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強くなる雨足、弱くなる心、深まる夜更け、遠ざかる過去(なんでもない日に短歌でタイトルをつける日記5/6~12)

好きな歌集から短歌を、毎日の日記のタイトルに頂いて、一週間分の日記を書いています。たまに自分で短歌を詠むこともあります。

5月6日

ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください

『てんとろり』笹井宏之

新しい職場に勤める前日にピッタリの短歌。
ひきがねと花束が、外側の不安と内側の期待に見事に合致していて、比喩としてとても美しい。
連休の最終日はとくに何もなく、午後にいつも通りジムでトレーニングをして過ごした。
いい職場だといいなぁ。

7日

千億の星の一つになりたくて心が空を舞いあがる夜

『アボカドの種』俵万智

新しい職場の1日目。新しい職場は不思議な仕事。おそらくまったくラクではないだろうけど、売り上げノルマがあるわけでもないし、クレーマーなどの対応をすることもない。
今まで経験したどの仕事とも異なる仕事内容で、それなりに頭は使うだろうけれど、やりがいはある仕事だ。

もしこの職場で長く働くことができれば、まっとうな社会人として生きていけるかもしれない。選んだ短歌はそういう思いを込めて。

8日

さてここで何を叫べばマンションのすべての窓がひらくでしょうか

『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』木下龍也、岡本大嗣

去年『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』の歌集を買ったときに、好きな短歌5撰に挙げている一首。
この歌集については日記にも書いていて、ちなみに同歌集に影響を受けて、その日記のタイトルは「玄関の覗き穴から」ではじまる短歌を詠んでみたりしている。

一見したところ笑いたくなるが、すぐに透けて見える絶望や向こう見ずな行為や思考に、心配になる。いや、心配になるようなことを笑いに落とし込んでいるところに愛おしさを感じると言うべきか。

玄関の覗き穴から月見するほどに眩いマンスプレイニング(日記と短歌9/23~9/30)

改めてこの歌集を読むと、歌集の物語のなかではリアルな情景が目に浮かぶが、この一首のみを咀嚼するとマンションの窓にはSNSにつくリプライが重なる。

今日はひたすら新しい職場で今進んでいるプロジェクトの話をひたすら聞いて、ひたすら眠い1日だった。まだ何もわからないが、とりあえず雰囲気はこんな感じというのを知ってほしい、といいつつ、実際は新しいスタッフ用のPCがまだ準備できてないだけという話だが、まぁとにかく暇である。
おそらく、本格的に仕事が始まるとそんなことも言ってられないだろう。しんどいときにまわりの反応を期待して突飛な行動をとらないようにしたい。そのときは、もしかしたらこの日記がそのはけ口になるのかもしれない。

9日

ミンティアを次々食べて男性がため息をつく空気がまわる

『ビギナーズラック』阿波野巧也

昨日に引き続き、ひたすら話を聞いているだけの1日。
ミンティアで清涼感を補給する。

10日

半月が出てる 丁寧にていねいに排水溝に捨てるレシート

『ビギナーズラック』阿波野巧也

とにかくインプットが多い仕事なので、甘いものが欲しくなって、この数日はやたらと間食を摂ってしまっている。そのレシートもたまっている。もちろん、レシートを排水溝に捨てるわけではないけれど、ポケットの中でぐちゃぐちゃになっている。とりあえず、来週はもう少し間食を抑えたい。

11日

「こうすれば明日は表」と裏のままパジャマを着ている母のただしさ

『老人ホームで死ぬほどモテたい』上坂あゆ美

新しい仕事の疲れもあり、1日中自宅で自堕落に過ごした。
今週はいっぱい間食したぶん、今日は家から出ずに節約して過ごした。

12日

息をする 生きていて今かなしみを味わっている 息をしていく

『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』枡野浩一

なにか悲しみを味わっているわけでもないのに、不穏な短歌を選んでしまった。

新しい仕事への不安もあって、「初心忘れるべからず」ということで、久しぶりに古巣の服屋に立ち寄ることにした。差し入れを買って店に向かう。行く途中の、知ってる人のシフトが休みだったらこの差し入れどうしようかという思いは杞憂だったが、当時から今も続けている同僚は2人のみで、それは知ってはいたのだけど、寂しさもあった。

それなりに忙しそうなこともあって、すこし滞在して、退散。いつもどおり、ジムに向かう。最近はやっと筋トレのコツが掴めてきた気がする。

とりあえず、明日からがんばろー。

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