどう生きたいのか、何を成し遂げたいのか、ということから始まります。

偉大なリーダー像の落とし穴

もう一つ、複数、大勢の人々の先頭に立つリーダーのイメージの落とし穴として、「偉大なリーダー像」が指摘されています。

「あなたのイメージするリーダーは誰?」
と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

多くの人が、偉人と呼ばれるような素晴らしい功績を収めてきた人々を答えると思います。

ただしそれには副作用があり、「自分は彼らほどの才能や能力はないので、リーダーなんかにはなれない」と思ってしまうのです。

ですが本当にそうでしょうか?

ここでまたラブライブを思い出してみますと、リーダーである主人公穂乃果は、平凡な高校生で、歌やダンスが特別うまいわけでもなく、アイドルへの理解が深いわけでもありません。

始めから偉大な人だけがリーダーたりえるわけではない、ということです。

ですので偉大なリーダー像と自分を比較して、「自分なんかがリーダーになれるわけがない」と思う必要はないのです。

自然発生的なリーダー

一口にリーダーといっても、組織の枠組みの中ではその成り方でタイプ分けをする考え方があります。

R・J・ハウスによると、以下の3つに分けられるそうです。

  1. 自然発生的なリーダー(Emergent Leader)

  2. 選挙で選ばれたリーダー(Elected Leader)

  3. 任命されたリーダー(Appointed Leader)

気を付けるべきは3つめの任命されたリーダーで、彼らは組織内では権限を持ってはいるが、その本人がリーダーシップを発揮していると勘違いしやすいと指摘されています。

彼らの全員を否定したいわけではありませんが、より本質的なリーダーは、自分で何か成し遂げたいことを抱き、結果としてリーダーになった自然発生的なリーダーなのです。

そしてそのようなリーダーは決して始めから「リーダーになりたい」と思ってリーダーになったわけではない、ということも考えなくてはなりません。

自分が印象的だったのは、ラブライブ1期の6話目「センターは誰だ?」のエピソードです。

そこではセンターにだれが相応しいのか話し合うのですが、(約1人を除いて)(これといって突出しているところがないにもかかわらず)主人公の穂乃果がいいとメンバーは言います。

対して当の本人は「リーダーは誰でもいい、みんながリーダーでいい」と言うのです。

それはリーダーになりたいと思ってなったわけではなく、結果的にリーダーになったからでしょう。

見えないものを見る

最後に一番重要な、リーダーシップの始まりについても触れておきます。

リーダーは一人から始まる(リード・ザ・セルフ)は説明しました。

そのきっかけとなるリーダーシップを一言で説明するなら「見えないものを見る」ことだと著者の野田さんは言います。

自分の中で何のために生きるのか、何のために行動するのかを考え、誰にも見えていない「こうしたい、こうありたい」という衝動に突き動かされて行動を起こします。

そしてその「見えないもの」に共感し、その背中についていきたいと思う人たちが集まることでリーダーとなります。

これはもうお分かりだと思いますが、ラブライブでは物語の主人公である穂乃果が「スクールアイドルで学校を救う」という絵を描いたことに対応します。

このときは誰もそんなことで本当に学校を救えるなんて思っていませんでしたが、それでもその可能性を描き、行動を起こし、結果的に成し遂げたのです。

この始めの想いがなければ、リーダーシップの旅は始まりませんでしたよね。

最後に

いかがだったでしょうか?

こうしてみると、ラブライブのストーリーもリーダーシップの旅に見えてきませんか?

参照元の書籍にはリーダーシップに関するもっと様々な分析もされていますので、ぜひこちらを読んでみて、それからラブライブを見返してみてはいかがでしょうか?

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