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仕事中毒とは。

「気づいちゃった?この仕事って、麻薬の領域だから。」

出版業界に足を突っ込んで、いや、足どころじゃないか、心臓を突っ込んで1年。

このたった1年でここまで変化するのかっていうくらい、斜陽産業を実感している。

ティーン誌のP誌がリニューアルしたかと思えば、すぐに廃刊が決まった。思えば、ここ数年でもがきだした雑誌は、ほぼ季刊誌になったり廃刊になったりしているなというのに気がつく。

確かに、webで検索すれば欲しい情報を得れてしまう今、雑誌を購読する必要性を感じる人は少ない。

電車とかで、iPadなんかをいじってる幼稚園生くらいの子をみると恐ろしくなる。

いつか、
今月はどの雑誌買おう〜
なんていうわくわくはなくなってしまうのだろうか。

雑誌が、本が、大好きだからこそ
儲からない、売れないっていう悪いところや経営的なところ云々ではなく、
良さのほうばかり見てしまってもどかしい。

「今いくつだっけ?まだ間に合うから、早く転職に動きなさい。真面目に。」

仲の良い先輩の初めて見る真面目な表情に息を飲んだ1週間前。

低賃金で、いいように使われ、本がいつかなくなったとしたらポイされるだけの私の人生を心配しての言葉だった。

儲からないし、無くなっていく業界だから、この仕事しかもうできない年齢の人とともに死んでいくよと先輩は何度も言っていて、刹那的な気持ちになった。

転職活動を始め、他の業界をみようと調べ始めるも、検討リストを振り返るとクリエイティブな仕事ばかりが残っていた。

調べても調べても、やっぱり編集を探してしまうんです。という私にむかって、先輩はこの仕事のことを

”麻薬”

と例えた。

「確かに編集の仕事ってすごく金にならなくて、理想と現実の乖離があって、うまくいかないこと多い。けど、しっかり人と繋がれると、やめられなくなるんだよね。」

そう話す先輩は、1ヶ月以内に異動が決まっている。

「この刹那的な感じがさ。しみる。
また、一緒に本作りたいねってなるんだよね。」

雑誌には、たくさんの人と一緒に本をつくる魅力がある。編集部はもちろん、カメラマンさん、デザイナーさん、ライターさん。

どこかで編集をしていれば出会え、一緒にまた仕事ができるビジネスパートーナー。

わたしは自分の知らない世界で生きている人に会うのが好き。

就職活動のときに言っていた言葉だ。

月に2日休みがあるかないかの生活で友人と離れつつあるのを悔やんでいたけれど、

新鮮さばかりを求め続けるわたしには、この仕事が天職なのかもしれない。

編集職という麻薬に手を出してしまった自分がいることに気がついた。


わたしは、中毒者だ。

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