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図書館と情報案内人の話

こんにちは。Mochiです。今日は図書館について書きたいと思います。自己紹介の記事で、「新卒で大学職員になった」と書いたのですが、事実は少し異なります。正確には、「新卒で(図書館司書枠で)大学職員になった」です。私は大学で、本業(某外国語)の傍ら、図書館司書課程を履修していました。そして、新卒で運よく図書館司書として大学に採用していただいたわけです。

とは言っても、私は現在は図書館の仕事をしていませんし、難しい話ではなく、以前の経験から得た知識や、ふわっと頭の中で考えていることを書いてみたいと思います。

「欲しい本くらい自分で買ったらいいじゃない?」

これは実際、私の先輩が就活の面接で、図書館ではない某一般企業を受けた際に面接官から言われた言葉だそうです。おそらく、これと同じ考えを持っている人は多いと思います。私自身も本屋は大好きで、よく本を買ってしまいます。新品の本っていいですよね、清潔で綺麗だし、いい匂いだし。「うちにおいで!」「今日からよろしくね!」と何やら愛着もわきます。

あなたは「図書館」と聞いて何を想像しますか?登録さえすれえば無料で本が借りられる場所?勉強する場所?人それぞれの利用方法があるかと思います。図書館は日々利用者のニーズを調査して、使いやすいサービスや環境づくりに取り組んでいます。

ただし、私はそれはあくまで図書館の「仮の姿」だと思っています。図書館の本当の存在意義って何でしょうか?

例えば

ここでちょっと例え話をしたいと思います。あなたは、未知のウィルスを研究する、研究者です。研究過程でとある論文を読んでいると、自分の研究のカギとなるようなキーワードを見つけました。論文の最後の参考文献に記載されている本を探しましたが本屋にはありません。

近くの図書館に連絡してみましたが、そちらにも所蔵がありません。図書館からのおすすめで、もう少し大きい図書館に連絡をしてもらいましたがそちらにも所蔵がありません。自分の所属している研究機関の図書館でも所蔵がありません。そこで、ほかの日本国内の図書館に所蔵があるかどうか検索をしてもらいましたが、どこにも所蔵がありません。

よくよく調べてみると、海外の大学の図書館に1件だけ所蔵が確認できました。図書館経由でどうにか取り寄せをしてもらい、やっとの思いであなたは必要としていた情報にたどり着きます。

資料の保存と提供

上記の例はほんの一例でしかありませんが、図書館でやっていること、それは「情報を欲している人に情報を届けること」です。例えば、学校の自由研究で何かいい題材がないかな、と思い図書館に行く=図書館で情報を得る、最新の小説を読みたいな=図書館で情報を得る、会社の資料作りのためにパソコンの勉強がしたい=図書館で情報を得る...

つまり、皆さんが「本を借りる」と考えている動作は表面上の動作だけの話であって、それによって皆さんがしている真の行動は「それによって情報を得る」ということだったのです。

ただ、これだけでは図書館の存在意義の説明としてパンチが足りません。ここで登場するのが、「資料の保存」です。上記の「もしあなたが研究者だったら」の例を思い出してください。どうしても欲しい情報で、どこかに存在するという裏付けまで取れている(論文の参考文献に名前が挙がっていたことから)のに、情報が手に入らなかったとしたら。それがとても昔に書かれた本で、もう市場には出回っていないとしたら。

世界中でどこか一館でもその本を所蔵、保存してくれいる図書館があれば、もしかするとあなたの研究は成功し、世紀の大発見になるかもしれません。図書館では所蔵する本をよく吟味して選びます。本は場所を取りますし、購入資金にも限りがあるので、通常の図書館ではすべての本を所蔵することは難しい。新しい本は今日も出版され続けていますから、いつか場所がなくなってしまうため、所蔵する本を決める作業はとても重要な作業と言えます。その所蔵レパートリーは、図書館によって「色」がかなり出てきます。それによって、A館ではこの本を持っていないが、B館では持っているので貸してください、という連携が生まれます。

情報の案内人

「図書館司書」と聞くと、「図書館のカウンターに座っている人」という印象を持つ人もいるかもしれません。カウンターでの利用者とのやり取りも重要な仕事の一つではありますが、本来の任務としては、「利用者に情報を提供するための調査のスペシャリスト」という肩書が一番合うように思います。

図書館スタッフには総じて本好きが多いですが、図書館で働いているからと言って、すべての本を読まなければならないわけではありません。「どこを見れば、手がかりが見つかるはず」という知識と、鋭い嗅覚、そして何が何でもその情報を探して利用者に届けるぞ!という根性が勝負どころになります。

と、こんなことを書いてしまうとスパイのようでなかなか物々しいですが、司書は利用者のほしい情報が手に入るように助けてくれる案内人です。もしほしいものが見つからないときは、気軽に話しかけてみてください。

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最後までお読みいただきありがとうございました!Mochi




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