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二年ぶりの仕事復帰と本の話。

産休育休を経て、ついに二年ぶりに職場復帰を果たしました。(果たしてしまいました・・・)
GWの連休明けから働き始め3週間ほど、子供がいる立場として働いてみた感想はというと「働くの楽しい!」という日と「いやー、辛い。無理」という日が半々くらい。

働くメリットはというとやはりお金。あとお昼に好きなものが食べられる。社会と繋がってる感がある…など。しかし在宅勤務ならともかく、フル出社で時短で、となるととりあえず復帰はしたものの、正直不安しかない。自分の心と体と向き合ってうまく調整していくしかないなぁ…と思いながらその難しさに頭を抱えて生きている。

まあそんな日々なのだが、仕事とはいえど1日の中の一人時間が増えたことは確か(仕事とはいえど!)。友人で同じくワーママのKちゃんも復帰前に「通勤時間だって自由な一人時間!」とワクワクするような名言を授けてくれ、往復2時間の時間を大好きな読書にあてることにし、初日からバッグに本を忍ばせて通勤電車に飛び乗ったのだった。そして、復帰してこの3週間、混み合う電車の中になんとか本を開けるだけのスペースを確保し、文字通りガシガシと読み進めているのだが、これが本当に楽しい!!無闇に誰かに背表紙を鷲掴みにされたり、表紙を奪い取られてくしゃくしゃにされたり、気づいたら食べられてたりすることがなく、集中して本を読める幸せ…プライスレス。通勤空間はもはや私の心のオアシス。

そして新しく日課となったのは、お昼休みに寄る本屋さん。私が通っている勤務地にはいわゆる街の本屋さんがあって、以前からそこに行くだけでとてもテンションが上がる。本屋さんの匂いが素晴らしく良い匂いだというのは全国共通だと思うが、新刊の並べ方とか週のランキングの棚とかポップとかおすすめしている本とか、そういうのを眺めるだけで全てがワクワクする。私はそこで本を眺めたりパラパラと立ち読みしたりして時間を過ごし、帰り際に本を買ったり買わなかったりして会社に戻る。そうやって会社と会社の間に本屋さんを挟むことで狭くなっていた視野をズバーンと広げることができる。午前中に嫌なことがあっても、人生は仕事だけではないよと本に教えてもらい、慰めてもらい、前向きな気持ちで午後の仕事に向かう。それがとても尊い。実は復帰と同時に異動になり、以前働いていたこの地にまた舞い戻ってきたのだが、前の勤務地にはこのような本屋さんがなかったので助かった。この時間が得られなかったら私はもっと暗い気持ちで日々を過ごしていただろう。

昔から本が好きだし本屋さんが好き。本の外観は美しくて眺めてるだけで嬉しくなるし、心が弱った時に読むと良い薬となることがほとんどだ。でも今までこういうことを人に話したことがあまりない。たぶん世の中にはそんなふうに本が大好きな人はいるのだろうけど、そうでない人からしたら「何言ってんだこの人」ってなる気がするからだ。本当は雨の日のお昼休みやランチをサクッと済ませた時など早めに会社に戻って会社のデスクで本を読みたいのだが、そんな姿を目撃するないなや「真面目ですね」とか「偉いですね」とかコメントしてくる人がいる。私にとっては本を読むことは日常の行為なのでそっとしてほしいのだが、そういうコメントをする人にとって本を読むことは「普通」のことではないのだろうなと気づいてしまい、そして「あなたは変わってますね」と言われているようで辛く、もう職場で本を開くことはなくなった。だから本屋さんに行く。ここには本を開くことを日常としている人しかいない、と思うと心が落ち着く。

そんなある日の昼休みに書店に立ち寄ったところ、ふと一冊の本が気になり、手に取ってぱらぱらとめくっていたら夢中になってしまい、思わず購入した。その本がこちら↓

「古くてあたらしい仕事」島田潤一郎

一人で「夏葉社」という出版社を立ち上げた島田潤一郎さんの書いた本で、主になぜ「夏葉社」を立ち上げることになったか、や、お仕事の話、そしてそれらに関連する、本と本屋さんについての愛がずっと書かれているのだが、私のこの、どこにも持っていけない「本が好き!」という気持ちを全面的に受け止めてくれるような、誠実で優しい文章にとりこになり、一気に読んでしまった。
特に胸を打たれた文章がこちら。

「手間暇をかけずにつくった本は売れない。どんなに表面をきれいに仕立ててみても、そこには決定的になにかが足りない。それよりも、不安に思いながら、これでいいのかと迷い、ぎりぎりまで試行錯誤した本のほうが読者に届く。不思議だが、ものづくりとはそういうことなのだ、と思う」

私はものづくりにかかわるような仕事はしていないのだが、人の目に触れないところで一生懸命やっていたことが、なぜか人に伝わる。という経験は長年仕事をしてきた中で私にも覚えがある。不思議だけれど、自分のまっすぐな熱意というものが仕事に乗っかって伝わっていくのだろうな、と思っている。
「努力は必ず報われる」という言葉は年々嫌いになっていくが、自分が心を込めてコツコツと作ったものややった仕事が相手に伝わるというのは大いにあるのだった。それはどんな仕事でも少なからず共通するのではないだろうか、と思っている。

本が好きな人はもちろん、仕事について悩んでいる人にぜひ読んでもらいたい。
次回は復帰後に読んで救われた漫画を紹介するよ!


さて、このnoteは「仕事と育児、こんな私でも両立はできるのか!?」ということを綴っていきます。よろしくどうぞ!




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