月モカ_181119_0100

月曜モカ子の私的モチーフvol.190「オリジナルスペック叔母」

母の妹が当然わたしの叔母である。
今日はちょっと頓狂な叔母の話をしよう。
(とはいえ叔母はマメにこれを読んでいる上、じぶんが頓狂なことにじぶんで気づいていないので、書きにくいのであるが。笑)

ところで皆さん、叔母と伯母はどう違うかご存知でしたか?
実は父や母の姉を「伯母」と書き、父や母の妹を「叔母」と書くのです。

さて。この叔母であるが、先日述べたハイパースペック母の妹なのだけど、もう全くタイプが違う人なのである。完全なオリジナルスペック型なのである。

例えば先日妹から姉妹のlineに「やっぱりおばちゃんってすごく個性的」という言葉とともに、Lineのやり取りのスクショが送られてきた。それを見てみると「このテーブルクロスを知りませんか?」という言葉とともに水玉のテーブルクロスの袋の写真が添付されていた。「袋しかなくて中身がない」の意味である。
妹の言葉はこう。
<見たことも関わったこともないテーブルクロスの所在いきなり聞いてきた! なぜ!? 笑>

実は全く同じlineがわたしにも来ていて、その旨を姉妹Lineに伝達すると一同驚愕。みんなが思うことは「な・・ぜ・・?」

叔母の感じ。例えばこんな感じ。
いとこの就職が決まる時、配属先がまだ決まる前に娘のために家を借りた。
京都あたりに家を借りておけば、最悪大阪になっても通えるやろうという算段である。我がハイパースペック母は「配属決まってからのがいいんちゃうか、通えるようなとこに配属なるかもわからんし、逆にもし大阪になったら京都に借りるより大阪に借りてあげた方が通うのにもいいやんか」とアドバイスした。
そしたら叔母はこう答えた。
「そやけど大阪やったら藤井大丸から遠いやんか」 
母「え?」笑

(⤴︎新しいXRの画面の大きさに喜ぶ叔母)

叔母の思考回路はいつもこんな感じで、最初の目的を忘れて浮遊していく。
                                  家を借りる目的、それは娘が自宅から通えない職場に配属された場合のスムーズな通勤のためである。それが(どこがいいかな)(京都あたりがええかな)(そしたらわたしも買い物行ったりするついでに寄れるし)(ほな藤井大丸から近いとええな)(藤井大丸に近い所にええマンションある!)(この部屋もう埋まるかもしれん!?)
「契約してきたわ!」
こんな感じである。笑。

結局、いとこの配属先は自宅の最寄り駅のあたりに決まって、家は解約、見切り買いしたすべての家電が物置に格納されることとなった。お金にはとても細かく生きている叔母なのに一時的にはものすごいロスである。

叔母を一言で表すと「そこじゃないんですよ叔母」なのです。

例えば母が最近ネットフィリックスを契約したのだが、父と共有しているので、気づくとヤクザ映画やヤクザドラマの履歴で溢れており、ネットフィリックスが見たくもないヤクザ映画の新作をお勧めしてくるねん、いややな、笑、という話に対する叔母の返答は
「お姉ちゃんそんなん見てんの!? あったしはヤクザ映画嫌いやわ」

おばちゃん、そこじゃないねん。(てか話聞いてた? 笑)

(⤴︎撮るよ〜と言うと構えてスッゴイ変な顔になるのでこれは不意打ち激写。笑)

先日叔母のIT環境を整えて無駄に高くなっている携帯のプラン見直しをしたのだが、請求額が増えているとLineが来る。「内訳がえらーでてわからへんねけどなんでかな?」

おばちゃん、わたしも魔法使いじゃないから、内訳見れへんたらわからへんわ。

最近一番ツボにはまったのは「お姉ちゃんがな」という話。
叔母は何かにつけて母を意識、というか半依存しているのだけど、
それは叔母の息子のモトちゃんと顔や雰囲気が似てる役者がいる話で、言われてみたら確かに雰囲気は似ている、そやけどお姉ちゃんは全然似てないていうねん、て話で、「それでお姉ちゃんにな、今あのモトちゃんに似てはる人出てるから見て、て言うのに興味ないって言って全然見てくれはらへんねん」
そう言うのでわたしは、
「だって別に似てないと思ってるから見る気も起こらへんのやろ」と答えた。
すると叔母はこう言った。
                                  「そやけどお姉ちゃんな、Kaoさん出はる時は必ず毎回電話してきはんねで!」

Kaoさんとは母の知り合いで叔母もなんども会ったことがある身内みたいな俳優さんのことである。思わずわたし、
                                   
「Kaoさんは本人やんか! でも“似てる人”ってそれ他人やん!!!」

…似てる人って…

                                   
「うちのママも“似てる人”じゃなくてモトちゃんがテレビに出るんやったら絶対みると思うで」
「そうか」 そやろ!
話の種類が、全然ちゃうから!!!

今週叔母が東京に来るので一緒にiPhoneを買い、新しいmacも手配して色々設定して滋賀に帰ってもらおうとやり取りを重ねているのだが、そんな叔母なので大変。「Apple careという保証サービスつけてあるから何かあっても修理してもらえるよ」「ほなキットカットとかに持って行ったらええんかな?」

(・・・キットカットって何!ミドリ電機てきなとこ!?)

そこから叔母が修理の話をえらく細かく詰めようとするのでわたし慌てて遮る。
 
「とりあえず今新品を買うところやし、それはもしも壊れたら考えよ」
「そやな」

そんな叔母。でもわたしたちは割と気があう。わたしはその頓狂なところも含めて叔母が好き。

最後に叔母からのLineを紹介しよう。
なぜか叔母の改まったLineはとても丁寧な標準語でやってくる。

「滞在の間いろいろIT環境を整えていただいて感謝しています。
もう10年ほど進化したLifeを楽しみにしています。新しい仕事で忙しい日々を送る中家で楽しむ、癒しができることをゆめみています」

ゆめみています、というのがなんとも笑える。
ちなみにテーブルクロスは見つからないようで、
「何してんだか、デーブルグロス」という濁点だらけのキャッチフレーズがその後送られてきた。

                      (イラスト=MihoKingo)

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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。

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