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育児中のママだけど、育児系の記事を書くのは怖い

「Webライターです。育児中です。」と言うと、「ママ向けメディアに挑戦しないの?」と聞かれることがある。正直なところを言うと、”30代・女性・育児中”はママ向けメディアのライターとしては、供給過多で需要がないのでは?と思いつつも、リアル感があるのでおいしい。

でも、私は書くのが怖いのだ。

”育児”は人によって千差万別なので、思わぬ言葉で傷つける恐れがあるからだ。

noteなど個人のメディアは、「あくまで私の事例です」と書くことができるのでいい。大したインフルエンス能力もないので、今のところ炎上していない。

↓前回のnote。読んでくれてありがとうございました!「子育てしながらフリーランス」の著書の良さとnoteのピックアップのおかげです。

ただ、予想外に読まれたので、「育児について書くこと」について、改めて考えたくなったのです。オチもまとまりもないけど、興味があったら付き合ってください。

Webメディアは「届かなくていいところ」にも届いてしまう

雑誌などの紙媒体は、基本的には「想定読者層」が買って読む。例えば”10代・女子・ファッション誌”は想定読者以外が買いづらい。ターゲットから外れる人が店頭で買っているのを見ると、家族が代理で買っているか、好きなアーティストが載っているのかなと思う。もしくは、そういうファッションが好きなのかもしれない。(電子書籍は手に取りやすいが、基本的に”自分で選ぶ”ものだ)

だけど、WebメディアはYahooニュースやLINEニュースなどのピックアップなどで、ターゲットから外れた人も目に入る。例えば、女性向けメディアに「女性の貧困問題」を書いたとしよう。そのYahooニュースのコメントに、「男性の貧困問題に触れていないのは問題では?」と書いてある場合がある。それは、想定読者から外れているから、的外れなコメントになる。

この場合は、「読解力がないのかしら」「記事を叩きたいだけなのでは」「何か嫌なことでもあって、判断力が低下しているのかもしれない」などが考えられる。読解力や叩きたいだけの人のコメントに出会ってしまった場合は、運が悪かったと思うしかない。問題なのは、「何か嫌なことでもあって、判断力が低下しているのかもしれない」だ。

完徹して判断力がなくなるのが、育児。

あくまで例えだが、仕事が立て込み完徹して、それでも低賃金であえぐ男性が、たまたま「女性の貧困」を読んだら腹も立つこともあるだろう。慢性的な疲労で、ターゲット読者から外れていることを読み違えてしまっても仕方がない。

深夜2時から明け方4時にかけて夜泣きをして、朝6時に普通に起きてくる子ども。フラフラの中、なんとか起きて用意した朝ごはんを「キライ!」とひっくり返される。

ふと見たWebメディアに、きれいに盛り付けられたご飯、モデルルームと間違えそうなぐらい整った部屋、メイクと服装がバッチリの美人ママ……自分との落差に絶望しそうになる。

きれいに盛り付けられたご飯も、モデルルームと間違えそうなぐらい整った部屋も、メイクと服装がバッチリの美人ママも、実は撮影用かもしれない。普段は納豆ご飯で、子どものおもちゃは別の部屋に押し込められて、すっぴんしまむらかもしれない。そもそも彼女は別人で、あなたと比べる必要性なんてない。

でも、それが判断できない。子どもが生まれてから、寝ていなくて、否定されて、それがずっと続いている。

想定読者層にハマるメディアが、想定読者層を傷つけやすいものの1つが育児メディアだと思う。

過度期のSNSやWebメディアは、棲み分けも難しいところだ。Twitterに”ていねいな暮らし”が流れてくることもあるし、Instagramに”ずぼらママ”の情報が流れるときもある。

育児経験者の親同士でも相入れないことがある

実際に”寝ない・食べない・聞かない”の三重苦のお子さんもいる。逆に、え、天使ですか?みたいな苦労知らずのお子さんもいる。子どもの性質によって違うのも、メディアでの発信の難しさを上げている。

育てやすいお子さんを育児してた親が、街中で暴れるお子さんを「しつけがなっていないのでは?」というのはナンセンスだ。もしかすると、99回注意して、100回目で心折れているのかもしれない。

想像力の範囲は人それぞれなので、育児経験者の親同士でも相入れないことがある。自分自身への自戒の念を込めて書く。

私は人を傷つけるために書きたいわけじゃない。でも万人を傷つけない方法は、きっとない。

1ツイートが140字が基本のTwitterや、SNS育児マンガなんかは炎上することがある。文字数が制限されているので、そもそもの前提条件が書かれていない、もしくは読まれていない場合があるからだ。育児マンガで、前提条件を書くのはテンポが落ちる。でも、そこが気になる人は確実にいる。

よくよくネガティブコメントを読むと、かつて親にされていたことを重ね合わせて傷ついている人もいる。発信者はそんなつもりはないのだ。親の至らなさが腹ただしい気持ちも、親になって思う自分の至らなさも、両方わかるので難しいな、と思った。

趣味のSNSとは違い、私はライターを名乗っている以上、人を傷つける文章は書きたくない。でも、万人を傷つけない文章を紡ぐのは、難しいのだろう。どんなに文章を精査しても、私に見えない視点がきっとある。

自分フィルターのメディアが欲しいから

ライターとして文章を納品すると、編集者によって赤字修正して返ってくる。私の拙い文章を修正していただくのは、本当にありがたい。ただ、一抹の不安を覚えるときがある。

私は、育児メディア以外で、育児中の視点で書いた原稿を納品したことがあった。おそらくそのメディアには、編集者さんに育児経験者がいない。

「この表現は他の親御さんを傷つけていないだろうか……」もちろん、修正に疑問があったら質疑を出すが、そもそも”子育て中の親”の視点が自分だけに偏るのは怖い。一度手放した文章は、簡単には修正できない。

私はnoteを書きたい。自分の責任の届く範囲で、自分の思っていることを発信したいからだ。それは、自分の想像力のなさや文章力のなさに、言い訳をしたいのかもしれない。

それでも、自分のフィルターを通したメディアが欲しいから、今日も私はnoteを書く。


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