とりとめのない、普通の1日の記録

もうあと5分ーー
そう思ってから2時間も経過したらしい。宅配便のチャイムで目が覚める。
「いま行きます」と寝ぼけ声で言って、寝巻きのまま階段を降る。
完全なる寝起きなので、うまく急げない。4階の自分の部屋からエントランスまでが長く感じる。自分の部屋の玄関まで来てくれる普通の家が羨ましい。寮は変な決まりが多くて困る。

荷物を受け取って、部屋に戻って、時計を見る。午前10時30分。完全に寝過ぎたなあと反省し、予定が何もないことに安堵する。

宅配は祖母からだった。まれに届くお菓子のギフト。同封された手紙にある「お正月には帰ってきてね」の文字が、少しつらい。実家とは折り合いが悪いから、帰ってもしんどいだけなんだ。ごめんね、と心の中で呟く。

支度をし、お気に入りのラジオ番組のポッドキャストを聞きながら、研究室のある大学へと向かう。しばしば笑いを堪えられず、道でふふっと笑ってしまう。にやける口元をマフラーで隠す。

研究室へ着くと、2週間ほど前に注文したパソコンのディスプレイが届いていた。

代わりに受け取ってくれた先輩もとい彼氏に感謝し、包みを開ける。思ったよりでかい。「映画鑑賞できるじゃん!」とはしゃぐ彼をたしなめる。これで複数画面をひらきながらの作業が快適にできそうだ。


論文を読む。やってきた後輩と些細な世間話をし、お菓子を食べる。また論文を読む。そうして、4時半過ぎに郵便を出しに郵便局へ行き、そのまま夕食を食べに彼の家へ行く。
これまでずっと外食が多かったけれど、ここ最近は、料理の好きな彼が節約も兼ねて夕飯を作ってくれる。今日は焼きそば。外で食べた太麺の焼きそばが美味しかったから、つけ麺の麺を使って作ってみたのだという。もちもちしておいしい。

恋人の家でくつろぎながら、お互いの研究の話をする。と、あっという間に夜の9時を過ぎていた。そろってまた研究室へと向かう。後輩はもう帰っていた。
斜め前から、恋人がキーボードをカタカタと打つ音が聞こえる。順当にいけば、博士課程終了まであと半年の彼は、ラストスパートのような感じで忙しそうだ。(それなのに毎日料理を作ってくれるので、ありがたい)

このnoteを書き終えたら私は帰るけれど、彼はきっと日付の変わる頃までは帰らない。そのくせ、明日も誰よりも早く研究室に来るのだろう。そのひたむきな姿が眩しい。

あとは行きと同じようにポッドキャストを聞きながら家に帰って、お風呂に入って、本を少し読んで寝るだけ。

書くことはあるけど、気分じゃないなと思ったために記した、普通の日常。
祖母からの宅配やディスプレイ到着などの些細な出来事はあったけれど、いたって普通だった1日。

でもつらつら書いていたら、いつも通り1000字を超えた。シンプルに書ける技術がほしいなと思いつつ、いたって普通の1日であっても、結構な情報量があるのだなあと、しみじみしたりする。

さて、明日はどんな1日を過ごすのかな。


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