今年聴いて良かった奴ベスト10 その2 Franco Cerri
Franco Cerri / Chitarra (1964)
2021年はハッピーなソウルが受け入れられた年だとか聴いたが、静かでポジティブな感情というものを今年の自分は西海岸やヨーロッパのジャズに求めていたような気がする。
イタリアンジャズというのはとにかくレコードが高価で取引されていて録音はそんなに良くないけれど時々とてもカッコいいものがある、それぐらいのイメージしかない。聴き漁るために金を積む必要がある恐ろしいジャンルだと思っている。
今年はジム・ホールを筆頭にとにかくジャズ・ギターばかり聴いていたのだが、Gibsonのしっかりした深いトーンではなく、薄いボディでイタリア製のビザールギターから出てくる腰の高いペケペケしたサウンドが気取らなくてもいい気持ちにさせてくれる。
ウェストコーストジャズのような明るさがありながら東海岸のハードバップのような細やかなアレンジが施されており、アメリカのジャズから5~10年ぐらい遅れ、本国では売れない音楽になっているスタイルが楽しげに演奏されている。そんな要素が積み重なってノスタルジーと安心感に包まれる。全部で28分しかないのも良い。
ちなみに4曲目だけはギターではなくベースを披露している。ベースも弾けるのか。
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