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論文紹介第3回~焼結体GGGの磁気物性~

お久しぶりです!光りろん研所属B4の山田です。
夏休みを挟んで再始動した光りろん研ですが、早くも3回目の論文紹介です。
今年も残すところ1か月半となりました。急に寒くなってきて朝起きるのが大変億劫な時期ですが、頑張っていきたいと思います!


2023/11/15
今回私が紹介するのは、
Wen Dai, E Gmelin and R Kremer. "Magnetothermal properties of sintered Gd3Ga5O12" J. Phys. D: Appl. Phys. 21, 432 (1988)
です。

論文の主題としてはガドリニウムガリウムガーネット(GGG)の焼結体の物性について実験と理論の両面から調査するという内容なのですが、我々の理論の研究室としてはその中で提案されたモデルに注目しました。

提案されたモデルのハミルトニアン(本文より引用)

(2)式が結晶場のハミルトニアン、(3)式がゼーマン相互作用のハミルトニアンであり、全体としてはそれらを足し合わせた形になっているというモデルです。

実験値から最小二乗法で各パラメータを決定し、モデルから計算されるエネルギーを図示したFigure 5に注目しました(申し訳ありませんが、著作権によりここではお示ししません)。

その図より磁場を印加すると縮退が解けて、エネルギーが分裂するゼーマン分裂が起きていることが見てとれました。

しかしここで疑問になるのはエネルギー分裂の間隔です。
この論文のモデルでは全スピン運動量でのみ状態が記述できるとしています。スピン運動量が等間隔で変移するにも拘わらず、なぜエネルギーは等間隔にならないのか、何か別の作用があるのか…。

現在研究中のため、詳しいことはわかりません!
この論文は1988年に発表されたものですが、改めて見直すと疑問や新しい可能性に気付けるのは理論研究の楽しい部分だと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
初めての論文紹介でしたが、人に研究内容を伝えるためにまとめていると自分の考えがまとまったり、新しい疑問がわいてきたりして、とても勉強になりました。

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