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『すきとおる』5/15連載開始!

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中島桃果子(イーディ女主人)が書いた珠玉の春の物語「ソメイヨシノ(2009)」は誰も知らない夏の短編「すきとおる」に続いていました。 14年の時を経て、神保町のパリ(PASSAG…
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記事一覧

🍉すきとおる 〈VOL.5〉

 実環子の困惑は続いた。  竜之介と、芳本かをりと、自分をとりまく複雑、に対する困惑。  …

🍉すきとおる 〈VOL.4〉

深夜、竜之介の部屋でふと目覚めると、竜之介がいなかった。窓は網戸になっていて、湿度の高い…

🍉すきとおる 〈VOL.3〉

「つまらなかったんでしょう」  午前中の美術室は、西向きに窓がついているため、陽がはいら…

🍉すきとおる 〈VOL.2〉

昨日の大雨が嘘のように、空は水色で、雲ひとつない。 「思うことを、順番にぜんぶ口に出すと…

🍉すきとおる VOL.1

 世界は多数決のぬり絵なのだ、と、ふと思ったのは、昨日、シャンソン会の準備をしているとき…

ソメイヨシノ VOL.2

「みわこー」 ようやくカンバスに最初の緑をおいたとき、後ろで声がした。岡田宇宙(おかだそら…

ソメイヨシノ VOL.1

「猫の目ってさ」 世の中の景色をさ、どんな風に見てるのかなあ? 空の青とか同じなのかなあ?そう言ったのは宇宙だったっけ。 そのとき互いの目の中には互いがちゃんと映っていた気がする。 自分の目に映る景色がほんとうにそこにある景色なのか、その空は本当に青いのか、耳に聞こえる音は一体いつ震えているのか、そのすべてが不確かであるとするなら、互いの目に映る景色を尊重し、認め合い、相手の見ている景色を自分も見ようとして、手をつないで、一緒に空を見上げられることが幸せなのか、それともそんな

”きっかけはピンクだった” by新連載に寄せるまえがき

きっかけはピンクだった。そしてきっかけは少しづつ色を変え、きっかけでなくなり、放物線を描…