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古典ハリウッド映画

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2021年12月の記事一覧

『真珠の首飾り』

監督:フランク・ボーゼージ

一つ一つのショットが全てお話に関係あるというか、台詞一つ一つも人物の考えと密接に関係していて、無駄のない映画だと思った。その演出によって薄っぺらく感じてしまう映画もあるけど、これはむしろそのタイトさが心地よかった。ディートリッヒの全盛期は間違いなくこの時期だろう。

『彼奴は顔役だ!』

監督:ラオール・ウォルシュ

映画における正解はあまりないと思うのだが、ラストカメラを引くのは絶対に正解だと思った。時代に取り残された男のお話。中盤までながら見だったが、それでも後半引き込まれる話運びの巧さがある。

『奥様は魔女』

監督:ルネ・クレール

話は本当にどうでも良かったけど、ヴェロニカ・レイクは綺麗だし、癇癪持ちのスーザン・ヘイワードがかわいい。昔の人たちがこれを映画館で観て笑っている場面を想像するだけで幸せな気持ちになる。休日に「今日は映画館で『奥様は魔女』を観よう!」なんて家族で盛り上がって、子どもは楽しみに席に座って、お母さんは子どもをたしなめて、そういう情景を思い浮かべると泣きそうにもなる。

『激怒』

監督:フリッツ・ラング

まさかそういう映画だとは思わなかった。もしかしてこれって‥やりすぎでは‥という不安感を二回抱かせてくれる脚本。「法は私の苦しみを分かってくれない」のセリフが痛々しいが、それでも「真っ当な行い」を貫かなければならないアメリカ社会。徐々に暴徒化する群衆も恐ろしいし、街中での幻覚、ある種男が死神的存在である点なんかは表現主義的、なのに主題はアメリカ社会に一石投じるものになってい

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『パーク・ロウ』

監督:サミュエル・フラー

フラー版『市民ケーン』みたいな。流石に一線超えすぎだし、グローブ社の行動もそんなに褒められたものではない。ロマンスの後の激情とか急に爆弾が投げつけられたりだとか、緩急の使い方は『拾った女』にも近いものがあって作家性なのか。会話シーンで気づいたら長回しになってるところがいくつかあった。自分の新聞を「death」にぶら下げるのもいいし、ラストの「Thirty」もオシャレ(理

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