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陰翳礼讃ー谷崎の文章と、大川裕弘の写真の絶妙な取り合わせを味わう

「陰翳礼讃」は、文豪谷崎潤一郎の名随筆である。
その内容は、一言でいえば、

日本の美意識の底には「暗がり」と「翳り」がある。

というに尽きる。

日本人の美意識を深くから抉り出した、素晴らしい名文は、現代においてもその輝きを失わない。

そして、近年、その「陰翳礼讃」を、さらに輝かせる名著が現れた。
バイ インターナショナル社の出版した、
「陰翳礼讃」文・谷崎潤一郎 写真・大川裕弘 である。


本書において、大川氏は、様々な角度から、谷崎氏のいう「陰影の美」を写し取り、それを映像化することに成功している。
その様は、まさに「空気を撮る名匠」というに相応しい。
その名人ぶりは、言葉では説明し得ない類のものである。ぜひ、本書を手に取り、じっくりと味わってみていただきたい。
そして、日本の美、ひいては日本人そのものについても、考察していただけるなら、小生にとってこれ以上ない喜びである。
本書には、それだけの価値があるものと信ずる。

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