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焚き火の会 戸隠キャンプその二

ハルトに続いて、昼寝をしていた面々が海パンに履き替え始める。特注のテントは12人まで入れる、まるでフィンランドの公衆サウナの混み具合。肉肉しいテント内部は温度と湿度がエクセレント。次回は出張熱波師でもお願いするか。

テントサウナも慣れて来ると、薪とストーブの材質が肝なのだとわかってきた。
モビリティを重視してスレンレスのストーブにしたのだけど、できる限り鉄を使うべきだと思う。
煙突や足は仕方ないとしても、本体は鉄のストーブに変えてみよう。

それにしても、サウナに籠る時間は至福のひとときだ。
ステンレスでも最高のサウナであることに変わりはなく、電気ではない薪のサウナを堪能する。

年明けに行ったエストニアのスモークサウナで、本物の薪を燃やすと大地、森、そして炎の精霊からパワーとメッセージ受け取る事が出来るって教えてもらったな、Nature saunaは自然との一体化を体感することができる。

テントから出ると、目の前のさかさ川へ向かう。
僕らが“スポット”と呼ぶ腰くらいの深さのポイントへは流れに身を任せ誘われていく。
フィンランドやエストニアで経験したけれど、サウナは100度くらいあるが、液体では無いので我慢できる。当然100度のお湯は耐えられない。

水風呂と外気の関係も同じで、クーサモ地域の外気マイナス20度でもマイナス1度程度の湖でアヴァントすると、液体に触れるから外気が暖かく感じる。ひとときだけど。Nature saunaの場合、より長く水風呂に浸かることで外気との差で整い時間を長く感じることができる。そして、例の椅子。

無、無常
深く青い海の底
大気圏を超えた宇宙の狭間

無・・・・、無だ。

7、8分すると、ようやく下界の音が耳に入ってくる。
川のせせらぎ、鳥の声、楽しげな会話、そして時間差で嗅覚が戻ってくる。
焚き火の匂い、羊を焼く香ばしい脂。
最後にゆっくりと目を開ける。空がほんのりオレンジに色づいてきた。

直ぐには着替えない。
Hポンチョを羽織ったまま焚き火の側に行くと
※Hポンチョ 福岡大名のHホテル
urbansaunalounge開催した時に作った
surfポンチョ。
naturesaunaに最適

9mm 極厚の特注鉄板でハルトが例のラックを焼いている。
なんて絵になる、映えるシーンなことか!
網ではメカジキのステーキが、奥ではモーリーがピザ窯を調整し始める。

スピーカーからは
spicy chocolate ‘life’

この世界は何だ? 
マジックアワーにキャンプマジック

涙が溢れそうになった。

改めて乾杯しよう。
みんな、またビールからやり直すらしい。
次回のテーマはカクテルでもイイかも。

ハルトが羊のラックに同じく9ミリの蓋をした頃、メカジキのステーキが上がってきた。
塩胡椒とフレッシュハーブで食べる。

日本酒だと言うのに、白ワインが配られはじめる。
会話は殆ど「旨いね‼️」「美味しー」「ヤバい❗️」
これだけで成立している。

そう言えば、いつから美味しいもの食べて「ヤバい」って言うようになったんだろう。
原発を反対する小泉元総理が何年か前にアイスランドの核廃棄物貯蔵庫を見学した後、言葉と言うのは時代と共に変化するから、危険とか、危ないとか100年、200年後になんと表現して良いのかわからないだろうって、だって、今の若い子たちは美味しいをヤバいって言っちゃうんだから、って。
流石に話しが上手いよね、確かにその通り。

とか、ポンコツになった頭で訳のわからないことを考えていると、ハルトが最高に仕上がったラックにナイフを入れ配り始めた!いわゆるチョップの状態。
熱々のチョップの根元をホイルで巻いて先ずはひと口。
表面の脂がジュースになって口に流れ込む。身は甘く柔らかく、とても塩だけで焼いたとは思えない旨味。ミディアムレアの身を堪能した後は、チョップを再び網の上におく。
骨の周りの肉はカリカリのウエルダンにするとまた美味しい。

「赤あったっけー?」と言う前にシラーが手元に回ってくる。
最高の羊に合わせるのは、6時間かけて焼いた淡路島の玉ねぎ。
正直ダッヂオーブンで焼くのは初めてだし、下に引いた塩は食卓塩だし、不安だったけど、sotoダッヂオーブンの蓋を開けると想像通り姿!ひとつずつ慎重に小皿に盛り、スプーンを入れると感動的なあの食感、スープの味わい。焼いただけの玉ねぎが、ジョバンニの再現。

「なんて日だ‼️」

サウナ上がりの減ったお腹はまだ二回の裏。
元ベイスターズのモーリーはピザ窯の前で火を睨んでいる、かと思うと、レストランにあるようなピザ返し?(炉端焼きにある長いしゃもじみたいな、スコップみたいなヤツ、どっから持ってきた?)で小刻みにピザを回転させると「ヨシッ!」と合図した。

キッチンでピザカッターにかけられたピザはシラスと塩昆布、青唐辛子のトッピング、チーズはテロ〜んと糸を引く。
生地の焦げ目がナポリっぽい。味、ん酸味?なるほどスダチだ!
このチームは天才しかいないのか?「ピザ生地どうしたの?超旨いんだけど」

「冷凍のヤツです。一応三越の地下で買いました」って充分すぎる旨さ。
ピザ生地にはオイルを引いてトッピングしてあって生地はカリカリのまま。

焼く度に腕を上げていくモーリーは最早食べもせず飲みもせずに集中を高めていく。
流石実家は伝統工芸師、血だなこれは、そして元プロ野球選手、棒使い旨すぎる。

僕らのキャンプだと、あまり牛肉は食べない。

そろそろみんなお待ちかねのアヒージョ。
メインは海老ではなくタコ。昼間の明石タコは売り切れて、今度は岡山しもついのタコ。仲のいいお寿司屋さんが、地元に行かないと食べられないって言ってたのだけど、お隣広島県福山市出身の森山に言ったら手配しますって。
「その場じゃないと食べれんから送ったりしてくれんってよ」って言ったのにちゃんとある。地元福山から親父さんに行ってもらったそうだ。流石。

タコのアヒージョは大量に買ってきたはずのフランスパンと共にあっという間に無くなっていく。キャンプの格言通りだ。「肉は余る、パンは足らず」そのまま放っておくと残ったオイルは全部パンに吸われて食べられてしまうので早々にフライパンを回収する。

締めのスパゲッティが茹で始められた。さっきより少し大きめのフライパンを囲炉裏にかける、あったまってきたところで少しのバターと硬めに茹でたスパゲティを炒めるそこに茹で汁を適量加えたら没収しておいたアヒージョの残りオイルを投入したら乳化し始める。
追いニンニクと追い唐辛子でおつまみスパゲティの完成。せいやに盛り付けを頼むものの想像通りの合宿盛り、トングと麺の量のバランスを教えると流石の飲み込みの速さで取り分けていく。作り終えて飲み物を取り定位置に戻るとみんなが僕をみてる。
なるほど八回裏ね。追加は多数決でトマトソースのスパゲティに決定した。

キャンプ場の入り口で売っていた地物のトマトをサクッと湯むきして刻む、ニンニクとフレッシュトマト、鶏ガラスープをオリーブオイルで整える。適当なタイミングでスパゲティと合わせるだけ。超簡単焚き火トマトスパゲティ。慣れてきた手つきでセイヤが盛るとそこにオレガノと鷹の爪を添えた。

そこからは、余り覚えてないのだけど、うつらうつらしながら、何となくハルトとたかよしが種火に戻りそうなサウナから出てきて川に向かって行ったような.......
早起きと、究極のサウナ、感動メシ、焚き火

寝落ちの条件は完ぺきに整っていた。

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