映画「レディ・バード」
女子の青春映画の決定版と呼び声高いが、異論なし!!である。そして、母娘映画の決定版でもあるな~と思う映画でした。
17歳のクリスティーン(シアーシャ・ローナン)は自身を『レディーバード』と称し、家や友人関係ではもちろん、学校に提出するテストや論文にも明記する。進路希望は、自身が住む田舎町のサクラメントを出てニューヨークかサンフランシスコの大学に通うことだが、父親がリストラにあい、さらに兄が定職が見つからないなど資金面を含め、母親から猛反対を受けている。(母親は娘を自分の手に届く見える範囲に置いておきたいという気持ちが多分に伝わってくる)
自身を『LADY BIRD』(’英語で書くのがピッタリ)と自称するクリスティーンは『中二病』の側面を持ち、曲ったことが大嫌いで一直線。17歳のお年頃のため、進路はもちろん、恋愛にも性にも興味津々。親友のぽっちゃりボディが愛くるしいジュディーと女同士のぶっちゃけ下ネタトークにも花が咲く。
何にでも全力投球のクリスティーンは、希望の大学への進学を目指して様々な工作をしつつ、演劇部で一緒になったダニーに恋をし、これまた一直線に挑んでいく。……が、途中までうまくいきかけた恋も色々あって破断に……。
ただし、そこで止まるクリスティーンではないのです。一人がダメなら次!の精神の持ち主。ちゃんと傷つくけれど、立ち直りは早い。見習いたいもんですなぁ。いいな♥と思う男の子に近づくためには、友達をも乗り換えてしまう。自分勝手な感じもこの年頃の女の子っぽい。学校内でのカースト、女同士のランキングのつけあい方、喋り方や笑い方、服装ひとつとっても、なんともリアル。私も昔はこういったことに振り回されていたなぁと遠い目になる。
次に目をつけて射止めたのがカイル。何に対しても熱くなるのが馬鹿らしいといった斜に構えたいけ好かない男子なんですが、いい男。それをティモシー・シャラメが演じるとこうなります。
いい!!好きだーーーー。あかん。遊びでもいい。その場のノリでもいい……となる……ね。うん。なるよ。でも、見下されてるのがわかって(わかってる)あとで後悔する。(けど、それもいい勉強か…。男の子サイドの映画が見てみたい。これ系の男の子の気持ちってどんなもんなんだろう)
今作で一番印象的だったのが母娘の会話。プロムに着ていく服を母親と選びにいく。自分が気に入った服を母親に批判されるシーンがある。
「私はただママに肯定してほしかっただけ!」という意味の言葉を母親に投げつけるクリスティーン。この言葉は服のことだけを指しているのではなく、母娘関係において様々なことを含んでいる叫びだなぁと思った。
自分でも未だにそうなのが不思議なくらい母親の意見には威力がある。父親に同じことを言われたとしても気にならないのに、母親からかけられる言葉は『励み』になると同時に『呪い』にもなる。自分の足で立ち、仕事もあって友人もいて、趣味もあって、大体のことは自分で決めてきた40歳になってもそうなのである。とはいえ、呪い跳ね返し方もわかってきている。(…だが、まだ囚われる時があるので恐ろしい)
これはきっと母親が死ぬまで、いや、自分が死ぬまで続くんだろうな。母と娘はきっとそんな関係なんだろう。
『レディバード』ことクリスティーンを通して、17歳を追体験させてもらった気がする。ちょっとおバカで、正義感が強くかわいい女の子。この子の20年後が見てみたい。そして、この子とは友達になれそうだわ、ワタシ。
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