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本と人と、ご縁の糸

本屋さんのなかを、ふらふら、うろうろ、していた。

気になっている本があったのだ。

『向こう岸』
アルバイト先の社内誌にある、お偉いさんのコラムで紹介されていた本。児童向けらしいが、結構、ぐさりとくるらしい。

タイトルと単行本であることしか覚えてこなかったので、著者名も出版社も、カバーのデザインもわからない。
こういうとき、なんだかムキになって、ポッケに入っているiPhoneに頼りたくなくなる。うろうろさまよって、自分で見つけたい。

そこそこの広さを持つ、ショッピングモールに入っている中規模書店。なのに、単行本の小説のコーナーは棚1つ分しかなかった。隅々まで見ても、見つからない。

てっきり、いま流行りの本で、すぐに見つかると思っていた。見当たらないのは、私が見落としているせいなのかもしれない。ここは無念だが、iPhoneに頼ろう。

『むこう岸』
”むこう”は漢字ではなかったらしい。そして、思っていたよりも装丁がはげしい。綺麗な海とか、淡いものだと思っていた。これは、見落としているかもしれない。

それから、またしばらくうろうろしたけれど、やっぱり『むこう岸』は見つけることができなかった。また別の書店にも行ってみたが、やっぱりなかった。

「ご縁がなかったんだなあ」

ポッケに入っているiPhoneをまた取り出して、Amazonをひらいて、ぽちって押せばすぐに手に入る。でも、本、こと小説に関しては、なんとなくぽちってしたくない。

実際の書店をめぐりにめぐって、それでも置いてなくて、どうしても欲しい!ってときはAmazonさんに頼る。でも、できる限り、本屋をうろうろして見つけたいのだ。

自分の嗅覚でみつけて、「あった!」って喜んで、あらすじや冒頭の1文だけ読んで、装丁もながめて、「これは買いだ!」って思ってから、買いたいのだ。
わくわくする気持ちとともにレジに並んで、袋に入った本に小躍りしながら、家路につきたいのだ。仮にそれが、優先度が低い趣味だから故に、悲しいかな積読となってしまうのだとしても。


本にも、”ご縁”というものがきっとあって。

ご縁のある本は、ふらりと私の前にやってきてくれるのだ。事前に「気になる」って思っていようと、いなかろうと、ばっちり目が合う瞬間がある。だから見つからないってことは、まだご縁を結ぶ機会じゃなかったのだ。

『むこう岸』の本は、だから、次の本屋さんめぐりの楽しみに追加。次っていっても、本屋を巡ることはもはや日課なので、たぶん、明日か明後日なのだけどね。

昨日は、人との素敵なご縁がたくさんあった。

えいやと企画に参加したら、いろんな人たちがわいわいがやがや、楽しそうにしていた。街中でお囃子の音が聞こえてくると心躍るような私は、すごく、楽しかった。

ご縁があった人や本やものに囲まれて、笑顔になって。
いまは結びつくことがなくても、いつか結びつくかもしれない人や本やもののことを思って胸が高鳴って。

ご縁の糸は、どこにつながっているのでしょう。

本屋さんとnoteの海を、ふらふら、うろうろ、楽しんでいる。


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