見出し画像

成果を出すMGRに共通している3つのポイント

こんにちは、株式会社ベーシックのThe_mochidaです。
本noteは2021年セールスイネーブルメントカレンダーの12月21日を担当しています。

本noteで書くテーマ

実は、ちょうど1年前の2020年12月頃、10名ほどの営業MGRに対して、イネーブルメントについてヒアリングさせてもらった時期がありました。
何をやっているか何を大事にしているかの大きく2軸で聞かせていただき、やっていることについては組織規模や事業フェーズも企業によって違うのでバラバラでした。しかし、メンバーが成果を出しているチームのMGRは「大事にしていること」の方に共通項が多くあり、今回はその内容をまとめました。イネーブルメントの手法というよりは、イネーブルメント施策を効果的に発揮するためのマネジメント、という意味合いで読んでいただくとわかりやすいかもしれません。


セールスイネーブルメント=営業のみんなが売れるようになる仕組みのことと整理した時に、僕は土台と手法の両方が機能しなければ成立しないと思っている派です。

土台と手法のイメージ図

土台だけでは成長をメンバーに委ね過ぎてしまうし、手法だけでは血の通っていないただのルールでしかないかなと。両方揃って初めてイネーブルメントとして最大限の機能を発揮するはずです。

  • 新任のMGR

  • MGRを目指している人

  • MGR業務に疲れちゃった人

上記のような方々に見てもらえると少し役に立てるのではないかと思います。

なお、大枠でイネーブルメントの体制は下記2通りあると思っています。

イネーブルメント体制大枠2通り

どちらの視点からも、今回のアドベントカレンダーでたくさん発信されていますね。インタビューさせていただいたみなさんは全員パターン1の方たちでした。

マネジメントとイネーブルメント

この違い、みなさん自信を持って言えますか?イネーブルメントの定義が定まりつつあるようで、複数の解釈に分けることもできる今の日本では、マネジメントとイネーブルメントの違いもまた、人によって分かれるところなのかもしれません。

manageを辞書でみてみると、man(手)でage(為る)ことから、馬術、馬を手綱で操ること、とあります。そしてmanage to doとは「なんとかして(どうにかして)〜する」。自分の手によって困難な状況をなんとかするもの、それがマネジメントの語源です。

人材マネジメント入門 著者 坪谷邦生より抜粋

上記を踏まえて、僕の中では下記のように整理しています。(この整理が正しいということではなくあくまでも僕の中の整理です)

マネジメントとイネーブルメント

今回テーマにする「MGRがイネーブルメントにも取り組む」というケースでは、マネジメントとイネーブルメントが切っても切り離せないものだと考えており、マネジメント業務の一部にイネーブルメントがある、という位置付けです。このイメージを共通認識にしていただくと、これからの内容がぐっと理解しやすくなると思います。(というか、マネジメント寄りの内容です)
イネーブルメントに取り組んでいるMGRのみなさん、施策の筋(=how)ばかり気にしていませんか?
施策内容しか気にしてなかったかも!」と思ったそこのあなた。
ご安心ください。僕があなたの代わりに色々なMGRに伺った内容を共有します。先人に学びましょう。

成果を出すMGRに共通する3つのポイント

成果が出た施策は?と聞いた際の回答としてはバラバラだったのですが強引にまとめると、可視化、資料改善、トークスクリプト改善、商談進め方の改善、という内容でした。細かくは割愛しますが、橋本さんのnoteに書いてあることばかりでしたので参考になると思います。
僕がグッときたのは「何を大事にしているか」について回答してもらった時です。

  • 目標設定と経過観察

  • コミュニケーション

  • MGR自身のこだわり

この3つがインタビューさせていただいたみなさまに共通しており、まさに「土台」に当てはまるなと感じました。一つずつ整理してみます。

1.目標設定と経過観察

目標設定こそMGRの力の見せ所だと語る方が多く重要視している方が多かったです。ここでは3点の共通項をシェアします。

a.複数の目標を設定する

特に営業の場合、売上や受注件数などのメイン目標の設定のみで運営されており「達成したかしていないか」の結果だけで評価する仕組みの場合が多いと思います。もちろん、売上をあげることが営業としては最大のミッションなので大事なのですが、成果を出しているチームのMGRは「売上以外の目標も設定している」ことが多かったのです。

例をあげると

  • 受注率を向上を目的としたクロージング周りに関しての取り組み

  • 案件化率向上を目的とした初回商談周りに関しての取り組み

  • 受注後の顧客サクセスを目的としたCSとの連携

  • より効率的な商談管理を目的としたSFA整備について

このような感じです。
メイン目標は自分の成績、サブ目標はチーム全体に関わることという感じですかね。サブ目標の評価基準は、「いつまでに◯◯という状態にする」という基準になっていることが大半のようでした。
サブ目標設定の効果効能としては、個人の受注しか追い求めない受注マシーンではなく仕組みで物事を解決していくマインドの醸成にも役立っているようです。

b.ストレッチした目標を設定する

目標が高すぎると達成方法がわからないし、低過ぎても手なりで達成してしまう。一番本人の実力を高めるのは「一見すると達成できないという印象になるが今までの集合知を駆使して工夫の限りを尽くし最後の最後まで諦めず取り組んだ結果100%ぴったりでギリギリ達成できる」目標です。
エイヤーでメンバーの目標を決めていたり、ただ経営目標から逆算して必要受注金額を割り振っているだけという人もインタビューしましたが、メンバーの成長はどうかという問いに対しては十分とはいえないという人が多くいました。
メンバーの成長が著しいという回答の人は、メイン目標、サブ目標共に目標の難易度にかなり気を遣っていました。人によってはMGR業務で最も時間を使うと言っている人もいました。

c.失敗ラインの見極め

人は失敗からしか学べないという考え方の人が多かったのも印象的でした。
子供は「転んだら痛い」という学びを通じて「次から転ばないようにしよう」という痛みを伴う成長があります。これと同じで、挫折や修羅場といった失敗経験を通じてビジネスパーソンは成長するという考え方です。
ただ、致命傷にならない程度の失敗を経験させる、というのは個人的にはすごく難易度が高いと感じており、僕は苦手分野です。
メンバーを成長させることが得意な人は、総じてこのポイントが上手でした。

意図的な失敗のイメージ図

「介入しないラインを決める」ことが重要ですが、話しを聞けば聞くほど、「僕は過保護だったなぁ」と反省しました。
少しのズレも許せないせこい人間になっていました(B’z LOVE PHANTOM)。

失敗からどう学ぶか、については松尾睦さんの経験学習リーダーシップという本がわかりやすくおすすめです。

目標設定におけるコツとは、メイン以外のサブ目標もメンバーがギリギリ達成できるかできないかのラインを考え抜いて設定し、目標達成を通じてどう成長してほしいかを描きながら、あらかじめ決めていた介入ポイントに達するまではクリティカルにならない程度までの失敗を許容し見守ること、だと思いました。

2.コミュニケーション

共通するポイント2つ目はコミュニケーションです。
これ間違うと、ただの目標を高く設定しがちな鬼MGRとなるのでご注意ください。注意ポイントは2つあります。

a.当たり前の基準

見落とされがちなんですが、これ非常に重要だと思います。
インタビューした人全員が言っていました。
営業MGRは、最初からMGRなのではなく新人の頃はそれなりに苦労してきてる人が大半です。その中で成果を出しMGRに抜擢されるんですね。
抜擢される=期待されている
期待されているということは、他の人よりも実力がある、もしくは見込みがあると思われている状態です。
そういう人って例外なく努力しているんですよね。なので当たり前のことを当たり前にできるし、その基準値が高い。

  • レスが早い

  • 小さい約束を守る

  • 時間に遅れない

などのごく当たり前のことですが、総じて普通の基準が高いと思います。自分の当たり前の基準が高いということを認識しているMGRはコミュニケーションがとても上手です。認識できていないとこういうことが起こります。

当たり前基準の差を認識していないMGR


あるあるですよね。
MGRは能力が高いから抜擢されているはずなのに、自分と他人の当たり前基準が異なることを認識できていないとただのクラッシャーと化してしまいますので、気をつけましょう。

b.手加減力

これは僕が勝手に名付けているチカラですが、非常に重要だと思います。
前述した当たり前基準に似ているのですが、子供とキャッチボールする時を思い浮かべてください。
最初は優しく投げて、徐々に力を加え早くしていきますよね。
捕球できるかできないかギリギリのところを見極めて、受け取れる限界を見極めようとしますよね。手加減力はその思考バージョンです。

メンバーと会話している時、3手先の考えを言っても伝わらないことありますよね。伝わっていないなと思ったら、自分の思考の中で無意識にすっ飛ばした1手目、2手目も丁寧に伝えてあげる、そして次回の会話からちゃんとメンバーが受け取れる◯手目を見極め会話する。これを僕は手加減力と呼んでいます。さらに、もうすっ飛ばしても大丈夫だなと思ったらさらに3手先の考えを投げかけてみる。この繰り返しのキャッチボールでメンバーの思考は育ちます。MGRによっては「自分は言った。わからないのはメンバーが成長しないからだ」というスタンスの方もいます。それはそれで間違いとは思いませんが、誰もが成長できる仕組みを目指す世の中のイネーブラー達は目を背けてはいけないコミュニケーションだと思います。
気をつけないといけないと感じたのは、情報量の差で手加減力を出してはいけないということです。MGRはメンバーよりも情報が集まります。「それ知ってたら最初から着想できるよ」という後出しジャンケンにならないように、しっかりと前提情報は共有した上で会話することを心がけましょう。

3.MGR自身のこだわり

最後は、MGR自身のこだわり(=美学)についてです。
MGRになった瞬間から美学を持っていたという人はいませんでした。
みなさん、色々な経験をしてきた中で自分の軸や理想を確立されてきていました。

  • 絶対にチームで◯◯をやると決めている

  • チームビルディングの方法は◯◯で行うと決めている

  • メンバーには敬語を使う(自分が強面だから少しでも和らげたいという気持ちで)

  • 結果平等よりもプロセス平等だ(逆も然り)

  • 絶対に1日にチーム全員と少しでも会話する

  • etc

人によって大事にしているポイントは違いましたが、共通しているのはこうなりたいという自分自身の確固たる理想のMGR像がある、ということです。
言動不一致や率先垂範できていないMGRにはついていきたいと思えなくなるし、どんなに素晴らしいイネーブルメントの仕掛けも、メンバーが本気で取り組もうと思えなければ空中分解してしまいますよね。考え抜いた施策の実行力をあげるためにも、個のMGRに対しての信頼ポイントは高い方が良いに決まっています。
また、こだわりだけでなく、自分の「苦手なこと」をメンバーに理解してもらっているか、というのも大事にしている方が多かったです。苦手なことを理解してもらっていれば、得意なメンバーが手を挙げてくれるのだそうです。そうやって得意なことを伸ばしやすいチームになっていくんですね。MGRになったら、「全てにおいてメンバーより秀でていなければいけない」と変に意気込んでしまう人も一定数いますが、そんなことはないんだと思わせてくれるインタビュー結果でした。

最後に

イネーブルメントの実行力を高めるためには、土台(=マネジメント)が必要だよね、という内容でした。施策の筋も大事ですが、そもそも施策の実行力は高いか?という問いかけを常に自分にしている人が多かったですね。

余談ですが、初めてメンバーを持つことになった24歳頃の僕は、とてつもなく信頼されないMGRでした。今となれば良い経験だし、当時抜擢してくれた部長の期待に応えたくてがむしゃらにやってましたが、チームとしての成果は全く出ませんでした。
思い返せば、今回書いた内容の全てに相反していました。うまくいくはずがないですね笑
そんな僕でも、経験を重ねるにつれて少しずつできることや、メンバーの成長を感じることが増えました。
誰でも最初は新人です。MGRや部長も初めて役割を担う人は新人です。
背伸びしても対して変わらないので、新人らしくどーんとぶつかっていきましょう。
今回インタビューに応じてくれた人も、もれなく全員「最初は全くうまくいかなかった」と言っていました。やはりそんなものですね。
MGRだからといって変に気負うことなく、等身大の自分でいきましょう。
メンバーはわかってくれますし、きっとみんな一生懸命やってくれます。

そうはいっても、もう関係性ができちゃってるよ、変えられないよ!というそこのあなた。
そんな時はこの本がおすすめです。

きっと役に立つと思います。
僕も24歳の頃に10回は読みました笑
今でも僕のバイブルです。

イネーブルメントのことでもなんでも、持田とちょっとおしゃべりしてみたいなと思った方、ぜひ下記から予約していただき、ディスカッションでもしましょう!









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?