【058】僕を許す君がいけない【あの】
こんにちは。あのです。元気です。
またまた遅れて申し訳ありません。今週のnote私じゃん!?と気づいたのが22時半でした。
何書こうかな……
時間ないけど今日中に書いちゃいたいな……
でも特に書きたいこともないしな……
小説でもたまには書いてみるか……でも時間がな……
……
…………
!!!!!!!!!
セルフ小説ワンドロ、しよう!!!!!!!!
ということで、診断メーカーの「お題ひねり出してみた」様からお題をいただき、それをもとにセルフワンドロしました。気になるお題は……
です。良いのが思いつかなかったので、そのままタイトルにさせていただきました。
一応時間測ったのですが、めちゃめちゃオーバーして1時間45分くらいかかりました。ワンドロとは?
久々に小説を書きましたが、なんかもう全然言葉が出てこない……語彙力が衰えてる……上手い言い回しが思いつかない……。やっぱり何事も継続しないと腕が落ちますね。
ということで気が引けますが、以下が話です。わかりにくい話になってしまった気がしますが、暇つぶしになったら幸いです。
彼女が欲しいと口癖のように言っていたときよりも、実際恋人ができてからのほうがモテるなんて、世の中は理不尽だ。
最初は事故のようなものだった。ゼミの飲み会でべろべろに酔っ払い、翌朝気づくと隣で同級生の女の子が寝ていた。未遂かと思ったが、お互い裸だった上、ゴミ箱の中身でもう言い逃れはできなかった。自身の黒を確信した瞬間、起きるなり腑抜けた声でおはよと言って腰に抱きつく同級生は最早どうでもよく、俺は彼女に対する罪悪感に押し潰されそうだった。
しかし、同時に道徳心のリミッターも外れた。一度犯した悪い行為の、二度目以降のハードルはぐんと下がる。それ以降、俺は他の女の子とも身体を重ねるようになった。
彼女に構ってもらいたい、という気持ちの裏返しでもあった。彼女は聡明で落ち着きがあったが、感情が表に出ることがあまりなく、何を考えているのかよくわからなかった。本当に俺のことが好きなのだろうかと、俺は彼女の心を疑ってしまっていた。
他の女を何度も家に連れ込んでいることを、聡い彼女が気づかないはずがない。しかし彼女は何も言わなかった。俺に対する態度は、これまでとなんら変わらなかった。確証がないから詰めるに詰められないだけだろうかと、俺はもやもやしながら考えていた。
事が起こったのは、俺のタブレットで彼女と映画を観ていたときだった。うっかり切り忘れたメッセージアプリのバナー通知が、クライマックスの感動シーンに差し掛かったところでポンと表示された。しかも連続で。
「もうここまで来たらさ、私を彼女にしちゃわない、……」
彼女がぽつりとつぶやく。彼女の手が温かいを通り越して熱く感じられた。引っ込みそこねた涙がすっと頬を伝う。もう映画どころではなかった。いよいよ裁きの時が来たのだ。
どくどくと強く速く脈打つ心臓とは裏腹に、俺は安心していた。これでいよいよ彼女は俺を問い詰める外なくなる。俺はこれ以上、罪を重ねなくていいのだ。
このあと彼女はきっと、泣いて、俺を罵倒して、今までの罪をあげつらい、精一杯の力で俺の頬を叩くのだ。そうして俺も泣きながら謝って、更正を誓い、何度も愛の言葉を伝えるのだ。
しかし、彼女の口から出たのは、想定外の言葉だった。
「それで、この人とは付き合うの?」
夕飯何にする? と同じくらいのトーンで、彼女はそう言った。どういう思考をしたらその発言に至るのか、俺には理解できなかった。
「付き合うわけ、ないだろ」
喉から絞り出た声は低く、弱々しかった。最早逆ギレだ。俺にそんな権利ないのに。それでも彼女は顔色ひとつ変えず、画面のほうに視線を戻した。
「そっか。よかった」
「怒らないの?」
「怒らないよ」
「俺、浮気してたんだよ? どうして……」
彼女は再び俺のほうを向いて、気づいてたよ、と言った。
「恋ってね、君の変化に君よりも気づく人がいるってことだよ」
今の状況とは正反対の雰囲気の、映画の壮大なオーケストラが部屋に流れる。
「私の髪と違う色の長い毛が落ちてるし、やけにルームフレグランスに凝るようになったし、スマホ見てること増えたし、セックスの仕方も変わった。そもそも、アキラは顔に出やすいよね。無意識かもしれないけど、浮気したあと妙に落ち着きがないし、やたら私に優しくなる」
彼女に俺を責めるような感じは全くなく、むしろ口説いているかのようにうっとりとしていた。彼女は目を細め、俺の頬に手を添えた。
「そんなアキラを見てるとね、嬉しくなるんだ。私の存在がアキラの魅力を増していて、自分が思っているよりもアキラに愛されていることが分かるから」
「愛されている……? 俺は浮気して、君を傷つけたんだよ」
「本当に浮気相手のほうに靡いてたら私に対して冷たくなるはずだけど、むしろ前より私の顔色を窺っているから、まだ好きなのかなって。今のアキラ、親に構って欲しくていたずらする子供みたいな目してるよ」
思わず俺はかっとなり手をあげそうになった。しかし、かわいい、と心から愛おしいといったように言われ、どうしようもなくなった。
「浮気しても絶対私のところに帰ってくるし。……あ、今気づいたけど、他の女の子たちの存在もまた、私にとってのアキラの魅力を増長してるのかも」
彼女は俺を抱きしめ、かわいい、かわいいね、とつぶやきながら俺の頭を撫でた。
腹立たしさと、罪悪感と、喜びと、さまざまな感情がぐちゃぐちゃになって、映画のエンドロールを見つめながら、俺は涙を流していた。
2022.07.19 あの
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