「愛ってなんなんだ?」Fairy蘭丸感想
Fairy蘭丸が最終回を迎えました!すでにF蘭ロスです。多くの謎が残っていましたが見事に回収してくれました。それもハッピーエンド、大団円です。ハピエン好きな私にとって万々歳でした。
初めはこんなにワクワクを与えてくれるアニメだと思わなかったので、いつの間にか夢中になり自分でも驚いています。Fairy蘭丸のおかげで毎週木曜が待ちきれないくらい楽しみでした。
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視聴のきっかけ
Anime JapanでFairy蘭丸の配信を見たのがきっかけです。2021年4月から放送される春アニメの一つがFairy蘭丸でした。たまたま配信を見たので内容は全く知りませんでしたが、人間体と夭聖体のギャップが頭から離れず、どんなアニメなんだろう?と気になっていました。
試しに1話を見てみるとロリ女王の前にマッパで集められた夭聖達、エ・フランデミューズ学園、キスでゴリゴリの夭聖に変身、艶歌を歌って戦う…という展開に度肝を抜かれました。何が起こったのか分からない衝撃的な面白さと、1話で感じた興奮は今でも忘れられません。Twitterで他の視聴者も同様の反応だと分かり、普段アニメをたくさん見る人でさえビビらせるFairy蘭丸の破壊力を思い知りました。
そういった風変わりな面白さだけでなく、宗教的な概念や夭聖たちの過去、蘭丸の消えた記憶…など謎が多いところにも興味を持ちました。おそらく多くのファンはこのようなストーリー性に引き込まれていったのではないでしょうか。次第に放送後はFairy蘭丸が度々トレンド入りし、ニコ生も徐々に盛り上がっていきました。
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今回はそんなFairy蘭丸の愛について語ります。少し長くなりましたが、オタクの推し語りだと思って良かったら読んでください。
テーマは愛
アニメのテーマは一貫して愛です。1話でベテルギウス(蘭丸)が『愛ってなんなんだ!』と叫んでいる台詞はFairy蘭丸そのものでした。Fairy蘭丸は『愛って何?』というシンプルかつ超難しいテーマに挑んでいるからです。
全12話に人間・夭聖問わず、恋愛や家族の絆など様々な愛が描かれています。ではアニメに登場する愛とはどんな形があるのでしょうか。
蘭丸にとっての愛
Fairy蘭丸は1話の”恋愛”に始まり、12話の”愛”で終わります。蘭丸の「愛ってなんなんだ?」という問いから、チルカに「愛してる」と初めて告げたのが最終回です。記憶を失った蘭丸は色んな愛に触れて、再び愛を見つけることができました。
☆蘭丸の失われた過去
蘭丸の艶歌「愛らんらんらん」はまさしくラブソングです。過去が分かった上で曲を聞くと歌詞にチルカへの想いが綴られています。
1番の歌詞を私なりに解釈してみました(太字が本来の歌詞です)。
この歌詞を理解するには11話で語られる蘭丸の過去が鍵となります。
蘭丸とチルカはかつて人間界でWinter Tri-Angels(ウィンタートライアングル)というアイドルユニットを組んでいました。愛著を稼ぐため2人はアイドルとして活躍し夭聖界に大きく貢献しました。そんな中、チルカは一人の女性と出会い恋に落ちます。
蘭丸はチルカに相棒以上の想いを抱いていましたが、チルカの幸せを陰から見守っていました。ステージ上で口づけすることはあっても特別な意味はなく、チルカの相棒として今まで通り支えました。しかしチルカから女性と一緒になるためアイドルを辞めたいと宣言されます。もし恋が実らなければチルカは全てを失ってしまうため蘭丸の思いは複雑でした。
(2番の歌詞より)
それでもチルカは愛のため全てを捨て去る覚悟がありました。しかしその恋はあえなく散ってしまい、数日後に女性は謎の死を遂げます。女性の死に女王が関わっていると考えたチルカは反乱を起こしました。蘭丸は女王を守るためやむを得ずチルカと闘うことになります。
チルカからすれば心から愛した女性に振られ、女王には見捨てられ、一緒に頑張ってきた相棒(蘭丸)にまで裏切られたように映ったかもしれません。こうしてチルカは更に闇へと堕ちていったのです。
人が変わったチルカを見て「それほどまでにさせる愛とは何か?」と絶望します。しかし蘭丸もチルカを愛していながらどうすることもできませんでした。「自分の愛とは何だったのか?」を自身に問いかけた結果、全てに絶望した蘭丸は自ら命を絶とうとしました。
その後はショックのあまり記憶を失くしています。人間体の蘭丸は光輝族と思わせるような風貌も無くどこか目立たない存在でした。それこそ今の蘭丸が望む姿だったからです。新たなファミリーと共に人助けをして再び愛著を集めることになりました。
☆蘭丸のクライアント
蘭丸のクライアントは自殺未遂をする場面があります(1話・6話)。その2人とも蘭丸が自殺を止めていました。1話でクライアントが飛び降りようとした際には、こう話しています。
この時、過去の記憶は失ったままですがチルカを救えなかった後悔が残っているのかもしれません。”人の心の苦しみを見て見ぬふりすることはできない”蘭丸だからこそ彼女達のようなクライアントを助けられたのだと思います。
☆蘭丸と新たなファミリー
蘭丸は普段おっとりしていますが、他のキャラクターの核心をつくような言葉や行動が見られました。共に暮らす夭聖達の会話で印象に残った場面を挙げてみました。
蘭丸の言葉は夭聖達の本質をついています。感情を抑えていたうるう、父親のようなヒーローに憧れていた焔、生きるために愛を売っていた寶、自信が持てなかった
樹果といったように全員が異なる種族であり、それぞれ悩みがありました。そんなバラバラな5人もいつしか仲間意識が芽生え、寶が危機に陥った時には全員が力を合わせました(10話)。自然と支え合う関係に家族愛のような絆を感じます。特に最終話で全員同時に変身するシーンは思わず胸が熱くなりました。
もし空っぽの状態のまま記憶を取り戻していたら、蘭丸は現実を受けとめられたのでしょうか。今の蘭丸は仲間の愛情を知って以前よりきっと強くなったはずです。
☆過去の真相
チルカの語っていた過去には続きがあります。主に二つの過去が12話で明らかになりました。
①王国を破壊したのは蘭丸
王国はチルカの叛逆によって破滅したかのように思われましたが、実は蘭丸が原因でした。チルカと戦うシーンで蘭丸は泣きながら語っています。
愛する人が闇に堕ちていくのはあまりにも辛い現実でした。こんな運命になるならチルカを好きになることも、チルカが人間に恋をすることも全て無ければ良かったのにと思ったのでしょう。今さら想いを伝えたところで意味がないことも分かっていました。こうして全てに絶望した蘭丸はチルカを刺し、自らも王国と共に破壊してしまったのです。
②女性がチルカから離れた本当の理由
チルカが人間として一緒になりたいと告げると、女性は「そこまで好きではなかった」とこっぴどくチルカを振ります。しかしこれは愛ゆえの嘘でした。
女性は病を患っていて命が長くありませんでした。チルカから離れたのは、命が短い自分のために人間になるより”夭聖として多くの人を助けてほしい”という思いがあったからです。そして亡くなったのは不慮の事故であり、チルカは女性に心から愛されていたという真実を知りました。
女性からの手紙を受け取り、チルカは改めて彼女の愛を感じ取ります。チルカの流した涙で桜が咲き、ようやく彼女の魂が昇天されたように見えました。
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チルカの想いが報われたのを見て、蘭丸は初めて「愛してる」を伝えました。あの時言えなかった言葉の続きを伝えられて、蘭丸自身も報われたようです。
チルカが蘭丸の気持ちを知ってアニメは終わってしまいました。今後2人の関係がどうなるか分かりませんが、幸せな未来が訪れるよう願っています!
色んな愛の形
蘭丸以外にも様々な愛の形を描いています。まず両思いの恋愛関係ではこの2組が中心になっていました。
チルカ⇄人間の女性
焔の父⇄うるうの母
そして、おそらく片想いをしている関係は以下の通りです。
焔→椎菜(クライアントの女性)
うるう→焔?
※詳細は『うるうにとっての愛』という段落にも書いています。
蘭丸→チルカ
※詳細は『蘭丸にとっての愛』という段落にも書いています。
豊穣→女王?
こうしてみると様々な愛がありました。また恋愛だけでなくクライアントや夭聖の家族愛も描かれています。
<様々な愛>
・家族愛
・同性愛
・人間と夭聖を超えた恋愛
・異性との恋愛
・異種族間の恋愛
・火焔族と水潤族の恋愛
・不倫
夭聖界の恋愛にはいくつも制約がありました。そもそも自由恋愛が難しいのかもしれません。なので重要なのはそれぞれの恋愛を視聴者がどう受け止めるかだと思います。人間と夭聖、種族、性別を超えた愛は現代にも通じるところがありそうです。特殊な恋愛として描くのではなく、人種や性別を超えた愛が共に描かれている新しいアニメでした。
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しかしながら色んな愛があるなかで不倫だけ特殊な結末を迎えていました。アニメで登場した不倫関係は人間も含めると3組あります。どれもうるうに関連する回で登場していました。
①宗次と伊代(人間:3話)
②美梨香の母親と不倫相手(人間:9話)
③焔父とうるう母(夭聖)
正確に言うと①は浮気で、②③は不倫になります。もちろんどちらも悪いですが、浮気は基本的に独身同士で当事者の問題です。そのせいか①の宗次と伊代は別れた後どこか吹っ切れた様子でした。それに比べて②③は不幸な結末を迎えます。この2組の不倫関係はうるうにも深く関わってくるので、共通点と相違点を比べてみました。
2組の不倫関係
不倫が悪いと言えばそこまでですが、母親の不倫と両親の関係性はうるうの愛情観に大きく影響しています。9話に登場する美梨香の母親と不倫相手、うるうの母親と焔父の関係性は似通った点があり、対照的でもありました。またクライアントの美梨香自身も夭聖のうるうに外見が似ていたり、絵が得意だったりと親の不倫以外にも共通点があります。
2組の不倫関係を簡単にまとめると以下のようになりました。
共通点:
・女性は既婚者で子供がいる
・女性は不倫の結果、自ら命を絶っている
・不倫現場を子供に目撃されている
相違点:
<男性>
・美梨香母の浮気相手は独身で最初から遊び目的
→別れた後にすぐ新しい女性と付き合い始めた
・焔父は不倫といえど本気で愛していた
→処刑される際も弁明せずに罪を受け入れた
・うるう母と焔父は最後まで愛し合っていた
・美梨香母は不倫相手に振られている
<女性>
・美梨香母は振られたショックで自殺を図った
・うるう母は笑顔で亡くなっていた
・美梨香母は不倫相手に夢中になる余り、家庭を顧みなくなった
同じ境遇のように思えた美梨香でしたが、意外と相違点が多くありました。特に捨てられたショックで亡くなるのと不倫でも幸せを感じて亡くなるのでは、母親の死の受けとめ方が異なるのではないでしょうか。不倫した母親を責めるのではなく憐んでいた美梨香を思うと可哀想な結末でした。
この対比によってうるうは母親の死を受け入れました。いつもクライアントの涙を拭っていたうるうですが焔の前でようやく涙を流します。そんなうるうを焔が正面から受けとめました。悲しい時に側で支えてくれる人がいたのも美梨香と異なる点です。
このようにクライアントや焔との関わりでうるうは母親の死と向き合うことができました。また自身の恋愛観・愛情観も同時に変化しています。
うるうにとっての愛
うるうはFairy蘭丸の中でも重要なキャラクターです。母親が不倫・自殺した過去があり厳格な父親に育てられたため恋愛に否定的な印象を持っていました。しかしエピソードが進むにつれて、うるうの恋愛観・愛情観は変化しています。
①恋愛とは?(3話)
うるうは幼い頃に母親の不倫現場と自殺現場の両方を目撃しています。これは精神的にかなりショックな出来事だったはずです。その後、厳格な父に育てられたうるうは父親を尊敬していました。「正しい心を持っていれば世界はきっと応えてくれる」という父の教えには、正しく無い心(=十訓で禁じられたもの)は罪であり、排除されるべきという意味もありました。だから常に規律を守り、正しい道を踏み外させるような恋愛は無駄だと思っています。
しかし蘭丸に「泣きたいのに泣けないみたい」と言われ、うるうは動揺します。
他の夭聖達と違い、両親が笑っているシーンはありません。無慈悲にも母親は命を絶った時に笑みを浮かべていました。また言うことを聞かなければ罰するような父親に育てられたため、泣くのを我慢して努力するようになったのだと思います。うるうは父親の教えを守ってきましたが、もっと両親に愛されたかったというのが本音ではないでしょうか。それが「泣きたいのに泣けない」=本音を押し殺して生きる清怜うるうを表しています。
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うるうにとって恋愛が母親を奪った原因であり無駄な感情でした。同時に心の奥底では愛情を求めているジレンマを抱えています。
②火焔族と焔
水潤族のうるうと火焔族の焔の関係性は、うるうの恋愛観・愛情観に変化を与えています。出会った時から正反対のうるうと焔は度々衝突していました。2人は喧嘩しているように見えて、大体うるうから突っかかっています。普段冷静なうるうが反抗的な立場を取るのはなぜでしょうか。原因は主に二つ考えられます。
一つは焔が羨しかったからです。うるうは規律を重んじる真面目な性格でした。それゆえ集団行動を乱したり、感情のまま怒ったりする焔が腹立たしく、同時に羨ましさも感じていたと思います。うるうは愛を知らないまま厳しい父親の元で努力し続けるしかなかったからです。人間世界で生徒会長と不良という真逆の立場からも、自分にないものを持っている焔は目に付く存在でもありました。だから「生まれつき恵まれている奴はそのありがたさに気づけない」と言っていたのではないでしょうか。
二つ目は火焔族に恨みを持っていたからです。母親の死後、うるうの父は”母親が命を絶ったのは火焔族に誑かされたから”だと説明しました。幼い頃に聞かされたうるうは「母親が亡くなったのは火焔族のせい」と思うようになります。しかし初めから焔が不倫相手の息子だとは気づいていません。6話で樹果が父親は卉樹族の族長だと明かし、うるうの父も宰相であったことから他の夭聖達も同様の血筋であると察しました。
つまり1〜6話前半までは”不倫相手の息子”としての恨みではなく、火焔族という種族として焔に当たっていました。明確に焔を仇として当たりが強くなるのは7話以降です。
③貴様は…殺す!(7話)
7話のうるうといえばこのセリフです。今まで歩照瀬と呼んでいましたが、ここに来て貴様になりました。喧嘩とは言え、みんなの前で殺す宣言をしていることから焔の父親が不倫相手だと半ば確信しているようです。
またクライアントの椎菜に恋愛感情を抱いていることも、焔の父親と重なって更に怒りが増しています。そして相手が椎菜なのも気に入らない理由の一つではないでしょうか。椎菜は2話と7話に登場していて、どちらも嘘泣きに見えるシーンがありました。お願いを聞いてほしい時に泣くので、悪く言えば涙を利用するような子です。2話でうるうは椎菜が泣くのを見て(うるうの表情からして)おそらく嘘泣きだと気づいています。泣かないよう必死に我慢してきた自分に比べ、すぐ泣き出すようなクライアントは癪に触ったのかもしれません。しかも焔は気づいておらず二度も助けようとしています。監督いわく「椎菜は女性に嫌われるタイプ」と言っていたので、焔の惚れっぽさというか騙されやすいところが出ていました。それが更にうるうをイラつかせます…
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椎菜がアシスタントに裏切られた時、焔は助けなければ良かったのかと自問自答します。そこへ悪役の高笑いのようなうるうが現れました。
これは焔にも言えるし、焔父のことにも捉えられます。焔父の正義感によってうるうの母親は助けられたかもしれません。しかし2人は恋愛関係に陥り、結果的に帰らぬ人となりました。また6話前半の焔との喧嘩では、クライアント(伊代)は誰も傷つけてなかったと言う焔にうるうは「僕は傷ついたよ」と返しています。
純粋に”助けたい”と話す焔にうるうは傲慢だと言いました。「お前にあいつは救えない」は言い換えれば「俺しかあいつは救えない」にも聞こえます。それがうるうには傲慢であり、つまらない正義感に映ったからです。
しかし焔は椎菜を助けに行きました。幼い頃に『火は正義の力であり、夭聖界のヒーロー』だと父に言われていたからです。無事に邪魂を浄化しましたが突然チルカから攻撃を受けました。(「人間に恋する愚かさを教えてやった」と言っていますが、チルカも焔に過去の自分を重ねていたんだと思います。)水中に沈んだ焔を助けたのは他でもないうるうでした。
④焔を助けた理由
因縁の相手でもある焔をなぜ助けたのでしょうか?まずここまでのうるうの恋愛観をまとめると下記のようなものが挙げられます。
またアニメーター・石川てつやさんのツイートによると、人工呼吸した理由は怒りや憎しみが8割、キスへの興味が2割だと話しています。これをヒントに考えてみました。
怒りや憎しみが8割
・火焔族であり恋愛をしている焔が憎い
・焔は不倫相手の息子の可能性が高く、許せない
・まだ勝手に死んでほしくない
キスへの興味が2割
・母親がキスしている場面を目撃している
・母親の心を狂わせた恋愛が何か知りたい
<人工呼吸した理由>
今まで焔に対して憎しみの感情を抱いていました。しかし7話で水中に落ちた時、まだ仇の息子という確証は得られていません。もし仇討ちを考えていても自分以外の奴に殺されるより、いつか自分で手を下したいと思うはずです。なので焔のことは憎んでいても結果的に救い出したのではないでしょうか。
<キスの理由>
うるうは恋愛を無駄だと思う一方、実際どういうものか分かりませんでした。唯一、母親と不倫相手のキスシーンを幼い頃に目撃しています。キスに興味があるのは普段笑わない母親を狂わせた恋愛(キス)とは何か気になっていたのだと思います。
8話で首を絞めようとしたのも、恋愛感情を抱いている焔と焔の父親が重なり憎しみが上回った結果だったのでしょう。
⑤熱さの正体(9話)
不倫関係の段落でも書いたように9話はうるうにとって重要な回です。自分と似たような境遇にいたクライアントの美梨香と出会い、うるうの考えが大きく変わります。美梨香は母親が不倫相手と破局するよう願っていましたが、母親は不倫相手に捨てられて自ら命を絶ってしまいました。願いは叶っても大切な家族を失ったクライアントを見てうるうは呆然とします。
不倫の末、自ら命を絶った事実だけを見ればうるうも美梨香もあまり変わりません。ただしうるうの母は最期まで愛し合い、笑みを浮かべて亡くなりました。普段感情を見せない母親が笑顔で最期を迎えたのは幸せを感じていた証でもありました。
9話ラストでうるうは焔に「母は笑顔で死んでいった」と涙ながら打ち明けます。その様子を見た焔は「辛いことがあるなら思い切り泣けばいい」と黙って受けとめました。それから”火焔族と恋愛に溺れたから命を絶った”のではなく、”火焔族に母は救われたから笑顔で亡くなった”と考えるようになりました。
うるうは焔を憎んでいたし仇を取ろうともしていました。でもうるうの危機を救ったのも焔で、我慢していた涙を流せたのも焔の前でした。「熱い」とこぼしたのは火焔族の真っ直ぐな優しさを感じたからです。そして母が感じていた熱さの理由を理解した瞬間でもありました。
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☆突然うるうが泣きながら母親の死を告白しても、焔が動揺せず自然に受け入れたのは父から教わった正義心からでした。
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母親の死と向き合えたことが、うるうの恋愛観・愛情観を変えました。
・愛を知って心が救われた
・愛は熱く、温かいもの
うるうと焔は11話で初めて笑い合える関係になりました。やっと心の距離が近くなっていよいよ最終話です。
⑥真実を知った焔
焔はうるう母の死に父親が関わっていたことを知りませんでした。女王から初めて真相を聞かされた焔は「俺を殺してくれ」とうるうに懇願します。なぜ今までうるうが焔を嫌っていたのか、母親の死を告白した時に涙を流していたのか全て理解したからでした。焔の性格からして人前で泣くことは滅多に無いはずです。それもうるうの前で泣きながら殺してほしいと縋るのは、相当なショックを受けていたからだと思います。
そんな焔を見て「お前の父は命懸けで母を救おうとした」と肯定します。続けて、何もしなくても母は命を絶っていたとも言いました。確かに回想シーンを見ても、あまり幸せな結婚生活とは思えません。うるうは母を”心の温かさに一瞬でも触れられて幸せだった”と捉えるようになりました。
うるうは焔の父を一切責めることなくむしろ理解を示しました。思わず涙がとまらくなった焔を不意に呼び止めてうるうがキスをします。
⑦うるうがキスした理由
夭聖の口づけには別の意味もありますが、このシーンは正真正銘キスだと思います。その理由を3つほど考えてみました。
1. 焔を泣きやませたかった
泣いているヒロインに笑ってほしくてイケメンがキスするパターンです。夭聖体のうるうは衣装やヒールも含めて中性的なセクシーさがあるにも関わらず、このキスシーンは少女漫画さながらのイケメンでした。背景のキラキラ効果もバッチリきまってます。うるうが泣いた時は焔がカッコよく受けとめていて2人ともイケメンっぷりが凄いです。
2. 和解したと示したかった
焔は自分の父親が死に追いやった原因だと感じています。うるうは愛を知って母の死を克服しました。焔父が母を助けたかったことも理解した上で、自分はもう大丈夫だと焔に伝えたかったのだと思います。キスした後には「これで許してやる」と余裕の笑みを浮かべていました。
3.ただ焔にキスしたかった
単純にこの可能性もありますよね?
焔の前で泣いてから、うるうはようやく母の死を受け入れました(9話)。温かい優しさに触れ、恋愛感情でも焔に惹かれたのではないでしょうか。それに焔の涙は、いつも強気な焔が弱さを見せた瞬間でした。愛を知り、母の思いも理解したうるうは人工呼吸ではないキスがしたくなったのかもしれません。キスの直前には歩照瀬や貴様でもなく焔と呼んでいました。
皆さんはキスの理由は何だと思いますか?もしかしたら1・2・3全部当てはまるかもしれないし4の可能性もあります。もし「こうかな?」と思うものがあれば、ぜひコメントで教えてください。
うるうの恋愛・愛情観の変化
①〜⑦までの恋愛・愛情観の変化をまとめました。
・恋愛は無駄なこと
・恋愛は心を狂わせる
・心根では愛を求めていた
・恋愛は争いの種を蒔く
⬇︎
・母を死に追いやった愛(火焔族)が憎い
・心を狂わせる恋愛とは何か?(興味)
⬇︎
・愛を知って心が救われた
・愛は熱く、温かいもの
⬇︎
・母を救ったのも愛
・相手を理解し、許すことも愛情
愛を知って強くなったうるう君は無敵ですね。これから幸せが訪れますように!
感想
Fairy蘭丸の愛についてまとめてみました。あくまで私から見た愛なので、こんな受け止め方もあるんだな程度に読んでいただければ幸いです。Fairy蘭丸の愛を語るのに蘭丸とうるうは欠かせなかったので2人を中心に書きました(あまり触れられなかったけど樹果も寶も大好きです)。
アニメ前半は焔とうるうの確執が目立ちましたが、後半はやはり蘭丸とチルカが印象的でした。記憶を失った蘭丸が新たなファミリーと愛著集めに奔走したからこそ、最終的に愛を見つけられたのだと思います。
アニメを見て愛を感じたのはキャラクター達だけではありません。それは制作者や声優陣、監督の愛です。アニメはコミカルな部分とシリアスな場面がありますが、どれも全力でした。ストーリーはもちろん、衣装やBGM、背景に至るまでこだわり抜いて作られているのがよく分かります。その愛が視聴者にも伝わって更に感動を与えたのではないでしょうか。
Fairy蘭丸に出会えて良かったです。
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