Wings of Vi ~ 超高難易度アクションゲームだけが教えてくれる面白さ ~
某Discordサーバーの中の、さらに極一部で局所的に流行り続けているWings of Viというゲームがある。
ジャンルとしては『高難度』『死に覚え』『アクションゲーム』『精密プラットフォーム』とかそんな感じだ。近しいジャンルを挙げるならば、アイワナ、スーパーミートボーイ、ジャンプキング、壺男……といったところか。
ただし、これらのゲームとは大きく違う点がある。上記に挙げたいくつかの死に覚えゲーム群は、いずれも操作に関しては簡単だ。移動、ダッシュ、ジャンプ。壺男は…まぁこいつはクソみたいな操作性ではあるが、それでも操作自体は『棒を振り回す』の1種類のみだ。
しかしWings of Viは、かなりアクションゲームとしての比重が高い。移動、ジャンプ、敵への攻撃。さらにステージを進めていくと二段ジャンプ、回避、武器の性能が上がり戦略性の増加、特殊移動etc……次々に操作の種類が増え、それらを総動員してなお歯が立たない程に全力でこちらを殺しに来る。
だがその上で断言するが、Wings of Viは非常に面白い。あまり軽々しく口にするものではないが、神ゲーと呼んで差支えの無いクオリティだと思っている。
ややバタ臭いながらも可愛らしいイラストに惹かれて足を踏み入れたが最後、容赦のない地獄の責め苦を味わうことになるのだが、それらを攻略しているうちにふと「ああ、面白いな」と感じるのだ。
このゲームの面白さのキモは「どうやって攻略するのか」を自分なりに模索する点ではないかと、私は思う。
ゲームデザインは大きく分けて『パズル』と『ボス戦』の2つに分けられている。
まず『パズル』についてだが、もちろんこれもアクションだ。ボスに至るまでの道中ステージで、主人公のViを数々の敵や即死トラップが待ち受ける。それらは往々にして特定の手順を踏まなければ先に進むことができなくなっており、何十、何百回と死にながら手順を模索していくことになる。故に私は『パズル』だと認識している。
Wings of Viの優れている点として、決して理不尽ではないということが言える。殆どの場合、こういった即死パズルの直前にチェックポイントが設定されている。そして1つの難所を抜ければ、また次のチェックポイントがある。これによって思う存分その瞬間のみに注力することができるのだ。
一通りクリアしたが、このチェックポイントの配置に不満を抱いた場面はとても少ない。ごく一部での『難所を抜けた直後の初見殺し』と、2連続で難所を突破しなければ次のチェックポイントにたどり着けない箇所がいくつかあった程度か。それでも絶対に無理だ!とは思えない、とても親切な設計だと思う。
まぁだからこそ、気がついた時には喉元まで沼に浸かってしまい抜け出すことができないのだが……
そしてもう一つのキモの『ボス戦』。こちらも非常に優れている。
ボスはとにかく強い。そして使い回しなどは一切存在しない。こちらを飽きさせないバリエーションの豊富さは、そのままボス戦の度に『相手の行動パターンの把握』が必要であることを意味する。
私がクリアしたのはノーマルモードであるが、敵から被弾するとだいたいHPの1/5を削られる。そして戦闘中に回復は一切存在しない。言い換えれば、5回被弾するまでにボスのHPを削り切れば勝ちだ。そのため嫌でも行動パターンを覚える必要が出てくるというわけだ。
殆どの場合、最初の数十戦はボスのHPの1~2割程度削るのが精一杯だろう。ふと「こんなの勝てるわけがない」と思うかもしれない。しかし人間の適応力というのは恐ろしいもので、諦めずに戦い続けるうちに不思議と被弾率が下がり、徐々に削れるHPの量が増えていく。5割を超えた頃には「もしかしたら勝てるのではないか」と感じ、やがて…6割…8割……こちらのHPもギリギリ。一進一退の攻防…
やがてボスの撃破に成功した時、無意識のうちに歓喜の雄叫びをあげていることだろう。Wings of Vi は、アクションゲームに求める根源的な面白さを再確認させてくれるだろう。
とはいえ、何度も言うがこのゲームは本当に難しい。上に貼った画像はクリア時点での死亡数とクリアタイムだ。参考までに私は各ボス戦で1~2時間程度、ラスボスを撃破するまで5時間半の時間を要している。他のプレイヤーの話を聞く限りでは、(初見プレイならば)これでも相当早いペースらしい。
さて、この幸いにもこのゲームには体験版が存在している。
もしもここまで読んでいただいて少しでも興味がわいたのであれば、まずはそちらから試してみてはいかがだろうか。
私はこのゲームに出会えて良かったと、心の底からそう思う。
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