見出し画像

古本とわたし

5/25(土)に開催された『静岡一箱古本市』に合わせてヒガクレ荘が発行するzineに寄稿した文章です。

📖📖📖📖📖📖📖📖📖

今やヒガクレ荘で古本を購入したり自分も棚借り店主Mochiyaとして古本を販売したりしている身だけれど、一時の私は〝古本〟にあまり良いイメージを持っていなかった。
遡ること中学生の頃、B〇OK 〇FF(ほぼ伏字にならない!)でコミックを売った時の経験に起因していたのだと思う。
お小遣いを貯めては買い、貯めては買って全巻集めた30冊ほどの蔵書。高校進学を間近に控えて「卒業」を思い立ち、かのお店に持ち込んでみれば、1冊僅か100円にも満たない査定だったではないか。確かに人気の作品ではなかったけれど、自分にとっては決して安くない元値からのあまりの落差、そして苦労して集め大切に繰り返し読んできた自分の思いと行為までが低い評価を受けたような気がして愕然としたのだ。
その後、古本屋を購入する側ですら利用することはほぼなく、後に〇NE PIECE(これも一応伏字のつもり笑)を手放す時は知人から希望を募り、無料で譲った。自分が大切にしてきた物を大切にしてくれる人に渡す方が私にとって重要なことだったから(実際大切にされているかは不明だけど)。
その点、ヒガクレ荘をはじめとする小規模に古本を取り扱う書店や一箱古本市は、店主やお店、そして顔が見えずともお客にも、本を大切にしていると思えるだけの雰囲気が満ちていると感じる。だから私も大切にされてきたであろう本を迎えたくなるし、私の本たちも良き出会いに恵まれてほしいと棚に並べることができるのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?