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電話応対技能検定を受けたお話

このnoteは「corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2020」の12/11 のエントリーです。

こんばんは、鬼無里と申します。

このnoteでは、情シスやエンジニアの方にはあんまり馴染みのない資格である「電話応対技能検定」を受験してみた体験記めいたものを書き綴ってみようと思います。

内容的に「情シス向けなのか?」とは思いましたが、たぶんこの資格を取得してる情シスさんはあんまり多くはない気がしますし、物珍しい投稿があってもよいのでは?と思った次第です。

自己紹介

これを読む方はほぼはじめましてなので、私のごくごく簡単な略歴を載せておきたいと思います。

・文系大卒、地方SIerに就職してSE人生をスタート
・勤務先の閉鎖に伴い転職
・田舎の製造業にて情報システム担当として雇われ、今に至る
・好きなツールはPowerAutomateとTeams

なんともパッとしませんが、とりあえずこのような者が書いている、ということでお願いします。

電話、してますか?

皆さんはお仕事で電話することはあるでしょうか?
情シスをやっているとヘルプデスクやら業者さん、ベンダーさんとの電話は結構しているのではないでしょうか。
ヘルプは電話で受けてないよ!という方、羨ましい限りです。

人生、絶対何らかの形で電話なり音声通話なりはすることはあると思います。

電話をしているとき、相手の応対が気になったことはありませんか?
とても感じのいい方と電話した後は気分がいいですし、妙にたどたどしい相手だと大丈夫か?入りたてのバイトか?と不安になりますし、あからさまに雑に会話されてガチャ切りされたりしたら殺意が沸きますよね。

翻って、自分自身の電話応対はどうでしょうか?
胸を張って上手くできている、と言えるでしょうか?
相手に満足感を与える対話はできているでしょうか?

私はこの資格試験を受けるまでは「人並みくらいにはできてるんじゃない?」と思ってました。

でも、素人が考える「人並み」って、全くできていないに等しいものでした。

受験の発端

そもそもなぜこの資格試験を受けることになったかというと、勤め先が業務として資格取得に取り組んでいたためです。
私の所属部署なのですが、総務系の事務部隊に居場所のないひとり情シスがお邪魔させてもらっている、いわば居候みたいな状態です。

部署の目標として、「部署内全員の電話応対技能検定資格取得」が掲げられておりました。当然ながら私も対象です。

最初は「えぇ…私(自称)エンジニアだぞ…そもそもそんな高頻度で電話取らんし…」と戸惑いしかありませんでした。
ただ、直属の上司であり情シスを管轄しているボス(元SE)が資格をとっちゃったので逃げ場もなく、内心しぶしぶながら試験勉強を始めました。

最初は渋々でしたが、テキストを読むうちに「意外と知らないことばかりだし、今まで常識として教わってきたことも間違ってたり情報が古い、これはもっとちゃんと知識とスキルを身に着けたい」と思うようになりました。

エンジニアって、一度自分が興味を持ったものは細かい所まで調べる習性がありますよね…。

電話応対技能検定とは

ざっくりいうと、「ビジネスシーンにおける電話応対およびビジネスマナーの知識・スキルを習得する」ことを目的とした認定資格です。

詳しくは主催元のこちらの情報をご覧ください。

似たような資格に秘書技能検定がありますが、あちらはマナーと、仕えるべき上司のサポートスキルがメイン、こちらは電話応対がメインと棲み分けがあるようです。
メインターゲットとしてはコールセンターやサポートセンターのオペレーターや、受付業務担当者の方でしょうか。受験生の方々はほぼその手の業務に従事している方々でした。(運送会社のオペレーターさんや金融系の窓口の方、カスタマーサポート担当の方など)
およそ情シスが受けるような資格ではないと思います。

なお、3級まで取得すると「電話応対の基本はできてるぞ!やったね!」と認められたことになるそうです。
この「基本」までが結構大変でした。

ちなみに、私は4級→3級とステップアップ受験してます。

電話応対技能検定4級試験について

ペーパーテストのみです。

ビジネスマナー、電話応対基礎知識、日本語知識などの分野があり、トータルとして「組織勤めの社会人」が学ぶべき基礎的な知識を要求されます。
数年ほど社会人経験があれば大体内容はわかりますが、「えっ、これ駄目なの?」みたいな豆知識も得られたりして面白いです。

例えば、「弊社」って表現ですが、これ電話口で言うのはお勧めされないそうです。
弊社はあくまで書き言葉なので、電話口では「わたくしども」というのが良いそうです。

「そんなん別に変わらんやろ」という意見をお持ちの方もいるかと思います。ぶっちゃけ私も違いがわからんし、相手が弊社って言ったとしてもいちいち目くじら立てませんし。
ただ、例え相手が知らないだろうしこちらも適当、という感じで対応してては、ずっと自分の水準は低いままだと思うんですよね。色々と。

長い事電話応対を生業としてきた先人たちの知見として、「こっちの方が感じがいいよ」っていうのは素直に取り入れた方がいいと思う!
…というのが4級を受験してみた感想でした。

試験自体はペーパーのみ、合格率もまあまあなので、テキスト読んで勉強して、サクッと一発合格しました。(でも試験当日は緊張のあまり吐きました)

どんなもんなのか知りたい方は4級受けてみるだけでも、だいたいの感じがわかるかと思います。
受験料そんな高くないですし。

おまけとして、4級から継続して3級も受ける場合は、3級のペーパー試験免除、2年間の免除状態での3級リトライチャンスが与えられるというメリットもあります。

電話応対技能検定3級試験について

実地講習と、ペーパーテスト・実技テストがあります。

3級からいきなり受けようとするとまる2日の座学・実技の講習を受ける必要があります。(4級保有だと一部免除)
社会人にはこれはなかなかきつい。
会社がやれと言わない限りまずやれないでしょう。

講習は、指導者資格を持つマスタークラスの先生(セミナー講師やマナー講師の方が多い)が行ってくれます。
とてもフレンドリーでユーモアに富んだ内容でした。

流石対人コミュニケーションで飯を食ってる人は違いますね。恐ろしくコミュ力が高い。ガンガン話しかけてくる。でもほどほどでスッと引いてくれるのでこちらが気疲れしない。(すごい)
決して否定しない、上から目線ではない、出来なくてもいいところを見つけて褒める、でもポイントは指摘して是正する etc... これがプロか…。

講習では実際に電話機を用いた応対練習も行いました。
応対は録音されていたので、改めて自分の声をチェックし、講義内容が全然実践できてなくて「これはあかんなぁ」と思ったりしました。

4級取得でペーパーテストは免除だったので、受けた試験は実技のみです。
試験官と1:1で実際の応対を行うのですが、普段と大して変わらない電話(取次だとか用件きくだけとか、本当に簡単なもの)にもかかわらず、全然できてませんでした。

実技むずい!すごくむずい!いつもの電話とぜんぜんちがう!!なんで!?

言葉遣いとか細かいところもそうなんですが、ベースとなる「相手に満足してもらって終話できたか」が駄目、結果不合格でした。
諸々の反省を踏まえ、次回の試験で何とか合格しましたが、なんか文章が結構長くなってきたのでそのくだりは割愛とさせてください。

わかったこと

資格を取ってみるまでは「電話ってそこまで大事?用件伝わればいいのでは?」と思ってたのですが、一度その道のプロから教えてもらい、その後実際に電話に出てみると、「思ったよりもみんな雑だなぁ…」と感じるようになりました。

良い電話は具体的に何が良いのか、逆に駄目なものは何がいけなかったのか。
声のトーン、言葉遣い、内容の正確性、簡潔かつ的確に情報を伝えているか、相手が何を求めているか理解しようとしているかなどなど…。

「雑」と感じた方を貶しているというわけではないです。
業務にもよりますが、一般的には3級相当の応対はそこまで必要とされませんし、実際そんなに丁寧に応対されている企業さんは多くありません。
無論、社内ではいわずもがなです。(弊社は製造業なので現場の人は割とワイルドな方が多いです)

でも、どうせやるなら良い品質で、と思うじゃないですか?

少なくとも自分は相手にとって良い応対者であり、良い印象を与えたいな、と思うようになりました。

気をつけるようにしたポイント

色々学びましたが、全て実践するのは難しいので、これだけは気をつけよう、というポイントは絶対守るようにしました。

1.第一声は明るく

対話の印象は開始5秒で決まります。
実際の試験や講習でも第一声を重視していたので、どんなにトラブルやヘルプが重なって疲弊していても、第一声は努めて明るく発生するようにしました。

具体的には「家電に出るお母さんの声のトーン」を意識してました。(高くて響くやつ)

2.要件は復唱確認

復唱することのメリットは、具体的な内容の再確認もそうなのですが、「お話はちゃんと聞いてましたよ」と相手を安心させることにあります。

復唱しながら電話中に取っておいたメモを再確認できればなおよしですね。

3.終話も明るく

つまるところ、明るく話すことに尽きるんですよね!!

終わりよければすべてよし、ではないのですが、たとえトラブルの電話であっても相手に「申し訳ない」と思わせたまま電話を切っては負けです。(明らかに相手に過失がある場合は除く)

そういうのが積もり積もってサポートコールのハードルを上げてしまうので、絶対に残念な気持ちのまま受話器を置かせまいとしていました。

(こういう考え方の是非は別として)情シスのお客さんは社内のユーザーだと思ってるので、顧客満足度を高める手段・手法は必要だと思うのです。

得られた効果

シンプルに「頼ってもらえるようになった」ですね。

中途入社からもうじき二年ほど、着任当初は慣れなさもあってか、サポートコールや問い合わせは前任であるボスへ直接指名でかかってくるのが大半でした。

現時点では全社の皆さんが九割九分私宛にコールしてくれるようになりましたし、よそよそしかった応対やきつめの口調をしていた方も、柔らかい態度で接してくれるように軟化しました。

勿論、業務の積み重ねで認めてもらえた、というのもあると思うのですが、その後押しやバフ的な意味で電話応対は有用だったと思っています。

テクノロジーが発達し、音声認識するAIが質問に答えてくれる時代で、電話のスキルは果たして本当に必要なのか?とは思われるかと思います。
チャットでのサポートも盛んですし、Botも色んなところで稼働してます。
だからこそ、電話口くらいせめて人間らしく応対を行うことが大切なのではないでしょうか?

たぶん人の心を理解し、共感し、温かみのある音声対話を行えるAIが出てくるのはもうちょっと先の未来なんじゃないかと思います。
それまでは、電話応対というものは我々人間のお仕事の一つなのでしょう。

そんなことを考えさせられた資格のお話でした。



…という記事を書きながら、情シスのお仕事では、テクニカルサポートの電話受付を廃止して、全部お問い合わせフォームでの受付に集約しようと計画してます。

そりゃもうお仕事は効率がいい方が良いに決まってるじゃないですか。

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