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サウナ旅① フィンランド(Finland)編

極寒期のサウナ旅。

成田発11:30で空路 ヘルシンキ(Helsinki)へ。
昨夏に続き二度目のヘルシンキ。今回はサウナ本が絶賛ヒット中のボス達と、男だらけのサウナ旅。

ヘルシンキは日本から一番近いヨーロッパといわれ、近年は、ハブ空港として北ヨーロッパを中心にフライトが増えている。
フィンエアーの機体の内装はとてもカッコいいのだけれど、今回はJALにした。
機内で食べられる「Japanese Soba Noodles 蔦(つた)」のラーメンは機内だとヌルい事が多い。最初に「アッツアツで」とお願いしたところ、過去No.1のアツアツ‼️イキナリ感動。

ヘルシンキに着いて、国内線へトランジット。日本、韓国のパスポートは電子認証レーンを通れるのだけど、優先のはずが中々混んでいる。実は優先ではなくて、ただの二重チェックじゃないのか?と思うほど。

向かう先は「タンペレ(Tampere)」。プロペラ機で20分程の場所。フィンランドではヘルシンキに続き、第二の都市。
機内に向かうバスの乗り降りで、冬のヘルシンキの外気を始めて味わった。この日の外気はマイナス3度、ボスが何気に札幌の気温調べたら、なんとマイナス14度。精神的にハードルが下がったものの、やっぱり寒い。タンペレ行きのCAさんは機内でもコートと手袋をしている状況。

タンペレ到着後、すぐにホテルへチェックイン。
そこで撮影チームと合流し、直ぐにサウナへ。

1箇所目は市営「ラウハニエミサウナ(Rauhaniemen kansankylpylä)」。
着いた頃にはローカルで激混み。ロッカーすらないハンガーだけの更衣室で、雪山並の防寒具を脱ぎ、男女混浴のぎゅう詰めサウナ室へ。

今までに嗅いだ事のない匂いが、サウナ室いっぱいに立ち込める。
激熱ストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、各々のスタイルで行われるロウリュ。上手い人のロウリュだと最上段は耳がちぎれるかと思うほどの高温熱波が。

施設には撮影許可を取っているものの、撮影する時にはカメラマンさんから一声かけておく。経験した事のない温度差とロウリュによる熱気で、カメラが中々機能してくれない。ぎゅうぎゅうの肉々しいサウナの中で、ナイスショットが出るまで耐えに耐え、氷の浮かぶ湖へ。
途中コーディネーターさんから「みなさーん!凍ってないので、0度か1度くらいですから大丈夫です。」と言われる。

「なるほど!???」

極限状態故に頷いたものの、よく考えたら「アホか‼️笑」と。
まさに世界の果てまで行ってQ。こっちの頭を読んだのか、再びコーディネーターさん。

「先週、世界ふしぎ発見の撮影の時は、もっと寒かったですよ!」

「あー!それなら大丈夫か!???」

アホか‼️‼️‼️笑

水から上がりブルブル震えながらベンチに向かうと、木のベンチには発泡スチロールが敷いてある。木や金属だと肌がくっつくらしい。

極限状態の水風呂から上がると、そこにはかつて経験した事のないレベルの「ととのい」が。

二軒目は、寒中水泳協会経営の「サウナラヴィントラ・クーマ(Saunaravintola Kuuma)」。
こちらは都心部にある事もあって一軒目のラウハニエミサウナに比べてスタイリッシュ。レストランとサウナの複合施設で、水風呂は運河を利用している。流れがある分、さっきの湖より体感温度が低めだ。
サウナの中では、ローカルサウナーからフィンランド200年のサウナ史講義を受け(途中途中質問が入るから気を抜けない(汗))、こちらでもかつてない「ととのい」を経験し、この旅唯一のレストランへ。

正直、「空腹」✖️「ととのい」でノーマ(noma)みたいな料理出てきちゃったら参るなーと思っていたけれど、意外にも食べ応えのあるコース。
Finlandらしくかなり塩気の効いたメニューだが、サウナ上がりを考慮してなのかと、妙に納得した晩ご飯だった。
時差ボケ、サウナ、満腹の入眠三大原則に則った僕達は、寝ない訳にはという事で、そのままホテルに直帰。半年前にヘルシンキ市内でステイしたラップランドホテルの系列。部屋はセンスの良い内装と、清潔なプライベートサウナ。翌朝を楽しみにタイマーをセット。


朝一番。
フィンランドはこの時期日の入りが早く、日の出は遅い。
本当に日照時間が少なく「これじゃ、当然気が滅入るよな」と思いながらバスルームに行くと、昨夜タイマーをセットしたサウナはなんと112℃。
慌てて裸になりサウナに入るものの、熱くて座れない。ロウリュしようと思っても、ヒシャクが持てない。苦労してロウリュすると、天井から熱波のモーニングショット‼️あまりにも仕上がったサウナ室が勿体なくて、5セット堪能。
流石に部屋外気浴は出来ないので、サウナ→フィンランド大使館風水浴び→便座に座ってととのう。を繰り返す。

早起きはサウナ〜の徳。

朝ご飯は抜いて、早朝の駅へ。
今日はタンペレから陸路の列車でヘルシンキに戻る。そこからさらに北へ。空路でラップランド(Lapland)方面の「クーサモ(Kuusamo)」に向かう事に。
1日ぶりにヘルシンキ国際空港に戻り、クーサモ行きの飛行機を待つ。

機体変更のため約2時間遅れのフライトで到着。
一行を待っていたのは、とんでもない世界観のプライベートサウナ施設「ビュハビーロ サウナ & スパ(Pyhäpiilo Sauna & Spa)」。

そもそもプライベート施設として建てられたビュハビーロ サウナ & スパには、1t以上のストーンを配置したスモークサウナ、凍る湖に穴を開けたアヴァント、世界に一つしかない幻想的なアイスサウナがある。
地形を活かしたビューは、一日中ずーっと眺めていられるほどの美しさ。貸し切りなので気を使う事もなく、オーナーご夫婦がサウナ執事のように、常にベストを調整してくれる贅沢な時間と空間。

十二分に整った僕らに足りないものを、先輩が気が付いてしまった。

「ストレスが足りない、出すものがない」

確かに、ずっと整い続けるこの旅は、交感神経がオフのまんま。
サウナの最大効能は、日常の交感神経過多を副交感神経に誘導出来る事だった。

ふにゃふにゃになった僕らは、ビュハビーロ サウナ & スパのオーナーご夫妻が経営するロッジに一旦荷物を置いた後、これまたオーナーご夫妻が経営する街のレストランへ。

この旅の最初に、

「フィンランドはカカア天下で、首相も内閣もみんな女性」
と聞いたけど、確かにFinnish男性はシャイで、女性は社交的な働き者。このオーナーご夫妻を見てもそれがよく分かった。しかも、かなりのやり手だ。

部屋に戻ると、今日は相部屋。
9歳上で同じ誕生日の先輩と、日本から持ち込んだ

(後にも書くけど、みんなを驚かせる?喜ばせる?為に色んなグッズを持って来ていて、1人だけやたらと荷物がデカく、なんか、「叶姉妹か?その大荷物」的な冷やかな視線を浴び続けていた)

焼酎(これだけで結局2キロある訳だから)お湯割を飲みながら、暖炉の前で雪をバックに人生トーク。先輩の事は結構前から知ってるし、トライアスロントリップやサーフトリップに何度も行ったけど、サシでゆっくり話した事はなかった。改めてカッコいい。俺もこうなりたいなと思った二泊目の夜だった。


『濃っ‼️』

翌日。
ロシア国境まで10キロの場所に移動する。目的地は「イソケンカイステン・ クルビ(Isokenkäisten Klubi)」という、七つ星サウナ。
イソケンカイステンとはフィンランド語で「大きな靴の人」という意味だ。大きな靴の人とはFinnishで「大金持ち・権力者」を表す言葉。

フィンランドの東の端に到着した僕らは、そのまま重装備に着替え、ヘルメットをかぶり、まずはスノーモービルツーリングへ。マイナス20℃でのスノーモービルは、想像を絶する寒さ。普段冬場のバイクツーリングが好きな僕でも、これは堪える。

しかし時速100キロ以上のスピードで、目にするもの全てが白い世界を突っきるのは爽快。ここ何日間のスローリーなサウナライフと相反し、交感神経が昂る。およそ40分かけて目的地へと向かう。

目的地までの道のりで、何組かのライダーとすれ違いながら到着。そこは標高650メートルのロシア国境付近の街。360度一帯を見渡せる絶景地で、ロシアボーダーまでは1.5キロ。初めて見るロシアの大地。大量の雪と、強い風によって何千、何万もの木々は厚い雪衣を纏い、まるで人々が、親子や恋人の様に抱き合っている様にもみえる、幻想的な世界。

展望台を降りるとそこには、小さな山小屋があり、スノーモービルが何台も止めてある。バイクツーリングと同じ様な光景から小屋の中に入ると、そこには中央に岩を積み上げた原始的な焚き火台が。
そこではライダー達が思い思いのソーセージを持ち寄り、一つの焚き火台を効率良くシェアしながら、束の間の暖と会話を楽しんでいる。なんという贅沢な瞬間なのか?日本で寒い中バイクツーリングして、辿り着いた峠のお店にグツグツ温かなおでん!あれだ!
一休みしたらまた外の寒気を浴びなければならない、あの束の間の幸福。同じ境遇の者達との奇妙な連帯感。

遠い国の初めて会った人達にとても親近感を感じながら、僕らもソーセージを焼く。なんて事ないソーセージ、感動レベルの美味さ!そこに温かいベリージュース。日本だとまず飲まないホットベリージュースが、北国独特の塩分の濃いソーセージに凄くマッチする。スモーキーな小屋の中で、塩分と甘味のハーモニー。

ここの日常だとまず選択しない事を、スムーズに経験させてもらえるのが、初めての旅で大切な事。自分の世界を大きく拡げてくれる。日常で新しい経験をするよりも、旅先で新しい経験をする方が、よっぽどスムーズに挑戦できる。
他に選択肢がないという事が、普段過分な選択肢に溢れ、なのにも関わらず、あまり選択を変える事がない僕らにとって、こういう体験はかけがえのない刺激。


話はランチに戻って。途中薪火で作ったホットサンドをはさみ、デザートのシナモンロールをこれもまた、火で温める。シナモンロールはヘルシンキでも名物。(僕は食べないけど、甘いものが苦手)
ここで食べるシナモンロールは格別!熱いコーヒーと間違いない組み合わせ。今でもあの瞬間の口に戻りたい!

束の間の暖をとり、心地よくお腹を満たした僕らは、帰路に。
行きとは違う道を通り、ツーリングは続く。

途中、標識が沢山ある事に気付く。山中で、しかも積雪を想定された表示。単なるツアーアクティビティではなく、スノーモービルツーリングがスタイルとして定着している。僕はスノーモービルを運搬や移動の手段として考えていたけれど、僕らでいうバイクのように、乗る事自体を目的とした乗り物でもあるようだ。良く見ると各々、思い思いにカスタムしてあるし、日本でいうイタ車(日本のアニメはホントすごい!)もみられた。

3時前にロッジエリアに戻ってきて、冷え切った身体を温める間もなく向かったのは、この旅のメインともいえる七つ星スモークサウナ。
トラディショナル!オーセンティック!スモークサウナ!

3t以上の石を6時間以上温めた荘厳なサウナに入ると、ここでも女将さんが登場!女将さんは一族代々の歴史から、自分達のアイデンティティやメンタリティー、過去に遡ってサウナの役割や在り方、サウナに纏わる副次的な環境や出来事を親しみを持って話してくれた。
貸し切りのサウナで、ここでも女将さんが付きっきりでサウナバトラーをやってくれ、「スモークサウナはとにかく身体を濡らして」と新鮮なバスタを次々に渡してくれる。

※フィンランド南西部ではヴィヒタ、北部、東部ではバスタ。サウナに欠かせない、白樺の枝を束ねて作ったもの。サウナで熱い蒸気をあびた身体を叩いて、血行を良くするために使う。

「アヴァント」、氷の湖に入る事もずいぶん慣れてきて、湖の向こうの森を見渡しながら、極上のヒーリングタイム。
日本ではサウナの合間に軽食する事が少ないけれど、ここのサウナスナックがとても素晴らしい。ドリンクも、ミネラルやビタミンを補給できるよう、フレッシュなベリーをふんだんに使った、スムージーやベリージュース、ワイルドハーブティーなど、丁寧なおもてなしが用意されている。

ここでは、他の施設のバタバタ感もなく、ゆっくりな時間をゆっくりと過ごす事ができ、サウナも6、7セット味わう事ができた。

日本では、どこか原理主義的になってきた感のあるサウナだけど、フィンランドサウナの歴史やアイデンティティ、メンタリティーとマインドに触れる事ができ、サウナへの考え方や、楽しみ方が少し変わるだろうなぁと感じた旅だった。

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