デマ「CDCがPCR検査を廃止する」

--------------------------------------------------------------------------------------(2021.08.07追記)                                                                                            CDCが今回問題になっているアナウンスについて情報を更新(2021.08.02)していました。"これを読めば前のアナウンスを元ネタにしたデマが間違っていることが分かるでしょ" 的な内容です。                                                                --------------------------------------------------------------------------------------

またもや新しいデマが世界的に拡散しているようだ。「アメリカのCDCが年内で新型コロナウイルスの検査にPCR検査を行うことを廃止する」というよう内容である。

CDCのアナウンスページをが発端のようだが、よくこの1ページから自分に都合の良い内容を創りあげるものだと感心する。

スクリーンショット (28)

内容の概要は、CDCがFDAに申請していたCDC 2019-Novel Coronavirus (2019-nCoV)Real-Time RT-PCR Diagnostic Panelの緊急使用許可の要求を年内で取り下げる、というものです。この内容を「PCR検査廃止」に都合よく変換しているだけです。CDCのアナウンスは単に、新型コロナウイルスの検査ではCDCが作製したPCR検査手順ではなく、市販されている (FDAが承認している) 他のPCR検査方法 (RT-PCR法を含む) を使うことを推奨する、というだけです。                             日本でいえば、新型コロナウイルスの検査には感染症研究所のPCR検査の手順ではなく、タカラバイオや島津製作所、東洋紡、ロシュなどの市販品のPCR検査試薬の手順で行う、ようなニュアンス。            これまでのCDCのPCR検査方法だと精度が悪いので取り下げる、ということでもありません。市販品が充実しているのでCDCが関与する役割が終わったのと、以下の内容にもあるマルチ検出への移行をしたいのです。

デマ「CDCはPCR検査では新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを区別できないことを認めた」

アナウンスにある、"CDC encourages laboratories to consider adoption of a multiplexed method that can facilitate detection and differentiation of SARS-CoV-2 and influenza viruses."「CDCはSARS-CoV-2とインフルエンザウイルスの検出と識別を容易にすることができる多重化された方法の採用を検討するよう検査機関に推奨する。」に由来すると思われるが、          意味するところは、CDCの方法だと新型コロナウイルスだけしか検出することができないので、インフルエンザウイルスと同時に検査可能な (複数のウイルスを別々にかつ同時に検出可能な) 方法が開発済みなので、そっちを導入することを検討してください、という内容です。                つまり、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを区別できないのではなく、逆で、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに同時感染してもCDCのPCR検査手順だと新型コロナウイルスしか検出することができません。 二度手間で、インフルエンザウイルスの検査もしないといけないので、1回の検査でインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを別々に区別してに検出できる (インフルエンザに感染しても新型コロナと診断されるということはありません) システム (例えば、ロシュ製) の導入を勧めている内容です。

今後も、新型コロナウイルスの確定診断ではPCR検査 (RT-PCR法) がゴールドスタンダードであることは当面変わりません。技術革新が起こり、RT-PCR法に並ぶ高精度で、安価で簡便にできる方法が開発されるその日まで。

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