見出し画像

BTC価格が移動平均に引き寄せられる力

ビットコインの値動きが移動平均線に引き寄せられる力を計算してみました。結果はこちら。

BTC価格に働く力(上)と拡散係数(下)

上図はBTC価格に働く力で、下図は拡散係数(ボラティリティ)を表している。横軸は移動平均乖離率。

binanceのBTC/USDTの2018~2022年の1分足データから、単純移動平均(1日=1440m)乖離率の遷移確率を計算した。遷移確率の一次モーメントをBTC価格に働く力、二次のモーメントを拡散係数と呼ぶ。これらの量は、確率分布の時間発展を記述する、フォッカー・プランク方程式に現れてくる。

$$
移動平均乖離率: x, \\
xから1分後にx+rに移る遷移確率:w\left(r;x\right),
$$

$$
力: \alpha_1\left(x\right) = \int r w\left(r;x\right) \rm{d}r,  \\
拡散係数: \alpha_2\left(x\right) = \int r^2 w\left(r;x\right) \rm{d}r
$$

上図から、移動平均乖離率が5%の範囲内で、乖離率が正のときに負の力が、乖離率が負のときに正の力が働いて、移動平均線に向かって引力が価格に働くことが分かる。乖離率が5%を超えるとデータ不足と高いボラティリティが要因で滑らかな曲線が引けなくなってしまっているが、なんとなくゼロ付近の直線的傾向から外れている気がするのと、力が正負両方に振れていて不安定なので、移動平均から外れ過ぎているときは逆張りを避けたほうが良いことを示唆しているかもしれない。

下図の方は拡散係数を表している。これは物理的には温度、金融的にはボラティリティの二乗を意味する。グラフから、乖離率が大きい時ほどボラティリティが高いこと、価格が上昇する時よりも下落する時の方がボラティリティが高いことが示された。

比較の為に、2000年~2022年のドル円のデータから同様の計算をした。
結果はこちら。

USD/JPY価格に働く力(上)と拡散係数(下)

ビットコイン価格と同様な傾向がドル円にも見られる。
ただし、拡散係数と力の大きさを比較すると、「拡散係数÷力^2」の値がビットコイン価格よりもドル円価格の方が桁違いに大きい。これは、ビットコイン価格よりもドル円価格の方がランダム性が高く無秩序であることを意味している(物理的には温度が高い)。逆にビットコインの方が平均回帰する力が強い。これは取引する上でビットコインを選ぶ理由になるかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?