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文脈に関係なく現れる「唐突リリック」~Mr.Children 君が好き UFO~

皆さんにはそれぞれ、好きな歌手の、好きな曲があると思います。

それでは、好きな歌詞はあるでしょうか。

なんとなくメロディーがキャッチ―だから、よく街やテレビで流れているから好き。だから歌詞なんて気にしない。そんな人もいるだろうし、歌詞を文学的な視点で見ている「歌詞好き」な人もいるでしょう。

歌手、曲はきっと誰にでも好きな人、ものがあるのに対して、歌詞の捉え方は人それぞれ、熱を入れるその温度の高低差はけっこうなものがあるのではないでしょうか。

僕はMr.Children、ミスチルが大好きです。そして桜井さんの歌詞には、深くのめりこんで文脈を考察してしまったりします。

さて、今回のテーマは、文脈上に唐突に現れる

「あれ、この歌詞、この歌のストーリーから浮いてない?」

「なんでいきなりこんな歌詞出てきたんだ?意味が分からない」

という歌詞についてです。

説明するよりも、実際の例を見てもらったほうがわかりやすいと思います。

僕の好きなミスチルで言うと、

22枚目のシングル「君が好き」などが挙げられます。

コアなファンの方にとっては有名なエピソードなので、「ああ、あれね」と思うかもしれません。

小田和正さんに歌詞を褒められて桜井さんが喜んだという、1番のサビの

「夜の淵 アパートの脇 くたびれた自販機で二つ 缶コーヒーを買って」という部分です。

この歌詞は僕もとても好きです。

この歌詞がどれくらい唐突かということをわかってもらうために、サビ全体を見てみると、

君が好き 

僕が生きるうえでこれ以上の意味はなくたっていい

夜の淵 アパートの脇

くたびれた自販機で二つ 缶コーヒーを買って

となります。

浮いてますよね。

でもなんかいい。同じミスチルファンの方にはわかってもらえると思います。

もっとも、これに関しては全く歌詞のストーリーと関連がないわけではなく、

「舞台は冬。大好きな君を待ち、その間に君の分まで缶コーヒーを買っておく」

という描写なので、完全に浮いているわけではありません。

でもこの歌詞をこの位置に持ってくるところ、絶妙な場面描写、桜井さんの類稀なる文学的センスが見て取れます。

さて、この「君が好き」は例なので、もっと僕のお気に入りの歌詞がありますのでそちらの紹介に移ります。

それが、Mr.Children、10枚目のアルバム「It's a wonderful world」の10曲目に収録されている「UFO」という曲です。

正直マイナーな曲ですが、僕はこの曲が大好きです。

さて、この曲に登場する「唐突浮いてる歌詞」を紹介する前に、この曲の歌詞のストーリーをざっくり紹介します。

この「UFO」ですが、桜井さん本人も色々あったこともあり、ミスチルでは定番となっている「禁断の愛」的なものを歌った曲です。

ファンの方はご存知だと思いますが、ミスチルは本当にこの「禁断系」の曲が多く、「これ絶対不倫してるやん…」というものが何曲かあるので、いつかまたそのテーマで書いてみるのも面白いかもしれません。

そして、掲題の「唐突リリック」ですが、

‟冷めかけたスパゲティーを フォークに巻き付けては 

 甘い憂鬱を噛み締める”

この歌詞が僕はとても好きです。

先ほどと同じようにもう少し範囲を広くして見てみると、

‟腫物を触るみたいな 核心を避ける話題

冷めかけたスパゲティーを フォークに巻き付けては

甘い憂鬱を噛み締める

バランスとるのはやめて 愛を吐き出したら

つぐんでた昨日より 胸のつかえはなくなるけど

どうかなあ”

となります。

「どうかなあ」じゃねえよ、意味わかんねえよ。ってなりますよね。

明らかに「唐突リリック」に認定されると思います。

でも、どうしようもなくこの歌詞が好きなんです。

小説や漫画のように、「なんだこれ?」と思っていたことが物語の後半に伏線として回収される、みたいなことはこの歌詞にはありません。

ずーっとモヤモヤしたまんま終わります。

でも、こうも思います。

最近は歌詞にしっかりと意味があって、ストーリーがあって、わかりやすいものが多く、そしてヒットチャートに並ぶような気がするのですが(音楽の専門家では無いのでそこまで詳しくはありません、あくまでイメージです)、

全ての歌にストーリーがあって、出会って、結ばれて、別れがあって、、、だとしたら、すごくくどくないですか?

もちろんストレートで爽快な歌詞でも好きな曲はたくさんあります。

ぼくが言いたいのは、なんでもそうですが、偏るのはよくないよね、ってことです。

どちらかがいい、悪い、否定したい、とかじゃないので誤解なきよう。

わけわからん。意味わからん。でもそれが、なんかいい。

そんなものがあってもいいじゃないか。

意味ばっかり、整合性ばっかり求めて。

それが何になるの。

自分が良いって思ったものは良いって何の衒いもなく言える。

僕はこうして言ってるわけですが、みんなが言えるような世界になればいいなあ。

というわけで今回はこの辺で。

これからも不定期で歌詞についての記事は書いてみたいと思います。

それではまた。

小野トロ


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