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旅の記憶が絵になるまで(鹿児島編)

吉祥寺のギャラリーイロのグループ展「framed and unframed」にて、『絵手紙を描く』という作品を出品しました。
2023年の鹿児島での旅をもとにうまれた絵です。

鹿児島にうまれ暮らすカニが、遠くに住む東北のエビに絵手紙を描いて送ろうとしているシーンを描きました。
絵手紙は、左下にいる旅好きのウミネコが運んでくれるようです。

撮影:GALLERY IRO

自分の作品制作や生活は旅に支えられている部分が大きいです。旅に出てその土地の景色や予想外の出来事を自身の五感で味わうことに、とても豊かさを感じます。
旅先での経験は、「絵を描きたい!」という純粋な気持ちを呼び覚ますきっかけとなったり、自身の生活や絵の世界をのびやかに泳ぐための健全な心身もかたちづくってくれたりしているように思います。
旅も絵も同じくらい大切で、欠かせません。

冒頭で紹介した絵は、鹿児島旅をはじめ、あちらこちらでの旅の記憶や経験が自然とあつまってつながりながらできあがっていく感覚がありました。
この絵ができるまでの旅の話や頭のなかでつながっていったことを言語化してみたくて、この記事を書いています。

ただの日記みたいにもなりそうなのですが、よかったらお付き合いください。


鹿児島旅のきっかけ

ソテツが好きなので、ソテツを見に行こうと思いました。

ソテツは約3億年前から現代までほとんど形質を変えていない、生きた化石と呼ばれています。
ロマンを感じるし、葉っぱのかたちやたくましい生命力もかっこいいな〜、いいな〜、と思う植物です。
以前ソテツについて調べるなかで、国内で自生しているソテツの北限は九州まで、という情報を得ていました。

その数年後である2023年、仕事で鹿児島によく行くようになり、県内の様々な場所でソテツを見かけるなかでふとこの情報を思い出し、

自生するソテツは、関東や街中で見るソテツとは何がどう違うのか?
それを見たら自分は一体どんなことを感じるのだろうか?


ということをどうしても自分の目で確かめたくなってきてしまって、半ば衝動的にソテツの自生地に行ってみることにしました。

場所は、Google mapで「鹿児島 ソテツ 自生地」と検索して見つけました。

0日目:居酒屋で情報収集

ソテツの自生地と指宿地方で宿泊するホテルのみ決めて鹿児島まで飛び、初日は鹿児島市内に泊まることにしました。
市内の居酒屋を巡りながら、指宿方面の情報収集をするのが目的です。
鹿児島の居酒屋ははじめましての人たちとも自然と話せる空気感があって、飲んでいてとてもたのしいのです。

居酒屋で出会ったお客さんたちに指宿方面に行くことを話すと、
「指宿行くならちりりんロードを渡るとよかですよ〜」
と良き情報を教えてもらえました。

ソテツの自生地に行くまでの目的地が決まります。

ちりりんロードとは、錦江湾に浮かぶ無人島「知林ヶ島(ちりんがしま)」までをむすぶ砂の道のこと。
海の下に隠れている砂の道が干潮時になると出現し、海に囲まれながら島まで歩けるようになるんだそうです。

この日は酔っ払いながらもなんとか次の日の干潮時間を調べて寝ました。
居酒屋でたべた指宿産のゆでそら豆、おいしかったなあ。

1日目:貝殻拾いは心の深呼吸

朝。
「ソテツの自生地をいっしょに見に行きたい!」と山口から鹿児島まで来てくれた友人と合流し、レンタカーで知林ヶ島を目指しました。

鹿児島ではまちのあちらこちらに椰子の木やソテツを見かけます。
それらを眺めているだけで、南国に来た!!という気持ちになり自然とテンションがあがります。

たくましい椰子の木と特殊なかたちの遊具

関東よりもはるかにまぶしく感じる日差しに目を細め、窓を開けてぬるい風を浴び、真心ブラザーズのサマーヌードを車内で流しながら、最高に気持ちの良いドライブタイム。

…といいつつ、私は二日酔いだったので、午前中ずっと友人に運転をお任せしていました。
ごめんね。。飲み過ぎました。

友人の優しい運転のもと、お昼前に目的地のちりりんロードに到着します。

ちりりんロードの向こうに見えるのが知林ヶ島

つい、うわー!と声が出ました。
絵に描いたようなすばらしい景色でした。
あまりに綺麗すぎて、夢みたい、現実じゃないみたい…とも思いました。

知林ヶ島までの距離は片道約800m。長!
往復で40分はかかるとのこと。
私たちが到着したときは、あと1時間半後には潮が満ちてしまうようなタイミングでした。
できるだけ足早に向こうに行き帰ってこなくてはならなかったのですが、ちりりんロードにはたくさんの誘惑が仕掛けられていたのです…。


そう、誘惑という名の貝殻たちです。

ぺったんこの貝殻

みなさん貝殻拾いは好きですか?
私は大好きです。

貝殻拾いが好きな方にはわかると思うのですが、
貝殻拾いには宝探しのような楽しさ(中毒性?)があって、本当に時間を忘れます。
すてきな貝殻を偶然見つけたときのよろこびや、集めた貝殻を並べて見つめ、自分の選んだ好きなものたちで視界をいっぱいにする時間は幸福でしかありません。心の深呼吸タイムと呼んでいます。

このちりりんロードには関東では見ることのできない貝殻がたくさん落ちていて、拾いながらワクワクと興奮でどうにかなりそうでした。

友人とお互い拾った貝殻を見せ合い、片手いっぱいに貝殻をのせながら、
2人でのろのろとちりりんロードを進んでいきました。

ぺたんこの貝殻はイタヤガイだった!

ちりりんロードを渡り知林ヶ島のふもとに着くと、ボランティアの方達が休憩所をつくってくれていました。
休憩所では、知林ヶ島の渡島証明書(有料)を発行してくれたり、貝殻の種類を教えてくれたりします。
貝殻の名前がわかるとさらに愛着が湧きますね〜。

潮が満ちるスピードが思っていたよりはやかったため、知林ヶ島には上陸せずにちりりんロードをもどることにしました。

…しかし帰りも懲りずに貝殻を拾ってしまいます。全然歩みが進みません。罠?

ついには行きでは歩けていた道に海水が張ってきてしまったので、最後のほうは裸足になってじゃぶじゃぶと海水に足を浸しながら歩きました。
気温は高かったけれど海の水はひんやりとしていて、とても気持ちがよかったです。

海水の中で白く光るキラキラ、ぜーんぶ貝殻!(ほしい!)


・・・

1日目を書き終えるまでに思っていたよりも時間がかかったので、続きはまた後日書きます。
今のところただの日記ですね?



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