Microsoft 365 でヘルプデスク業務環境効率化

こんばんは、しがない情シスです。

今回はヘルプデスク業務の効率化を行ったお話です。

大量のサポート依頼と蓄積されないナレッジ

私が情シスとして働き始めたころのヘルプデスクへのサポート業務は以下の通りでした。

・受付のチャンネルは「直接対面」「電話」「メール」「チャット」
・頻度は対面と電話が9割
・多いときは1日10件(重たいものから軽いものまで大小合わせて)
・ほぼ全部一人でサポート(分かんないとこだけ前任者に振ったりする)
・記録を残したり情報を共有したりするルール、仕組みは一切なし(前任者は前任者で特にこちらに何も言わずに自分で受けた依頼を対応してたりする)

私が着任する前は、全部前任者の経験と知識で回答されており、回答記録も全部前任者の頭の中でした。
もちろんサポート対応に関する引継ぎとかは一切ありません。

サポートがくるけど記録に残らないし公開されない、情報が残らないから同じ質問が来る、同じ質問に答えているうちにまた次の質問が、そして飛び込みでパソコン壊れた、Excelわからん。

はい、つらい。

要件

問題と感じたのは以下の点です。

・問い合わせを多チャンネルで何でもかんでも受けすぎる
・ナレッジが残らないからユーザーが似たような問答を繰り返す
・情シス内でも情報が共有されない

なので、それらの点を踏まえて以下のような仕組みにするようにしました。

・受付を絞る(お問い合わせフォームの設置)
・対応を記録(受付番号、回答ステータス、回答内容などの記録)
・過去の対応記録を参照できるように(チーム内での情報共有)

最後の点は現状ひとり情シス体制なので微妙ですが、将来的に増員することになれば真価を発揮することになるでしょう。(現状でもナレッジの蓄積として有効ですしね)

仕組み

まず前提として我が社にはMicrosoft365が導入されているので、365を利用します。
BusinessStandard以上のプランならフロントからバックまで全部365で完結できます。

使ったサービスはForms、Sharepoint(Lists)、PowerAutomate、ToDo、Teamsです。

※スクショ載せるのは何か色々問題がある感じなのでテキストベースになります。分かりづらい点はご容赦ください。

1.受付 - Forms

皆大好きFormsで「お問い合わせフォーム」を作ります。
サポートの一次受付程度の内容であれば、緊急度、ユーザー名、問合せ内容くらいで済むと思うので、Formsで事足ります。
コダワリ派のあなたはPowerAppsで作ってもオッケー。
私はめんど…ゲフンゲフン、実装速度を優先してFormsにしました。

2.情報の記録 - PowerAutomate

わぁいPA 鬼無里PA大好き。

Formsにアイテムが追加されたら、それをトリガーとしてPowerAutomateで情報の記録と情シスへの通知を行います。
予め記録用にSharepoint情シス領域内にカスタムリストを用意しておきます。
あと、リマインド用にToDoにサポート用タスクリストを一個つくりました。

・受付Noの発番(FormsのアイテムIDを流用)
・問い合わせ内容をカスタムリストへ登録
・ユーザーへ受付完了のメール
・情シスへ問い合わせ追加の通知
・情シスのToDoのサポートリストにアイテムを追加

最後のステップでToDoに期限付きでアイテム登録することにより、リマインドのポップアップが表示されます。(忘却防止)

3.回答・ステータス更新

受付が済んだらユーザーに回答します。
現状一人情シスなので、誰にタスク割り当てるとかはないです。最終鬼畜全部俺。

回答チャンネルはTeamsに限定したかったのですが、Teamsの使用率が高くないことと、対面サポートの方が早いシーンも多いので回答チャネルはいくつか残しました。

回答が完了したらListsのステータスを更新して、回答記録をつけてクローズです。

4.参照など

登録したデータの参照はTeamsにListsタブを作ってチェックしてます。
このへんは別にブラウザでもいいです。

ただ、へーしゃでは私が勝手に(上司の同意を得て)作った情シス専用ひとりチャネルがあるので、情シス系のストック情報はTeamsで見れるようにしておいた方が便利だと思いました。

ご注意:
※私の環境では通知のみ外部プロバイダーのSMTPを利用してユーザー・情シスへのメールを飛ばしてます。(もともと契約してる送信専用のやつがあった)

良かった点

当初の課題であった以下の点は解消されました。

・多チャンネルで何でもかんでも受けすぎる
・ナレッジが残らないからユーザーが似たような問答を繰り返す
・情シス内でも情報が共有されない

入り口がFormsなせいなのか「入れ方ようわからん」みたいな問い合わせもありませんでした。とってもユーザーフレンドリー。

あと、特にユーザーにアナウンスせずしれーっと入れて、ポータルにリンク追加してしまってから「こういうのあるんで次からいれてくださいねー」と言ったら割と皆さんすんなり入れてくれるようになりました。

一部直で電話してくる方に対しては「記録として残すのでフォームにも入れてください。あと次からはフォームに入れてね」としつこく伝えてます。

今のところヒット率はフォームとそれ以外で7:3くらいですね。

あと、基本的にMS365で全部完結できるのも良かったです。
MS謹製のPAがIFTTTとかZapier的な働きをしてくれます。
これなら基本的にMS365のアカウントいっこあれば上記のフローは構築可能です。
PAに無限の可能性を感じました。

今後の課題

とりあえずまだまだイケてない点もありまして。

・回答したら自動でステータス反映できてない
・回答記録も手打ち(コピペ)
・チャットでの回答を希望するユーザーが少ない

回答チャンネルを絞れてないので、どうしても自動化が難しい状況です。(現状チャット、メール、電話、対面での回答の選択肢がある)
理想はフォーム受付オンリー、回答もTeamsのみなのですが、今は過渡期と割り切ってこの運用にしてます。

将来的にオンラインでのやり取りが社内で普遍的になってきたら、一連の流れはオンラインで完結して回答以外は半自動化できるようにしたいですね。

それかヘルプデスク系SaaSへ移行か。
でもちっちゃい会社ですし、そこまでではないか。

おわりに

とりあえず「一次受付の電話がガンガンなり続ける」という状況から抜け出せるだけでも大分楽になります。
抜けも漏れも減ります。(うっかり既読はある)

私自身、自分の記憶はまったく当てにならないと思ってるので、自分と誰かにとって有益な情報は全部アウトプットして誰かが見れる形にしておかないと不安です。

ヘルプデスク業務は日常的に多くのヘルプ依頼を受け、それが多岐に渡ったり時の情勢によって様々だったり流動的だったり、色々考えることが多い業務の一つだと思います。

記録とか管理とか共有とかその辺は効率化して、人間は人間のできる仕事にリソースを集中したいものですね。

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