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モチです。東京の隅っこで暮らしてます。 みなさんとほっこりと暖かなつながりを持てたら嬉しいです!🧸🌈 ☀︎ stand.fmでラジオ配信中!🎧♪ 『もち雑多チャンネル』 https://stand.fm/channels/666e6a78b3df431386d95575

最近の記事

モラトリアムの蜘蛛⑪

どうぶつが怖い。 夜の街は色めき立ち、昼とは様相が変貌した。 ライオンやクマ、サイやゾウ、肉食獣や大きなどうぶつが恐ろしい。 危機感知!ぼくの脳みそは退避命令を出すが、未知の深海に挑むような好奇心がひしひしと夜へ誘う。潜水艇は最奥を目指し加速する。 夕飯を食べに街へ出たぼくは、その匂い立つ野生に慄きながら、どこか飄々とした雰囲気すら醸し出しながら、横目でどうぶつを観察する。 チェーン店もいいが、どうせなら個人店に挑戦したい。 細い路地に佇む、常連しか来ないような居酒屋で

    • モラトリアムの蜘蛛⑩

      たしかに、ぼくの足跡はふらふらと頼りなく、ぼやけている。 できるだけしっかりとした足取りで、腹に力を入れて、太陽に向けて背筋を伸ばす。 水神のお告げを受けて、ぼくはふたたび歩き出すことに決めた。 大地にパワーをもらい、次の1歩を踏み出す。 足から尻、背中、頭。 1000年生きる巨木になった気分で、全身に気を張る。 新鮮な感性が、ぼくの心を満たす。空気が美味しく感じた。 古から続く街道は、武士や禅僧のものではない。歴史には残っていない、生活を営むすべての人々が築いた、おでんの

      • モラトリアムの蜘蛛9️⃣

        第3章 乾かない背広 もうしばらくは、山を切り通した田舎道が続く。 トンネルと木々の緑、古い家とコンビニやスーパー、寺社仏閣に混ざる教会。鎌倉市街地と違い、時代や文化に統一感がない。 リスの言葉に感化され、ぼくは帰り道を探している。 この旅で、ぼくは本来の世界、人間の世界に帰る方法を見つけたいと思っていた。 しかし、そもそも。 ぼくが旅に出たところで何が変わるというのか。 期待や妄想がつまった無駄な旅路である。 骨折り損、徒労。後ろ向きな言葉が、次々と頭に浮かんでくる。

        • モラトリアムの蜘蛛8️⃣

          幕間 美しい島 遠くに稲光が見えた。嵐はまだ収まらない。 蜘蛛は必死に身体を運んだが、ついに体力が尽きて橋の中腹でうずくまってしまった。 欄干に身体を固定しようにも、この嵐では糸も吐けない。 風が蜘蛛を宙高く持ち上げ、とたんに地面に打ち付ける。 海が、蜘蛛を嘲笑うように轟々とうねりをあげた。 痛みで意識が遠のいた時、地獄に垂らされた糸のように細くきらめく、頼りない光が、灰色の空に瞬いた。 灯台だ。あの光を目指そう。 蜘蛛はもう一度体勢を立て直し、魂を先に身体を動かす。

        モラトリアムの蜘蛛⑪

          モラトリアムの蜘蛛7️⃣

          頭では、ラッパの音が鳴り響いている。 体が軽く、心はもう飛び立っていた。 富士山へ行こう。 あの朝の占いが気になるし、日本一の山に一度登ってみたかった。 電車は使わない。 スマホも、置いていこうと決めた。 鎌倉からなんとか歩ける距離だし、せっかくだから思い切った旅がしたかった。 「そんなに心配しないで。」 母に声をかける。 長い散歩から戻り、いそいそと旅支度を始める息子を、母は不安げに見守っていた。 「でもそんな、急に富士山へ行くなんて。 歩いて行くなんて、どのくらい

          モラトリアムの蜘蛛7️⃣

          モラトリアムの蜘蛛6️⃣

          夕焼けが街を染め上げる。 リスが小さな歩幅でとぼとぼと歩くので、ぼくたちは亀のように、ゆっくりと時間をかけて橋を渡り切った。 「どう思う?」 リスが聞いた。 「みんなに、愛されてると思う?」 ぼくを見上げて話すから、リスは小石に蹴つまずく。 小さな命を大切に抱えてリスは歩き、世界が細かく、小さな傷をリスにつけた。 ぼくは入江の音を聞く。父を奪う太陽と、冷えた母の瞳を思い出す。 父がいない朝、眠っていた自分と、勝手に回る世界の残酷さ。「子はかすがい」という残酷な言葉を

          モラトリアムの蜘蛛6️⃣

          モラトリアムの蜘蛛5️⃣

          父は自由人だ。 いつもはとにかくだらしないくせに仕事だけは大好きで、崩れた体に美しく仕立てられたスーツを着て、夜遅くまで働きにでていた。 何かの営業マンをしていて、在庫をかかえて帰ってくる日は深酒をする。 休みの日は1日中家でダラダラと過ごすか、思い立ったように散歩したり図書館で新聞を読んだりした。 ぼくは父と出かけるのが好きだったが、予定が読めないので、休日は暇を持て余すことが多かった。 その日は暑い日で、たぶん幼稚園は夏休みだったと思う。 ぼくが起きた頃には、父も母も

          モラトリアムの蜘蛛5️⃣

          モラトリアムの蜘蛛4️⃣

          リスは、貝殻を集めながら海岸を散歩をしていたらしい。 ふいに荒々しい波音が耳を貫き、途端に遠くまで来てしまったことに気がついた。 逃げるように国道沿いまで駆け出すも、ほお袋に溜めていたキャンディーも溶けてしまって、いよいよ泣き出しそうな時に、ひとり歩くぼくを見つけたそうだ。 「おうちに帰りたい。」 リスは何度もそう呟いた。 大きな瞳には表面張力の限界まで涙が溜まっていて、切実な様子がなんとも愛らしい。 不謹慎にも、ぼくは気が抜けてしまった。 ここ数日で、母以外の動物と関

          モラトリアムの蜘蛛4️⃣

          モラトリアムの蜘蛛3️⃣

          第2章 迷子のリス 世界が変わった日、ぼくは、母に何も告げず自室で寝込んだ。 目を覚ますために何度も眠り、何度も起きては窓の外を眺めた。 3度目に目を覚ました時、外は真っ暗で、酔ったコオロギが叫んでいたのでもう一度眠った。 朝、意を決して寝床を出ると、母の作った昼食が昨日のまま冷たくなっていた。 現実味がなく、焼き魚はプラスチックの塊のように見える。 「起きた?」 ふと眠たそうな声が降ってきて、ぼくは驚き、飛び跳ねた。 (羊に震え上がるなんて!) 母は居間のソファー

          モラトリアムの蜘蛛3️⃣

          モラトリアムの蜘蛛2️⃣

          幕間 嵐の中で 蜘蛛は走る。4対の鋭い足が懸命に地面を掴むが、時折り突風に煽られ後退する。 酷い嵐だ。 身体中にびっしりと生えた体毛が濡れて、へたってしまっている。8つある目も、この嵐では役に立たない。 蜘蛛は、大陸と島をつなぐ巨大な橋を目指した。 妙に興奮している。 どこかに留まり、じっと嵐の過ぎるのを待つこともできるが、走り出したくてたまらないのだ。 今朝は完全に左右対称の、美しい巣を張った。蜘蛛は自らその芸術とも呼ぶべき我が家を壊し、嵐の中旅に出たのだ。 しかし

          モラトリアムの蜘蛛2️⃣

          モラトリアムの蜘蛛

          第1章 味噌汁の香り、唄う羊 羊が食器を洗っている。 鼻を抜ける味噌汁の香り、ハミングは【moon river】。春休みの昼下がりだ。 小皿をラックに置くたび、大きな尻で小さな尻尾がぴょこんと跳ねる。陽光が羊毛を白く輝かせ、台所を夢うつつに染め上げた。 「あら、起きたの。」 羊がこちらを向く。正面から見ても、明らかに羊だ。 瞳孔はパペット人形のカエルみたいに横長で、白目は黄色がかっている。ホームベースみたいな大きな鼻の下に、おちょぼ口。 見慣れた淡い紫色のエプロンが、ミ

          モラトリアムの蜘蛛

          stand.fm始めました!

          君と夏フェス! こんばんは!モチです! 6月に東京から北海道に来て やっとやりたいことができてます。 モチの目標はいろんな人とつながって ハッピーになること! 具体的には大好きな人たちとお祭りをしたいです笑 そのために、まずは自分のことをいろいろ発信したいと思ってます。 何をするか? ☀︎note公開 ☀︎ラジオ配信 ☀︎YouTube配信 ☀︎趣味でつながるWebサイトの公開 (いまのところ音楽系のサイトを作成してます!) ↓ ↓ ↓ 大規模な祭りを開く!!

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          似非マザーテレサへ

          なんだかな 『【一般的に】【常識的に】考えると〜だと思う。』 みたいな、あたかも自分が思っていることではないみたいに 嫌なことを言ってくる人が嫌いです。 嫌い。 いや、それお前の本心だろ?? 自分の言葉をまっすぐに投げられない人の態度が嫌い。 言葉に責任を持たず、安全圏から嫌な感情をぶつける卑怯さが苦手です。 お前の全て モチは、話す言葉の端々にその人の本質が現れると思います。 特に感情的な人は、柔らかい枕詞で上辺を整えて、不揃いな言葉を話す。 いや、それがお前

          似非マザーテレサへ

          じれったいのよ

          天候のせいかずっと眠いです。モチです! モチの帰省前夜 明後日から北海道にかえります。 今年の夏は地元で過ごすぞ!と決めたのは年明けのこと。 あれからいく月も数えて、ついに明後日が旅立ちの日です。 今日が終わって、明日が終わって、明後日の今頃は実家でゴロゴロしてるんだろうな。 時の流れが おとといの今頃、自分が何をしていたのか思い出せない。 時間は一定の方向で流れるけど、ときどき厚みをもったり、ビッグイベントを控えた夜はゆっくりしたリズムになったりしますよね!

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          やることリスト

          季節が変わる 風が湿ってくる5月。 でも蝉は鳴かず、夜はまだ涼しいですね! リモートワークだから 6月1日からモチは北海道の実家で過ごすことにしました。 秋まで暑さを避け、山籠りみたいな気持ちでやりたいことをやるぞ!と意気込んでいます。 やることリスト ・YouTube配信 ・Webサイト作りの勉強 ・英会話 ・体づくり ・小説執筆 ・ギターの練習 …今までやろうやろうで出来てなかったモノたちです。 てかやることリストって作ってもやらなくないですか…?これってモ

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          “タメ”になること

          捨てた時間 最近SNSを開く時間が減った。 お金、政治、人生論みたいな投稿をおすすめされる。不安に押されて心臓がバクバクする。 しかも情報は無限大に広がっていて、一生追いつかない。 ので、張り合うのをやめました! 価値のない時間を カフカの『変身』を買った。 早めのバレンタインにチーズケーキを焼いた。 ティーバッグの紅茶を飲んだ。 ひと時さえあれば、心が整う。 社会的に価値のない時間。 深く息を吸って生きたいとモチは思います。

          “タメ”になること