卒アルを見るように小説を読み返す【有川浩著「キケン」を読んで】
昔から、1度読んだ小説を何度も読み返すことが好きだ。
ただ、「読んだあのときの感覚を思い出したい」とか「あのかっこいいセリフをもう一度読みたい」とか、そんな理由。
好きな映画を何度も見返す感覚で、何度も小説を読み返していた。
今回も、「あのときの気持ちを思い出したい!」という思いにかられて、約10年ぶりに中古で見つけたこの本を読み直すことにした。
有川浩著「キケン」を読んで
「キケン」は、ある工科大学の機械制御研究部、通称“機研(キケン)”の男たちの話だ。
校庭で爆弾を爆発させたり、学祭では屋台から組んで本気のラーメン屋をやったり。
何にでも本気で、止まることなく一直線で。
「男の子ってこんなにバカなの…?」と思ってしまうほど。
でも同時に、彼らの進むキラキラした青春をその場で体感できるような小説だ。
「キケン」の熱さにあこがれた中学生時代
暇な時間は、家にある小説を勝手に取って読みあさっていた中学生時代。
この「キケン」を読んで、こんなに熱い人たちがいるんだ!と驚いた。
「ダメなことはダメ」と教えられてきていたから、犯罪スレスレの所業をやってのける彼らの話を読んで、自分にはないスリルをこっそり味わっていた。
そのうち、「キケン」が大好きになって、彼らの熱さに浸りたくて何度も読み返した。
当時、13,14歳くらい。
お遊び程度の部活にしか所属していなかった私にとって、何に対しても本気で打ち込む彼らに、“憧れ”と“うらやましさ”を抱いていたのだと思う。
10年後に抱いたのは、“切なさ”だった
10年ほどたった今、その“憧れ”を思い出したくて、もう一度「キケン」を読み返した。
でも、読み終えて感じたのは“憧れ”じゃなくて“切なさ”だった。
「キケン」の最後には、30代になった彼らが、大学の学祭に出向くシーンがある。
とても懐かしくて、でもあの頃にはもう戻れない切なさ。
そんな思いで胸がいっぱいなるシーンだ。
そのなかに、こんな言葉がある。
きっとわたしも、10年の間に宝物を見つけたのだと思う。
わたしにとってのそれは、高校時代の吹奏楽部だ。
寝る間を惜しんで練習して、本気でコンクールに挑んだ。
家族よりもずっと長い時間を仲間と過ごした。
「キケン」を10年ぶりに読んだことで、その“懐かしさ”があふれてこぼれそうになって、“切なさ”でいっぱいになったのだと思う。
うまくまとめようとしたけど、たくさんの思い出があふれてきて、まとめられそうにありません。
とりあえず言いたいのは、「キケン」今でも大好きだー!
気になった方は読んでみてください😊
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