2023年、アプリのユーザー獲得および広告収益化に関する近況
モバイル広告技術はかつてないほどの速さで進化しています。現在進められているプライバシーに関する取り組みの影響で複雑さや困難さは増しているものの、新たな広告技術とプラットフォームによって、マーケティング担当者には革新的な方法で消費者にリーチする機会が提供されています。モバイル広告業界がプライバシーに関する取り組みに起因する問題に取り組んでいる一方で、開発者と広告主に求められているのは、戦略を軌道修正し、ファーストパーティデータの活動やクリエイティブ戦略の最適化などに取り組み、マーケティング活動によってプラスの ROI をもたらすことに徹底することです。
本文では、アプリのユーザー獲得および広告収益化に関する2023年の見通しと今後に向け備える方法について、Mintegral 日本チームの営業担当の Stephan とアカウントマネージャーの Anmi Liu が語っています。
最高のエンゲージメント率とコンバージョン率を叶える広告フォーマット
2022年は動画広告とインタラクティブ広告の年でした。そして2022年同様、今年も動画広告とプレイアブル広告がエンゲージメントの大半を占めることが想定されます。Mintegral のデータでは、質の高いメディア素材が常にマーケティング担当者を満足させる高コンバージョン率をもたらし、優れたパフォーマンスを発揮していることが明らかとなっています。これは特にゲーム業界で顕著にみられます。この傾向は、質の高いメディア素材の使用率が上昇しているアジア太平洋地域を含めすべての市場で認められている傾向だと Stephan は指摘します。
今後モバイル広告フォーマットがさらにクリエイティブかつイマーシブになる可能性が高いというのが業界の総意です。今後広く普及する可能性があるトレンドとして、HTML 5 機能を活用した広告など、インタラクティブ広告やダイナミック広告の使用が挙げられる一方、ユーザーにとってこれまで以上に魅力的な体験を創造するためパーソナライゼーションやデータ活用を重視するトレンドは今後も続くでしょう。ブランディングの観点から言えば、動画広告や音声広告、さらにインタラクティブな要素を使い始めるブランドが今後さらに増える可能性は高いでしょう。
ブランドといえば、“モバイルから CTV(コネクテッドTV)への移行”キャンペーンです。ブランドには、注目を集め、ターゲット層の関心を引き付ける極めて優れた手法と言えるこのキャンペーンをいち早く導入し大成功を収めた経験があります。現在キャンペーンのリーチを拡大すること、さらにはモバイルで増加する CPI 広告キャンペーンに対抗することを目指す広告主にとって CTV が最有力候補として浮上しており、クロスデバイス広告の勢いが増しています。eMarketer は、2023年までに CTV ユーザーが2億3,000万人を超えると予測しています。果たして“モバイルから CTV への移行”キャンペーンは、2023年に広く採用されるキャンペーンとなるのでしょうか?ブランドキャンペーンではすでに成功が認められているものの、パフォーマンスキャンペーンの成功は結局のところ今後開発されるアトリビューション技術に左右されるだろうと Anmi Liu は言います。また一部の地域が他の地域に先行する可能性はあるが、韓国で CTV 広告を現実的なオプションにするには、さらなる開発が必要だと Anmi Liu は指摘しています。
プライバシーのメリットと影響
ユーザープライバシー基準に関するトレンドが2023年も続き、さらに拡大することが見込まれています。これは十分なデータで裏付けられています。2023年のユーザープライバシーについて予測することは常に変化する状況を考慮するとかなり難しいと言えるでしょう。Google のプライバシーサンドボックスはまもなく Android に進出します。広告ネットワークは各プラットフォーム向けの変化し続ける新しい基準に対応する必要があると Stephan は指摘しています。マーケティング担当者には、データを共有する選択をすることで“価値交換”を明確に示すことが求められるため、プライバシーは今後もマーケティング担当者に苦戦を強いる課題となるでしょう。
IDFA後、Apple が新たな飛躍の一年に向け自社のモバイル広告事業の体制を整えていることは周知の事実です。新しいプロダクトではないものの、UA 界隈では“ Apple Search Ads ”などのプロダクトの人気が上昇しています。Apple は、Meta と Google にさらなる影響を与えるため、自社の広告プロダクトの開発を今後も続けていくでしょう。また、予算が変化し続けている中、今後も TikTok など急成長中のプラットフォームがSAN(self attributing network )の競争に参入するのを目にすることになるでしょう。
正確なターゲティングは引き続き業界全体の課題となるため、さらに進化し、クリエイティブの制作にこれまで以上にリソースを投じることが重要だと Stephan は指摘しています。従来のターゲティングやユーザーデータの収集/活用に限界がある場合、広告主はユーザーを獲得するために説得力のあるクリエイティブを重視し、これまで以上に厳しい最適化テストを実施する必要があります。だからといって、IDFA のオプトアウト(IDFA の利用を拒否)率が下がり続けるというわけではありません。断言するには時期尚早ですが、おそらくユーザーは今後ターゲティング広告が少ないとユーザーエクスペリエンスが低下する傾向が高いことを認識し、ターゲティング広告が便利だという事実を受け入れるようになるでしょう。
エンゲージメント率とリテンション率を上げる
ゲームやアプリのクロスプロモーションは、露出を高め、より多くのユーザーを魅了する優れた方法です。ゲームタイトルのクロスプロモーションは例外なくあらゆるユーザー獲得(UA)戦略に欠かせない要素ですが、同時にインストール数を増やし、ユーザーをエコシステムに定着させるためにも必要不可欠となっています。アカウントマネージャーを務める Anmi Liu は、今後ゲームが成長を推進し、関連するUAコストを削減し続けるだろうと指摘しています。Anmi Liu は、「従来のゲームはより成熟した市場でゲーマーを刺激することに苦戦しており、目の肥えたゲーマーを魅了する唯一の方法はこれまで以上にクリエイティブで高品質のゲームを制作することである」と言います。ユーザーリテンションは、あらゆるモバイルアプリの成功に欠かせない要素です。既存のユーザーを活用することは鍵となるでしょう。また、ユーザーにアプリを利用する動機を与える方法について戦略を練ることも重要な作業となるでしょう。
“モバイルゲーム”のカテゴリーが驚くほど飽和状態にあるため、デベロッパーの間では、ユーティリティアプリなど“エバーグリーンアプリ”の開発により多くのリソースを投入する傾向がみられています。この背景には、“エバーグリーンアプリ”とゲームの性質の違いがあると指摘する Anmi Liu は、“エバーグリーンアプリ”は寿命が長いアプリとなる一方、ゲームは当たれば大きいが外れればゼロという性質を持つアプリのため、“エバーグリーンアプリ”へのシフトはコスト削減に役立つ可能性があると言います。Stephan もまた、Mintegral は大手仲介プラットフォームとパートナーシップを組むことで、ゲーム以外のアプリのデベロッパー向けのトップネットワークとしての立場を確立していると指摘しています。
WEB 3 の現状
2022年ゲーム業界では、ブロックチェーン技術やその使用事例が話題を席巻しました。“Web 3 ゲーム”、“NFT”、“P2E”(play-to-earn)、“play-and-earn”はいずれも一時期注目の話題となりましたが、さまざまな理由で盛り上がりが下火になっています。Mintegral は、今後多くのゲームがブロックチェーンに移行するだけでなく、Web 3 環境専用のゲームを開発するデベロッパーがさらに増えると予測しています。こういったゲームでは今後、NFT(非代替性トークン)が革新的な方法で使用され、ユニークな方法でクリプトエコノミクスが活用される可能性が高いでしょう。
そうは言っても「Web 3 はまだ黎明期です。ところが、企業は依然として仮想通貨市場やマクロ環境に関わらず Web 3 専用ゲームに軸足を置いています」と話す Jeff は、最も成功したデジタルプロジェクトのいくつかは、過去のベアマーケット(弱気市場)で構築されたプロジェクトであり、昨今の逆風は今後のゲームやプロジェクトにとって重大な教訓となるに過ぎないだろうと指摘しています。「サステナブルに拡大し続けることを目指しているなら、“プレイしやすさ”とゲームの“プレイヤー経済”のバランスをとることが Web 3 ゲームにとって重要になると考えています」と Anmi Liu は言います。事実、今後分散化を取り入れたゲームや、プレイヤー所有のバーチャル経済が採用されたゲームを私たちが目にする機会は増えるかもしれません。
理想的なユーザーを獲得し、広告収益をシームレスに拡大することを目指しているなら、Mintegral チームにお問い合わせください。