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映画「タロウのバカ」

登場人物は今をときめく菅田将暉&仲野太賀、そして新星のYOSHI。なんとも素晴らしいキャスティング。

主人公の一人、タロウ(YOSHI)は戸籍がなく、本当の名前も実際の年齢も定かでないネグレクト状態の少年。もちろん学校には通っておらず、河原をぶらぶらしたりして暇をつぶしている。そんな時に友達になったのが、いつも河原にいる身障者のカップルと、高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)。この二人もやることがなく、3人は街をぶらつき、窃盗をしたりするなど自暴自棄な生活を送っている。

この映画では、日本の郊外の街に蔓延する貧困・半グレ・暴力・売春・戸籍問題・外国人労働者問題・シングルマザー・ネグレクトなどなど、ありとあらゆる問題が波状攻撃のように襲ってくる。どこへ行っても、どうやっても逃げ出せずにぶつかってしまう、そんな感じがヒシヒシと伝わってくる。そのあたりは見ていてとても痛々しい。しかし、何か違和感がある。この違和感の正体こそ、私がこの監督と合わないと思う理由なんだろう。

貧困で抑圧された生活の中、男は暴力に走り、女は身体を売る……。なんともステレオタイプな感じがする。私自身がそういった生活に身をおいたことがないからかもしれない(知らんけど)。

映画の中の印象的なシーンとして、老人介護施設・身障者介護施設・身障者のカップルが映画の中で登場するのだが、その人たちの撮り方に違和感というか嫌悪感を感じた。こういったシーンを撮ることは、その人の尊厳に関わることであり、かなりの覚悟が必要だと私は思う。映画を撮り・公開することによって、人に周知させ、どんな世の中にしたいのか?何を訴えたいのか?というところがあまりにも伝わってこなかったので、嫌な気持ちになったのだろうな。監督としては嫌な気持ちにさせることが「成功」であったのかもしれないけど…。やはり気が合わんな。

#映画 #コラム #感想 #タロウのバカ #029

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