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ふたりのおばあちゃん

一緒にお買い物行きたいな

子供と洋服を買いに行った。売り場に着くやいなや奥へ消えて行き、秋物のチェックのパンツを抱えて戻ってきた。クラスで女の子たちの間で流行っているとか。だんだんこういった大人っぽい装いをしているらしい。

いそいそとさっとお目当てのファッションを探し当てる我が子の姿を見いるとなんとなく去年亡くなった夫の母の姿とだぶる。おばあちゃんもお洋服が好きだったなぁ。孫である我が子にもたくさん買ってくれた。

最後のお見舞いの時、病床で孫に「また元気になって、一緒にお買い物行きいな」と話していたったけ。

おばあちゃんはなんで孫にいろいろ買ってあげるんだろう

おばあちゃんは自分の限りあるお小遣いの中からどうして孫へいろいろ買ってあげるんだろうかと思った。

一般的に自分の子供の時は子育てに余裕がないからとかいろいろいうが・・

私は、最近になって、その理由がようやくわかった。


小さい頃、物資が乏しかった頃の幼少の自分へかわいい洋服をたんと買ってあげているんだと。

聞いたところ、おばあちゃんは、年をとると嗜好がどんどん若い時、幼い時と低年齢化するらしい。そして思いは、幼少期の頃のことが頭を駆け巡る。

昨日の夕飯は覚えてないけど、幼い頃の出来事を細部まで覚えていたりする。


もうひとりのばあば、私の母も、入学祝いをあげることを心待ちにして準備しまだかまだかと待ち構えている。
こちらのおばあちゃんもしかり、女子の教育が狭められた世代の思春期の自分へのお祝いなのだろう。
あの頃、足長おじさんがわたしにも登場してくれたらという願いを。

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