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なぜいま、放送局スタッフが教える動画スクール?

前回に続き、私が立ち上げた会社の説明です。Glocal Kは「ローカルにもっと伝える力を」をミッションに九州朝日放送が作ったベンチャー企業です。Glocal KではGlocal Kクリエイティブスクールを開校し、動画制作・マーケティング講座をスタートしました(緊急事態宣言などの影響で、2021年7月開始)。

「放送局が作ったベンチャー企業で、やりたいことはスクール事業だったの?」と聞かれることが時々あります。なので、なぜスクールをやっているのか丁寧に説明しようと思いました。

なぜスクールか

Glocal Kが展開する事業は大きく3つ。

①自治体や団体などの情報発信やメディアづくりを伴走支援するコンサルティング事業「MY放送局」

②旅のソーシャルメディア事業(近日公開)

③グローバル事業

①は地域の価値を再定義し、届け続ける地域ブランディングの伴走支援です。スクールは、その事業の一部のサービスです。もはや誰もが動画クリエイターになれる時代。企業が公式YouTubeチャンネルを持つことが当たり前になったこともあり、現役の放送局スタッフが教えてくれるとあっていろいろお問合せいただいています。第一期生は自治体や企業の広報担当者からスチールのカメラマンまで、いろんな方が参加されています。講師はプロデューサー、ディレクター、カメラマン、アナウンサー、音効、エンジニアと守備範囲が広いのが強みです。ただ、プロデューサーの私がDAY1からDAY6まで全て参加し、参加者が実務で使いたい動画を実際制作してもらうのが特徴です。そして6回のコースの中の半分くらいの時間をかけて、企画を考えてもらいます。普通、動画制作スクールになると撮影や編集を学びますが、私は企画を立ち上げ、プロジェクトを推進することに価値があると考えています。

動画制作は企画が9割

放送局の価値ってなんだろうか?会社を立ち上げることが決まって、ずっと考えてきたことです。取材した情報をギュッと編集で凝縮し、価値ある情報にして届ける。なんとなくそういうことなんだろうなと思ってきましたが、このスクールの準備を進めるうちに、考え方が明確になってきました。それは、「毎日、一貫性のある番組を視聴者に届け続けること」です。

私はゼロから番組をプロデュースしたことがあります。実際に放送がスタートするまでのプロセスは、①目的②視聴者設定③コンセプトづくり④企画づくり⑤チーム編成、キャスティング となります。「土曜もアサデス。」という番組を立ち上げた際、①から⑤まで、およそ半年の時間がかかりました。視聴者にとって大事なのは、番組が提供してくれるものがブレないことです。番組の“約束”がコロコロ変わると、視聴者はその番組をどう見ていいのかわからなくなり、離れていきます。だからこそ、コンセプトを決め、企画を立ち上げるまでがとても大事なのです。企画が固まれば、一貫性を持って伝え続ける。視聴者との約束が守られ続けると、それはブランドになっていきます。

ひとつ例を上げましょう。福岡県で放送されている「アサデスKBC。」はプロ野球のホークス情報のイメージがとても強い番組です。それは午前7時ちょうどにホークス情報を届けるということをおよそ20年間(!)続けてきたからです。7時10分や、15分ではだめです。7時ちょうどです。勝っても負けてもやります。前日に試合が無くてもやります。そういうことによって、起きた方が朝7時にKBCのチャンネルをつけたり、他局の番組を見ていたホークスファンの方がアサデスにチャンネルを合わせてくれるようになったのです(ちなみに犬好きの我が家は、午前7時50分過ぎに「アサデス。」から「めざましテレビ」の「きょうのわんこ」にチャンネルが変わります…)。

TVプロデューサーの仕事は一貫性×持続可能性の実現

私は、TVプロデューサーの仕事は一貫性のあるコンテンツを届け続け、それをブランドにすることだと思っています。1発、面白いコンテンツを作れても、それを毎日、毎週届け続け、コンセプトからぶれないようにし続けるのはとても難しい。なので、受講生の方には一貫性と持続可能性を持った企画づくりに一番時間をかけてもらっています。とても綺麗な映像ではなく、視聴者との約束を守り続け、届け続けるノウハウ。これこそが広告代理店のCM作りとは違う放送局の価値だと考えています。この仕組み化、習慣化のノウハウを受講生にお伝えしているのです。そして、それが講師によってぶれないように、全ての回に私が立ち会っています。

【確定】GlocalkクリエイティブスクールDAY1資料2

ブランディング=一貫性×持続可能性

もう一度、Glocal Kの事業の①に立ち返ってみましょう。

①自治体や団体などの情報発信やメディアづくりを伴走支援するコンサルティング事業「MY放送局」

私たちは、地域の情報発信や地域資源の磨き上げなどのブランディングをサポートしていますが、地域ブランドも1日では完成しません。同じように、①目的は何なのか②誰に届けたいのか③自分達の提供価値は何か④コンセプトは?⑤企画は?⑥誰が何をする?など番組作りを似たプロセスをたどることになります。やることを決めたら、ブレたり、さぼったりしたらだめなのです。地域ブランドも番組作りと同様、一貫性と持続可能性が不可欠です。

「番組作りと継続は、ブランディングと同じでは」。そう考えた私は、スクールを実際にやってみて、放送局の価値の言語化に取り組んでみようと思いました。これが、地域ブランディングの支援に必ず役に立つと信じています。いま1期生の方に受講してもらっていますが、「ここまで思考に時間を割くとは」と驚かれています。ただの撮影、編集講座に終わらないスクールにしたいと思います。

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