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はっぴぃもぉる002

仕事終わり。
帰り道。
駅から吐き出され、家路を辿る最中。

いつもの踏切を越えた辺りで突然声をかけられた。

そんな得体の知れない相手に、理由のない親近感と既視感、そして再会の確かな予感を感じながら、再び僕は歩き出した。

彼女の不思議な魅力と、人の心の敷居を易々と飛び越えてくる気持ちの良い無神経さと、それに由来する、しばらく忘れていた人とのリアルな心の交わりに、安堵を覚えている自分がいた。

とにかくその日、彼女と初めて会った訳だが、もちろん僕の頭の中には、彼女の話の内容なんてこれっぽっちも残っていなかった。

そこにあったのは彼女の外見のイメージだけだった。

真夏なのに長袖のグレーのパーカを着ていたことや、その無神経さとは裏腹に淑やかな可愛らしさを持った瞳。美麗と言うには言い過ぎだが整った顔立ち。
怠惰と憂いを感じさせる唇に、それを挟むように位置する二つのほくろ。

家に着くと、もう午後八時を過ぎていた。
いつもなら夕食を済ませ、シャワーを浴び、ビール片手に無為にテレビの画面を眺めている時間だ。

今日は久しぶりに人と話した。 
 

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