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【本当にあった不思議な話】S先生から聞いた怖いお話二つ

小学生の時にピアノを教わっていたS先生。
私達の住んでいるところにご主人の転勤で引っ越して来られて、多分3年程しか居られなかった先生だ。
随分可愛がって頂き、ピアノのレッスンがない日でも自宅にお邪魔しては、ちょっとしたお手伝いをしたり、遊ばせてもらったりしていた。
例によって、怖い話を聞きたがった私に話してくれたのはこんな話だ。

ある男性が入院していた病院での事。
夜中に目が覚めて、トイレに行った。
その病室にはトイレがついておらず、面倒でも廊下に出なければならない。
用を済ませて部屋に戻ろうとすると、一人の女性が裏口のドアを開け、外に出て行くのが見えた。
こんな時間にどこに行くんだろう?と思ったが、男性はそのまま自分の病室に戻り、もう一度眠った。

翌日、その男性はまた昨夜と同じくらいの時間にトイレに行きたくなって目が覚めた。
廊下を歩いてトイレに行き、戻ろうとした時に、また昨日の裏口のところに例の女性が居て、外に出ていこうとしている。

昨日の人だ。
何をしに行くのだろう?
二日続けてという事で、気になった男性は、後をこっそりつけていくことにした。
前を歩く女性に気づかれないよう少し離れて歩いていたが、着いた場所は病院からさほど遠くなく、裏を抜けた所にある墓地だった。

男性が木の陰に隠れて様子を見ていると、女性は一つのお墓の前にしゃがみこみ、土を掘り返しだした。
その頃、この地域ではまだ土葬をしており、女性が掘り起こしているお墓は、昼間埋葬したばかりの場所である。

どれだけ時間が経っただろうか。
男性が息を殺して見ていると、しばらくうつむいていた女性が、今度は首と両手を忙しなく動かしている。
そして、しんと静まった墓地に響く、グッチャグッチャ、ペチャペチャという音。
「ひっ!」
思わず漏らしてしまった声に気づいた女性が振り向いた!
口元は血で染まり、肉片が垂れ下がっている。
「見〜た〜な〜〜!」

ひぃぃぃぃ! 殺される!
男性は履いていたスリッパも脱ぎ捨て病院まで必死で走った。
無事に病室にたどり着くとベッドで毛布をかぶりガタガタと震えていた。

しばらくすると、廊下から他の部屋のドアが開いたり閉まったりする音が聞こえてきた。
あの女が俺を探してる!
そして隣の部屋のドアが閉まる音がする。
次はここだ……。
ドアが開く。
ヒタヒタヒタ……
足音が聞こえる。
女は一つ一つのベッドの前で立ち止まっているようだ。
「こいつじゃない……」
「こいつじゃない……」
そして男性の足元に立つ。


「こいつだーっ!!」
おそらく寝ている患者の足を調べ、スリッパを脱ぎ捨てて泥だらけになっている足を探していたのだろう。
翌朝、男性の姿は消えており、裏口のドアの所に一房の髪の毛がぶら下がっていた。

既存の怪談かもしれないが、その頃の私にとっては凄く怖くて、キャンプに行った時などに自分なりのアレンジを加え、友達に語っていた話の一つである。

S先生から聞いた怖いお話でもう一つ覚えているのは、S先生の体験談。

S先生が高校生の時、ある女友達がいたのだけれど、その友達のお家がすごく厳しくて、それは修学旅行にも行かせてもらえないっていうくらいだったらしい。

で、S先生、ある時その友達と一緒に遅い時間の映画を観に行った。
映画を楽しんでの帰り道。
踏切りの前で、電車が通過するのを待っていたのだけれど、友達が手に持っていた膝掛けをいきなりS先生に預けてきたかと思うと、そのまま遮断機をくぐったらしい。
そしてやって来た電車に轢かれて亡くなったとのこと。

それからは、その踏切りでは、友達が轢かれた時刻の電車が通り過ぎると、そのあとに人魂が現れていたという話だった。

怖いと言うより、何でその子の家、そんなに厳しかったのだろう?死んでしまったら何にもならないのに、とか、S先生はさぞかしショックだっただろうな等と、悲しく、インパクトあるお話でした。

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